【読書感想文】高校生が読書感想文を書きやすいオススメの小説・本15選

高校生ともなると、読書感想文は読書の感想だけでは先生は受け取ってくれません。
そこから何を思い、どう考え、今後にどのように生かしていくのかといった本から得られるもので自分がいかに成長したのか、という観点が必須になります。
そこで、今回の記事ではそういう観点から感想文の書きやすい小説をピックアップしてみます。
いかに小説の内容から派生させていくかというのが大事なことですので、できるだけわかりやすい主題がこめられているものを選んでいきましょう。

1|こころ(著者:夏目漱石/新潮社)

夏目漱石のこころは読書感想文においてはよく使われる本です。
というのも、まずは文豪の作品ということで教師受けが良いという点もありますが、物語の内容が思春期から大人に変わる頃合いの人間にふさわしい内容だからです。
この物語において書かれている主題は「恋愛と命」です。
親友の想い人と結婚したがために親友が自殺をするという衝撃の過去を持つ「先生」のこころの機微を負うことによって、そこに性の発露である恋愛と死そのものが浮かび上がってくる。
そうして、そこからあなたが恋愛と死生観について自分の意見を述べ地区という感想になるでしょう。
ポイントとしては、これは読書感想文であり自己啓発ではないという点を踏まえて、命は何よりも大切だという陳腐な結論をなるべく避けること。
命というのもをいかに客体化できるかというのが、ポイントなのです。

2|アルジャーノンに花束を(著者:ダニエル・キイス/早川書房)

命について考えるという点において、非常にわかりやすく問題提起をしてくれる名著。
しかもこの本は、問答無用で感動しそして涙を流すことができる作品なので、涙を流した後に何を考えるのかという書きやすい筋立てができるものでもあります。
読んだ→感動した→感動の理由は何だったのか→その先に何を考えるのか。
この道順は、この本をもって読書感想文を書くのであればいちばん明快で、これ以外の道筋が簡単には思いつかないくらいのテンプレです。
そして、一番のポイントはその先に何を考えるのか。
知能障害者であった主人公が手術によって高い知能を得、そして再びどんどんと知能が低くなってしまうという心に迫る強い訴えのある作品。
主人公にとってこの一連の出来事は幸せだったのか?から考えてみるといいでしょう。

3|蟹工船(著者:小林多喜二/新潮文庫)

蟹工船は日本のプロレタリア文学の代表作。
つまり、虐げられている労働者の小説というものであって、その成立というかそこに込められている思想そのものが社会問題を扱ったものなので話を広げやすい本です。
内容は、蟹工船のひどい惨状を書いてあるという解説でいいでしょう。
問題はそこからいかに労働問題へと派生させ、この時代の主張と今現代の労働者の問題といかにシンクロさせていくかというのが肝になってきます。
そう、この時の小林多喜二の想いで終わってはアウトなのです。
労働者階級という言葉も今では使われなくなり共産革命が歴史の中で失敗した今の時代に、この極端な状況をいかに自分の周囲に当てはめることができるのかが、ポイントです。

4|金閣寺(著者:三島由紀夫/新潮文庫)

まず、金閣寺は数ある三島文学の中ではかなりよみやすい本になります。
また三島由紀夫の小説はとにかく美意識が高く、直感的な読み方ができるものですので、物語の内容もさることながら文章についての考察があるといいでしょう。
物語に関しては、かなり無難なお話です。
しかし、なぜ三島由紀夫の文章がここまで直感的に感情を伝えてくるのかという謎に挑戦すればかなり良い感想文がかけると思います。
もちろん確かにその問いを詰めるのは簡単ではありません。
しかし、わかりやすい問題提起があるというのは、ある程度レベルを保った読書感想文を書こうというのであれば書きやすさの一つのポイントです。

5|図書館戦争(著者:有川浩/角川書店)

高校生が読書感想文の題材として読むにはかなりギリギリのところといった難易度。
つまり、中学生でもしっかりとした読書感想文がかけるくらいの難易度で、あまり読書が得意ではない人でもスッキリ読むことができるはずです。
ただこの本の題材は言論の自由や表現の自由という、書きようによってはどれだけでも会話を展開させることができる書きやすい主題です。
しかも、表現の自由を守るために「戦争」をするというのですからここもかなりの分量がさけるポイント。
自由を守るために戦うということがどの程度許されるのか、そして、戦ってまで自由は守らなければいけないのか、この命題はかなり自由に論述できるはずです。

6|永遠のゼロ(著者:百田尚樹/講談社)

神風特攻隊という、その価値について大きく判断の別れるものを題材にした小説。
人によっては戦争の中で起こった悲劇だという人もいれば、国に準じた美しい詩のように語る人もいて、そしていわゆる国家による虐殺のように言う人もいます。
つまり、この本を読んだ後に戦争と平和という題材をもとに神風特攻隊についてどう思うかを読者が自由に選べるというのがこの本を題材にする一番の利点。
この本を読んで非武装反戦平和という考え方に至ったという内容でも、また、自衛隊の国軍化のような思想に立ったとしてもそれはどちらも正解。
そして、わからないという結論でも正解なのです。
戦争が導き出した神風特攻隊という悲劇の向こうに、読者がどんな感想を抱いてもいいという書きやすさがこの本にはあります。

7|ぼくは勉強ができない(著者:山田詠美/新潮社)

頭がいいということについて考えさせられる本。
高校生にもなると、だいたいの生徒が勉強ができるということと社会を渡っていくうえでの賢さの間にギャップを感じはじめます。
しかし、その正体についてぼんやりとしかつかめていない時期でもありますよね。
そんな時に、その問いに対してけっこうダイレクトに答えを提示してくれる内容になっているところが、この本の感想の書きやすさのゆえんです。
つまり、視点は簡単で、この主人公に共感するかどうかなんですね。
この主人公は、かなり独特なものの価値観と支店そして行動の規範を持っていて、それはある種かっこよくある種鼻につく感覚をもたらします。
そこが主張のポイントになるわけです。

8|車輪の下(著者:ヘルマン・ヘッセ/光文社)

高校生にとって、共感したその先が試される作品。
この作品の内容は、簡単に言えば学校や親というものに管理されて自由を謳歌できない少年という、テーマとしてはありきたりのものになります。
ですので、感想文としてはとても書きやすいことは間違いありません。
しかも、こういうありきたりなものがテーマとなっている本の感想文は、そのテーマへの共感を感じた後にではどうあるべきかという発展がしやすいんですね。
人間のアイデンティティはどう確保されるべきなのか、などという難しい主題に挑んでもいいでしょう。
そうではなくて、ただ単に管理社会というものに対してのお身を書いても間違いなく良い読書感想文がかけると思いますよ。

9|ボッコちゃん(著者:星新一/新潮文庫)

ご存知星新一のショートショート。
まずこの本は読みやすさに関して言えば、その気になれば小学生でも読める内容ですので、読むことに関しては問題なく読むことができるでしょう。
しかし、これで読書感想文を書くのは、普通は至難の業です。
というのも、一編一編がショートショートですから非常に短く、感想を書こうにもすぐに終わってしまうという欠点を抱えているからなんですね、普通は。
そう、普通は何です。
ところがこれを、ショートショートというSFの小説の形式に関する読書感想文とすると、これはかなり自由にかけて簡単です。
星新一のショートショートという形式のメリットデメリットを並べていくだけで、かなりの枚数は稼げます。

10|蕎麦ときしめん(著者:清水義範/講談社)

パスティッシュ小説の旗手、清水義範の代表作の一つ。
この人の書く小説は読みやすいうえに声を出して笑える小説ですので、読みやすさということに関してはぴか一ですし、かなり面白く感じる事でしょう。
さらに短編集なので、どれか一つを選んで感想文を書いても問題はありません。
しかし、この人は、日本でも珍しいパスティッシュ小説という模倣文学を得意とする作家です。
文豪、掲示板、新聞広告、素人の論文など、様々な文体をまねして作品を作り上げているこの手法についての論考まで持ってこれたらかなり面白いですね。
また、結局は日本語を使った遊びです。
日本語という言語に対しての考え方などを書いても立派に感想文になります。

11|老人と海(著者:アーネスト・ヘミングウェイ/光文社)

とにかく、短いのが魅力の老人と海。
しかもこれくらいの名作ともなれば、様々な人のこの作品に対する感想などがネット上にあふれているので感想文の参考がたくさんあります。
もちろんコピペはだめですが、参考にするにはちょうどいい感じですね。
さらに、ヘミングウェイの作品と言うのは基本的に娯楽小説としての価値が高いため、ストーリー自体も面白く本当に読みやすさで言えば海外の名作系では一番です。
あとはそこから、人間と自然のかかわりや、一人の男の生きざまといった主題に沿って話を展開させていけば、苦も無く感想文がかけるでしょう。

12|ワイルドスワン(著者:ユン・チアン/講談社)

ワイルドスワンは、日中戦争から文化大革命などの時代の中国を描いた作品。
いま世界の情勢において中国というのは欠かせない大国となっていますから、中国の近代史の中で起きた様々な出来事についての論考は書きやすいものです。
特に、国家が被害者と加害者の間を揺れ動いた激動の中国史。
戦争や内戦の悲惨さですとか、共産党によって行われた言論弾圧時代の凄惨な出来事などを積み重ねていくことで、現代の日本の状況とシンクロさせるのは難しくないはずです。
ただ、読むのはちょっと骨です。
分量が多い小説になりますので、読書が得意な人にはオススメなんですがね。

13|源氏物語(著者:瀬戸内寂聴/講談社)

高校生の受験対策として一度は読んでおきたい本、それが源氏物語です。
なぜこの日本史上もっとも有名な古典作品が感想文の書きやすい作品化といえば、一つには様々な感想がすでにたくさんあるという点。
むしろ、感想のテンプレが存在しているほど有名な作品です。
もう一つは、古典作品ですからそこから派生しにくいという点と古典作品を読んだということ自体が大きな成果にカウントされるため、平凡な感想を書いても評価されやすいということ。
つまり読書感想文の読書の部分ですでに評価の対象なんですね。
内容は恋愛ものですから感想は書きやすいはずです。
たくさんの登場人物のだれか一人に感情移入して感想を書けばそれで問題ありません。

14|もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーのマネジメント」を読んだら(著者:岩崎夏海/ダイヤモンド社)

ブームにもなった小説、もしドラ。
まず、小説遺体は青春小説に近いものですので、すんなりと頭に入ってきますし同世代の話ですから読むこと自体には全然苦労はないと思います。
そして感想も書きやすい。
なにせ、物語自体がドラッカーのマネジメントとの感想みたいなものですから、そこから派生させて自分自身のドラッカーのマネジメントに関する感想に繋げていくことができます。
また、そこまでうまくいくものか?という切り口もこの小説においては面白い切り口。
ビジネス書というものがそのまま高校の部活に役立つものなのか。
この視点はこの本で読書感想文を書く上ではかなり良い視点ですね。

15|二遊間の恋(著者:ピーター・レフコート/文芸春秋)

現代の社会問題として避けては通れない命題であるLGBT問題。
そんなLGBTの恋愛について書いてあるのが本書で、しかもこれは実話をもとにしている非常にリアリティーにあふれる作品です。
本作で取り上げられているのはゲイの方の恋愛。
日本に比べるとLGBT問題がより深刻でまた社会において大きな影響力を持っているアメリカの、まだ差別が明確に残っていた時代の話。
つまり、今の日本に若干近いんですね。
ここから、読者のLGBTに関する考え方や、今後の取り組みなどに派生させていけば、かなりしっかりした読書感想文になるはずです。

感想で終わらないように

冒頭でも言いましたが、高校生の読書感想文は感想で終わらないように。
その本を読んだことで、どのように自分は思考をめぐらせたのかというのが大事であることをしっかり認識して、読書感想文を書くといいでしょう。

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