秋は読書の季節。しかし、小学生高学年の男子にとっては、読書が苦手な人が多いのも現実。
でも、何か読ませたい。せっかく読むのだったら、いい本を読んで、これから読書好きな人間になることができたらそれはそれでありがたい。
ということで、今回はそんな親御さんの想いにこたえる小学生高学年の男子にお勧めの本10選をお送りします。
1|ドリトル先生物語全集(作・絵:ヒュー・ロフティング、訳:井伏 鱒二/岩波書店)
動物とお話のできるドリトル先生シリーズ。
児童文学の古典としては、いまだにファンの多い、また大人も虜にしてしまうドリトル先生シリーズは、どれを読んでも子供の創造力を掻き立ててくれます。
また、若干言葉が古く難しいため、そこに家族の会話が生まれてくるのもいいところ。
「これどういう意味?」から始める親子の会話は、一生の宝物。
また翻訳は『山椒魚』や『黒い雨』で知られる井伏鱒二ですので、正しく美しい日本語に触れるという意味でも、おすすめの一冊です。
2|びりっかすの神様(作:岡田 淳/偕成社)
競争社会の是非、勝ち負けの意義、そんな深いテーマに本当にわかりやすく切り込んでくる名作。
大人が読んでも何か大切なことを学べるような気がするほどにしっかりとしたテーマを持っていて、なおかつ子供の心にぐっと刺さる本当に素敵な本です。
いまだに競争至上主義が見え隠れする日本で、本当に身に着けていなければいけない精神とは何か。
ビリになった人にしか見えないびりっかすの神様が教えてくれるそれは、子供たちの今後の人生をよりよくしてくれる大事な大事な生きるヒント。
読書をするというメリットを超えた、人生のための一冊です。
3|気まぐれロボット(作: 星 新一/角川文庫)
日本SF文学界の巨匠にして第一人者であった星新一の作品。
星新一作品の特徴は、とにかく短く、わかりやすく、そして、最後に必ずどんでん返しが待っているというエンターテインメント性の高さです。
こちらも短編集で、様々なお話が入っていて、想像力をぐんぐんかき立ててくれます。
また、星新一作品は本当に数が多く、中学高校、それこそ大人になっても楽しめる作品がありますので、これで星新一ファンになれば、この先本好きになるのは間違いないでしょう。
4|二分間の冒険(作: 岡田 淳、絵: 太田 大八/偕成社)
小学校高学年の男子を描写させたら右に出るものはいないといっていい、岡田淳の作品
あまりのリアルさに、現実感をもって心に迫ってくる実感を感じるほどに、そのリアリティあふれる心理描写は、共感と移転で間違いのない一冊です。
また、本作は、ファンタジーとしてもかなり完成度の高い作品。
外国の魔法使いではなく、日本の学校の日本の小学生が繰り広げるファンタジーは、子供たちの創造力にダイレクトに響く、おもしろさを持っています。
きっと、この本から何かを学び取るお子さんは、数多くいるはず、そんな一冊です。
5|シンドバッドの冒険(著: 斉藤 洋、画: 一徳/偕成社)
言わずと知れたアラビアンナイトのもっとも有名なお話。
歴史と伝統に裏付けられた、子供心をつかんで離さない冒険譚は、まさに世界有数の男の子のバイブルといった感じで、間違いなしの傑作。
この作品と「アリババと40人の盗賊」「アラジンと魔法のランプ」を合わせて読めば、さらに深くアラビアンな世界観に浸れて、きっとお子さまの心をつかんで離しません。
中には、ちょっと残酷なお話もありますが、高学年であれば、それもまた情操の一環。
これまで世界中で何億という数の子供たちが楽しんできた、そんな冒険の世界は、きっと誰の心にも魔法をかけてくれることでしょう。
6|チョコレート工場の秘密(作: ロアルド・ダール、絵: クェンティン・ブレイク、訳: 柳瀬尚紀/評論社)
言わずと知れたジョニーデップの「チャーリーとチョコレート工場」の原作。
世界でも有名なブラックユーモアの達人である、ロアルド・ダールの奇想天外な世界観は、はまり込むと抜けられない中毒性がある、そんな面白さ。
またこの作品は、外国文学特有の言い回しがそれほど難解ではなく登場する物語でもありますので、今後外国文学作品を読むときに、これを読んでいるのとそうでないのとでは大きな差が出る一冊でもりあます。
特にブラックユーモアの面白さに、小学生のころから親しんでいると、いろいろな作品を楽しむことができますよ。
7|おれがあいつであいつがおれで(著: 山中 恒、イラスト: 杉基 イクラ/KADOKAWA)
『君の名は』でもおなじみの男女入れ替わりものの、傑作。
特に、いわゆる思春期の男の子にはちょうどいい程度の性的な戸惑いのようなものもしっかりと描かれており、男女入れ替わり物の金字塔であることはもはや疑いの余地はありません。
ストーリーも、大人が読んでもハラハラするとてもしっかりとしたつくりで、ある意味「君の名は」よりもこちらの方がしっかりとしたお話になっています。
新春期としっかり向かい合わなければいけない高学年の男子には、ある意味必読の書だといってもいいでしょう。
8|水滸伝・三国志(著:羅漢中、イラスト:駒田信二/講談社)
この一冊で、お子さんが三国志にはまるかどうか決まる、という一冊。
日本の男子にとって、三国志というのはかなりシンボリックな作品で、とにかく三国志にはまる男子というのはどの世代にも必ずいるというくらいです。
内容は、どこもかしこもお男心をくすぐるものばかり。
セリフのひとつひとつ、戦いのワンシーンワンシーンが男子の心をつかんで離しません。
9|怪人二十面相 少年探偵(著:江戸川乱歩、イラスト:藤田新策/ポプラ社)
ミステリー大好きな人間は、小学校の頃に江戸川乱歩かコナンドイルのどちらかに必ずはまっている。
そう言っても過言ではない、少年向けミステリーの傑作中の傑作、それが少年探偵団シリーズで、その代表作が、この「怪人二十面相」です。
とにかくそのホラーに近い雰囲気と、少年たちの活躍、二十面相のキャラクターが少し難しい文章であるにもかかわらず、どんどんと読み進める力を与えてくれます。
子供に読ませるつもりが親御さんが夢中になってもおかしくない、名作です
10|国語辞典
最後にお勧めなのが国語辞典。
今やネットの発達で、知りたい情報がピンポイントに手に入る時代ですが、このピンポイントが実は子供にとってはよいものではありません。
アナログではありますが国語辞典がくれる情報は、いい意味で探す楽しみがあります。
読書のおともに、一冊添えておくといいでしょう。
胸ワクワクを中心に
高学年男子は、やはり胸がわくわくするお話が大好き。
ぜひとも、ロマンを感じるような、胸がわくわくする本をおすすめしてみてはいかがでしょうか?
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