【読書感想文】大学生が読書感想文を書きやすいオススメの小説・本15選

大学生になっても読書感想文を書かなければいけないことがあります。
読書感想文というと高校生までという印象ですが、最近は特に大学生の課題として読書感想文のレポートを出すことも多いので、準備は必要です。
また、あくまでそれは高校の時までのものとは違います。
読書感想文で、読んだ本の感想だけを書くようでは、大学生の課題レポートとしては失敗と言っても過言ではありません。
その読書があなたにとって何をもたらしたのか?もしくは、その読書を通してどのような発見があったのか?
そこまで言及できてはじめて、それは読書感想文と呼べるものになるのです。

大学生にふさわしい読書感想文の書き方

まずは読書感想文の書き方について触れておきましょう。

論文の基本的な書き方を外さないこと

読書感想文と言う言い方をしますが、それは作文ではなく論文です。
本を読んでえたこと感じたことを論考しまとめるのが大学生の読書感想文ですから、当然そこには基本的な論文の書き方というものが必須になります。
ですので、構成に関しては『序論・本論・結論』の形は外さないようにしましょう。

それぞれになにを書くのか?が重要

まず序論ですが、ここには読む前の印象や、その本を選んだ理由などがいいでしょう。
そして本論ですが、読書感想文の本論なのですから、ここは本を読んだ感想というのが妥当になります。
そして結論、これはこの本を読んだ結果得たことになります。
序論の読む前の印象については、できるだけ結論とリンクするカタチにしましょう。
序論で感じたことが本論の感想を経て結論のような成果を得るに至った、というのが基本線の流れですから結論とまったく関係のない序論では意味がありません。
本論の感想は序論の思いを結論につなぐもの。
そして結論はそこまでの流れを受けている必然性を感じられるものでなくてはいけません。

あくまで読書の感想であること

読書感想文と言う出題なのですから、そこに書くべきは読書の感想です。
つまりは、あなたの意見や思想を表明するのではなく、あくまで読書をもって得た感想を主軸にその感想を元にしたあなたの考えが必要になるのです。
いわば論評ではなく書評に近いと考えていいでしょう。
大学生ともなれば、与えられたテーマを元に論評し、その上でそこに何らかの「その文章を書いた意図」がなくてはいけません。
読書の感想であるという大前提を外さず、あなたの考えを盛り込むことが必要なのです。

大学生の読書感想文におすすめの小説・本15選

それではここからは、大学生の読書感想文におすすめの小説・本を紹介していきましょう。

1|翔ぶが如く(著者:司馬遼太郎/文藝春秋)

司馬遼太郎の翔ぶが如くは、薩摩出身の維新志士の話です。
ですので切り口としては、維新志士たちの生き様から自分の生き方にどんな影響を与えるだろうと思うのか、またこれまでの自分の生き方にどんな思いを得たのかというのが基本的な切り口です。
また歴史ものですから、その時代の社会の動きと現代社会をくらべた論考でも良いでしょう。
どちらにしても、主題が明瞭でわかりやすく、様々な切り口から論考をすることができますので、非常に書きやすい題材であることは間違いありません。

2|モモ(著者:ミヒャエル・エンデ/岩波書店)

はっきり言って、子供の読む本で大学生の読む本のレベルではありません。
しかし、例えば教育学部や文学系の学部などにおいては、このような本を題材として取り上げるというのは間違った選択肢ではありません。
つまり、教材や子供にすすめるべき本としての論考をするというわけです。
非常に無難な切り口になりますが、子供向けの教材として読んでいたのだが自分の人生においても参考になった、もしくは大人が読んでも十分良い本だという感想に持っていくといいでしょう。
また、読書感想文を書くために読んだのではないという体も、評価としては悪い評価にはならないはずです。

3|水滸伝(著者:北方謙三/集英社)

中国の古典文学というのは、読み応えがあり大学生の読む本としては最適です。
また水滸伝などの中国の小説は長いことで知られているため、全体の感想ではなくどこか一部分の場面だけの感想を書いても問題がないので、感想も書きやすくなります。
しかも水滸伝には108人もの個性的な武将がでてきます。
より感情移入しやすく自分に投影しやすい人物を選んで、クローズアップした感想文を書くとかんたんに書き上げることができるでしょう。
またこう言う小説に関しては、純粋にドキドキ・ワクワク感を得たということを高等な単語を用いて書くだけでよい感想文になります。

4|空飛ぶタイヤ(著者:池井戸潤/講談社)

実際に起きた三菱自動車のリコール隠しを題材に書かれた小説。
企業の良心やコンプライアンスなどという、現代の企業経営にも欠かせない要素を多く含んでいて、そこから書くべきことの多さとわかりやすさは言うまでもありません。
もちろん、結果として企業の誠実さを求めるような論調にはなるでしょう。
しかし、これを読書感想文として考えるならば、リコール隠しを行った作中の人物の気持ちに寄り添うというのも面白い切り口かもしれません。
大学生ですから、単純な勧善懲悪では浅いのです。
悪と言われる人間の中にある人間的葛藤に迫ることができたら、かなり高度なものがかけるでしょう。

5|ゴールデンスランバー(著者:伊坂幸太郎/新潮社)

巨大な組織の陰謀により、無実の罪に巻き込まれていった男の話。
となると、その巨大な組織などから話を持っていくというのが基本的な路線になると思いますが、伊坂幸太郎の小説はこの本だけでなくその卓越した構成と伏線の回収に面白さがあります。
ですので、文章そのものの感想、つまりなぜこの小説は面白いのか、という切り口で書いても良いでしょう。
書かなければいけないのは読書感想文であって物語鑑賞文ではありません。
読書をした結果、こんなにもお面白く感じるのはなぜなんだろうか、なぜ衝撃のラストが衝撃を持って迎えられるようになっているのだろうか。
そんなアプローチでも面白いですね。

6|神去なあなあの日常(著者:三浦しをん/徳間書店)

今時珍しいと言っては失礼ですが、いわゆる労働小説です。
フリーターなどをしてブラブラと生活していた主人公が突然山村につれてこられて林業に従事するという話ですが、これもかなり色々な切り方のできる小説です。
まずは、フローターの青年が労働にのめり込んでいく様子からさまざまな社会問題へスライドさせることが可能です。
また、山間部の山林、それも林業という特殊な職業の有り様に思いを馳せて、さまざまな論考を重ねることができるはずです。
都会と僻地、そんな切り口もできます。
また、ただ単に青春小説として捉えることもできるので、感想文の題材としてはかなりお得な作品です。

7|変身(著者:フランツ・カフカ/角川書店)

カフカの変身、これは読書感想文の題材としてはもはやテンプレ。
とにかく発想の豊かな物語と、社会問題や人間性のキビに関して深く切り込んだ作品ですので、どのようにウモ感想文として調理できると言った感じですね。
しかも、物語が短いので、時間短縮にはもってこい。
更には、ここまで有名な感想文に適した作品ですから、この本を元にした書評や感想文的なものがネットに沢山存在します。
そういった点でも、かなりお得です。

8|富の福音(著者:アンドリュー・カーネギー/きこ書房)

小説ではなく、いわゆる自己啓発本に近い内容ですが、だからこそ感想の書きやすい本です。
アメリカの鉄鋼王として知られるカーネギー自身が記した彼の人生哲学は、社会に出る前の大学生の読み物としては最適で、それだけに感想も浮かびやすい。
つまり、カーネギーに感銘を受けるのか嫌悪感を抱くのか、が基本になるんですね。
また、カーネギーがこの本を記した時代と今の時代をくらべてみて論考するというのも面白いかもしれません。
小説と違い主張の激しいのがこう言う自己啓発系の本の特徴。
つまりそれだけ、感想の取っ掛かりになる思想や思考がわかりやすいということなのです。

9|津軽(著者:太宰治/新潮社)

太宰治の書いた紀行文というだけで、十分感想文として面白いものが書けるそんな作品。
まず基本的には、文豪太宰治の文章で津軽という場所を描くといかに美しい世界を描くことができるのかという観点は重要です。
そのうえで、そこからの長谷野させ方で個性を表していくという方向性になるでしょう。
例えば、そんな美しい太宰の津軽はもうこの世には存在しないですとか、そんな美しい津軽を描いた太宰が人間失格のような作品を書けることへの言及。
それこそ、実際に津軽を歩いたことのある人ならその体験から何かを導き出すこともできるなど書きやすい小説です。

10|私を離さないで(著者:カズオ・イシグロ/早川書房)

ノーベル文学賞受賞作家の作品。
日本とゆかりの深い小説家として受賞時には大きな話題になった作家の作品だけに、その本自体の持つインパクトは少なくありません。
内容自体は若干感想に書きにくいですが、ノーベル文学賞というラインからの攻め手はかなり良いでしょう。
つまり、この小説がなぜ評価されたのかを考えるというのも、立派な感想文だからです。
本の中に描かれる恋愛模様と、それにリンクする社会問題とを考えて、この小説がなぜノーベル文学賞であったのか。
そして、この小説の描写や表現の中に隠れている、日本人のアイデンティティのようなものを感じることができたなら、それはかなり面白い感想文に発展できます。
可能性のある一冊です。

11|告白(著者:湊かなえ/双葉社)

かなり味の濃い小説ですので、感想を掘り出すのはかんたんです。
そして、この小説はその内容の極端さから賛否のわかれるものであり、きっと読んでいくうちに嫌悪感を抱く人もでてくるでしょう。
しかし、大学生の読書感想文なのですからネガティブな感想でも全然構いません。
それこそ、読書感想文と言う名を借りた罵倒でも全然構わないと考えたら、この本ほど批判しやすい小説もないでしょう。
もちろん、面白い、名作だ、と感じる人もいるはずです。
そんな両極端の評価ができる、それもまた読書感想文に書きやすい小説です。

12|何者(著者:朝井リュウ/新潮社)

かなり単純に、等身大の感想文を書きたいひとにはこれがおすすめです。
話の内容は就活、つまり就職活動についてですから、まさに自分の現状や近いうちにかならず訪れる将来をターゲットにした感想文が書けるでしょう。
難しいことを考えずに、普通に自分に投影する。
そんな書き方が適している、実にわかりやすい一冊です。

13|火花(著者:又吉直樹/文藝春秋)

言わずと知れた、お笑い芸人の芥川賞受賞作。
とにかく普通に楽しんで読めますし、これもまた純粋に面白かったという感想文の書きやすい小説ですので、色々難しく書きたくないひとにはおすすめです。
しかも、ここに書かれているのは青春の熱いほとばしり。
少し臭くなるかも知れませんが、そういう普通に考えれば青臭くて恥ずかしいような感想は、間違いなくうけます。
直感で書いたほうが感想文としてはいい結果になるかもしれません。

14|読書について(著者:ショーペンハウエル/光文社古典新訳文庫)

文学系の授業や、そういった学部の生徒であればこれくらいを攻めるのもいいでしょう。
タイトルのとおり、これはショーペンハウエルが読書について書いた本であり、悪書を読むべきではないというかなり過激な読書法のすすめのようなものです。
そして、読書感想文の題材としてはかなり面白い。
文学や文章、そしてそれに類するものを先行している学生にとっては、この面白い素材をどう料理するかは、腕の見せ所。
ぜひとも挑戦してみてほしいですね。

15|大学教育について(著者:J.S.ミル/岩波書店)

大学教授に提出する読書感想文が、大学教育についてというこの挑発的な感じ。
はっきり言って題材としては難しいです、しかもこれで高評価を得ようと思えばかなり至高を働かせなければいけないですね。
しかし、それだけにかなり面白い。
これは挑戦です。
ぜひこの難題に挑戦して、素晴らしい読書感想文を書いてみてくださいね。

ありきたりの感想を個性に発展させる、これが究極です

大学の読書感想文は、いかにただの感想を自分に寄せることができるのか、です。
感想文であるという主軸をぶらすことなく、本から感じた感想を持って自分の思考や思想、着眼点の傾向などを際立たせていく。
そうして自分を表現できるところまで行けば、大学生として恥ずかしくないものと言えるでしょう。

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