夏休みも残りあとわずか。子供たちが宿題の影をひたひたと感じる今日この頃ですが、読書感想文はもう終わっていますか?
そんな、せっぱつまっている子供たちにも、またお父さんお母さん方も必見。小学生にオススメの読書感想文の本、12選(1学年2冊)を紹介いたします。今ならまだ、間に合います。
読書感想文の推薦書籍(1年生対象)
「ふたりはともだち」作:アーノルドローベル/訳:三木卓
小学1年生の読書感想文の題材として、とても昔から愛されているのがこの「ふたりはともだち」。簡単でわかりやすい内容と、ファンタジー要素のあるカエルを主人公にしたちょっぴり不思議で心の底が暖かくなるようなお話です。5つのお話しから構成される短編集ですので、どれか一つで感想文を書いてもいいし、全体を通した感想文でも大丈夫。ユーモラスな描写と独特の会話劇で構成されるこの物語を通じて「友達」について考えるだけで立派な感想文が出来上がります。
「さいごのまほう」作:中島和子
年老いた一人のおばあさん魔法使いが、自分の力の衰えを知り、最後の魔法を何にしようか考えるお話。まずはこの本をお勧めする理由として、抜群の読みやすさがります。大きめの文字と魅力的な挿絵、本が得意でないお子様にもすんなりと読めるそんな本です。しかも、話の内容はどこか切ない様で、悲しい様で、でもほんわかと温かいお話。そしてなにより、不思議なお話です。説明過多のお話しではなかなか感想文は書きにくいですが、読者の感性に大きく任せているこの物語は感想文が書きやすく、また心に残る素敵な一冊です。
選考外だけどオススメしたい本・書籍
- 「1さつのおくりもの」作:森山京
- 「ごきげんなすてご」作:いとうひろし
- 「くまくんとうさぎくん くもようび」作:さえぐさひろこ
- 「番ねずみのかやちゃん」作:R・ウィルバー/訳:松岡享子
- 「かいじゅうでんとう」作:木村裕一
読書感想文の推薦書籍(2年生対象)
「あらしのよるに」作:木村裕一
嵐の夜、一匹の羊が出会ったのは、なんと狼でした。同名タイトルの映画にもなった。木村裕一作の名作「あらしのよるに」。とにかく、色々考えさせられる作品としては感想文を書くうえではとても分かりやすく、また変な話教師受けのいい作品です。捕食者である狼と餌である羊の間に芽生えた切なくも美しく、そして奇妙で楽しい友情。心が温かくなる、感動の名作です。
「なんでもただ会社」作:ニコラ・ド・イルシング/訳:末松氷海子
いたずら電話をしていた少年の電話につながったのは、なんでもタダにしてくれる会社だった。そんな、大人であったらそのあとに手痛いしっぺ返しが来ることが透けて見えてしまう、ちょっと怖いお話。とは言えホラーではないので安心して読ませることができます。最近、小学生でも消費社会についての授業をする学校もあります。そんな学校に通っているお子様にはぜひお薦めしたい、物を買うという事の意味を問いかける児童書の傑作です。ハラハラドキドキの末に教訓を学ぶ。大人が読んでもちょっと怖いお話です。
選考外だけどオススメしたい本・書籍
- 「ちょっとおんぶ」作:岩瀬成子
- 「ようふくなおしのモモーヌ」作:片山令子
- 「まめじかカンチルの冒険」再話:松井由紀子
- 「へろりのだいふく」作:たかどのほうこ
- 「ふしぎなテレビのイジワル作戦」作:ニコラ・ド・イルシング/訳:末松氷海子
読書感想文の推薦書籍(3年生対象)
「先生しゅくだいわすれました」作:山本悦子
宿題を忘れた理由をみんなで考える、それもできるだけ壮大な嘘の話を。これだけで、小学生には一瞬で引き込まれて興味の湧く内容であることは間違いありません。宿題を忘れることも嘘をつくことも、当然学校で怒られることなのに、この物語の中では先生が率先して嘘を考えてくるように言うのですから、小学生の感じる背徳感とワクワクは格別。しかし、もちろん内容は嘘を肯定するのでも宿題をしないことを賛美する内容でもありません。読み進める度に物語のクラスの一員となって、感想文では書ききれないほどの感想を手に入れることのできる一冊です。
「エレベーターは秘密のとびら」作:三野誠子
いつも乗りなれたマンションのエレベーター。そんなエレベーターのいつもは下りない階で降りたら、そこには異世界が広がっていた。小学生でなくとも、大人でもワクワクしそうな内容ですが、特に宇マンションに住んでいてエレベーターを日常使ているお子様にはたまらない題材です。子供は自分の日常とクロスオーバーさせることで、本にのめりこむことが多いですから、こういう本は最適。ファンタジー要素、なぞ解き要素、そして友情の要素も含んだ感想文にしやすい内容で、男女を問わず読みやすい話になっています。
選考外だけどオススメしたい本・書籍
- 「火曜日のごちそうはヒキガエル」作:ラッセル・E・エリクソン/訳:佐藤涼子
- 「かめきちのたてこもり大作戦」作:村上しいこ
- 「くまのこウーフ」作:神沢利子
- 「めいちゃんの500円玉」作:なかがわちひろ
- 「紳士とオバケ氏」作:たかどのほうこ
読書感想文の推薦書籍(4年生対象)
「チョコレート戦争」作:大石真
この本を感想文の題材としておすすめする理由、それは……。きっとお父さんやお母さんの中に、小学生時代この本にはまった人がいるはずだからです。自分がかつて読んで、そしてはまってしまった本を子供が読んで感想文を書くというのは、感慨深い上に手伝いやすくまた家族の会話も増えますよね。そして、お父さんお母さんは懐かしいノスタルジックにも浸れます。もしかしたらタイトルを忘れて、読んでいるのに自分は読んでいないと思っている人にひとつヒントを出しておきますね。金泉堂のエクレール、憧れませんでしたか?
「パオズになったおひなさま」作:佐和みずえ
読書感想文の題材となる本のジャンルとして、不可欠なのが戦争体験をつづったもの。お子様に平和の尊さを感じさせるとともに、宿題としても非常に先生方に喜ばれる題材です。しかし、お子様が眠れなくなるほどの悲劇や、残酷な描写があふれているものは、いくら平和を考えさせるためだとしてもこの年のお子様には読ませたくないですよね。そういった意味で最適なのがこの「パオズになったおひなさま」です。戦争という激動の時代に飲み込まれてゆく二人の少女と、その友情。そして、暖かなパオズと主人公の心の動き。決して忘れてはいけない戦争の記憶とともに、人間の深い愛情について考え去られる作品です。
選考外だけどオススメしたい本・書籍
- 「かあちゃん取扱説明書」作:いとうみく
- 「レンタルロボット」作:滝井幸代
- 「みさき食堂へようこそ」作:香坂直
- 「くちぶえ番長」作:重松清
- 「シャーロットのおくりもの」作:EBホワイト/訳:さくまゆきこ
読書感想文の推薦書籍(5年生対象)
「シートン動物記 オオカミ王ロボ」作:アーネスト・T・シートン/訳:今泉吉晴
男の子が好む読書感想文の題材の中でも、どちらかというと本を読むのが苦手な理系のお子様にオススメしたいのがこの「シートン動物記」。中でもオオカミ王ロボは、男の子ならば必ず好きになるお話です。作り話ではない、ルポルタージュに近い実話を基にしたお話しだからこそ感じられる、感傷や思い入れの通じないリアリスティックな世界。現実の厳しさと、そしてオオカミ王であるロボの気高さと情の深さ。自分達と同じ人間の非情さ、人間の敵であるオオカミの美しさ。そして、そんなオオカミの姿を冷酷なまでに冷静にそして克明に切り取って記していくシートン博士の科学者の目。読書嫌いのお子様にこそ読んで欲しい、名作です。
「願いがかなうふしぎな日記」作:本田有明
夏休みの宿題として、お子様にとって感情移入しやすい作品、それが本作。なくなったおばあちゃんからもらった不思議な日記に願いをつづると、不思議とその願いが叶っていくという出来事に遭遇する主人公。お話しでは、日記に書いた願いが次々とかない、主人公はその日記に様々な願いを書いていく、そんな夏のお話。今まさに日記に苦しんでいる夏休みのお子様にぴったりな内容です。もちろん、物語の中で主人公は、願いがかなわない凍壁にぶつかります、全てがうまくいくような簡単な話ではありません。願いをかなえるという行為の本質や、そのために必要なことが何なのか、おばあちゃんからもらった不思議な日記を通じて成長していく主人公。その姿を本で追体験していくうちに、お子様の中に何らかの成長がみられるかもしれませんね。
選考外だけどオススメしたい本・書籍
- 「シャイローがきた夏」作:フィリス・レイノルズ・レイラ―/訳:さくまゆみこ
- 「教室の祭り」作:草野たき
- 「みどりのゆび」作:モーリス・ドュリオン/訳:安東次男
- 「ユウキ」作:伊藤遊
- 「糸子の体重計」作:いとうみく
読書感想文の推薦書籍(6年生対象)
「ルドルフとイッパイアッテナ」作:斎藤洋
猫を題材にした作品としては、最も有名で最高傑作と言っても過言ではない名児童文学作品。それが本作「ルドルフとイッパイアッテナ」です。長い間親しまれそして数多くの人に愛されてきたこの作品は、アニメ映画化もされていて、感想文を書く際にそちらも合わせて見るとより効果的なのではないかとおもいます。しかもこの作品のおすすめポイントは、きっと学校の図書館や自治体の児童図書館にあるはずだからです。私も数多くの図書館を知っていますが、この本がない図書館はまずないと言ってもいいでしょう。それくらい小学生が読む本としては定番中の定番で、定番になるだけの魅力と感動がそこにはあります。読書感想文の題材としての本を勧めるのが今回の趣旨ですが、もちろん読書感想文の題材としても当然ですが、ただ読んで欲しい本としても間違いなくお勧めの一冊です。
「バッテリー」作:あさのあつこ
大人が読んでも間違いなく面白い作品として、親子で読むのに最適な一冊、それが本作。証拠に、決して子供向けではない映画、そしてドラマにとこの物語は飛躍してゆきました。もちろん内容は、お子様が読んでも何の問題もない、そしてお子様でも間違いなく読み進めることのできる簡単さですし、読書感想文にはぴったりです。野球を題材にしたスポーツものですので、野球をしているお子様ならば読書嫌いの子でもきっと読めますし、この題材で女の子が読んでもきっと楽しめる内容です。ひとつだけ欠点があるとすれば、全6巻という決して短くないその分量ですが、読書感想文に途中までの感想を書いても別に悪いというわけではありません。たとえば3巻までなら、そこまでの感想をかいた後「これでちょうど半分、これからのお話しがとても気になります」と結んでも立派な読書感想文です。そして6巻全巻そろう頃には、きっと親子そろって何度も読み返すことになるでしょう。もしかしたら、お子様が読む速度に待ちきれず、親が先走って全巻そろえちゃうかもしれませんよ。
選考外だけどオススメしたい本・書籍
- 「ふたり」作:福田隆浩
- 「わたしのこころの中」作:シャロン・F・ドレイパー/訳:横山和江
- 「光のうつしえ 廣島 ヒロシマ 広島」作:朽木祥
- 「星空ロック」作:那須田淳
- 「歯みがきつくって億万長者」作:ジーン・メリル/訳:平野恵理子
いかがでしたか、【夏休みの宿題】小学生のおすすめ!読書感想文におすすめの読みやすい本・小説12選 。参考になりましたでしょうか。1学年2冊、6学年で12作の物語を選ばせていただきましたが、読書感想文にふさわしい作品は他にもたくさんあります。そこで、選外のおすすめとして、各学年で5冊づつ選ばせていただきました。選外の作品に解説はありませんが、どれをとっても間違いなく読書感想文にふさわしい名作になっています。12選に選ばれた本が近くになかったり、お子様の趣味なわなかったときには、ぜひ選外のおすすめから選んでみていかがでしょうか。間違いなくどれも珠玉の名作です。夏休み。蝉取りや旅行やお祭り、花火大会の想い出とともに、読書感想文の為に読んだ一冊の本が、お子様の大切な夏の思い出になれば、こんなにうれしい事はありません。
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