誰にとっても人生は有限です。
限られている人生だからこそ、その中で積極的に良い作品との出会いを求めていきたいところです。
そこで、今回は死ぬまでに絶対に読むべきとも言える日本発のおすすめ作品をランキング形式で20作品ご紹介していきたいと思います。
第1位:夏目漱石「こころ」
夏目漱石さんの「こころ」は誰もが知っている作品だと思いますが、まさにタイトルの通り、人のこころについて描かれています。
先生とその親友Kはかつて同じ女性を好きになりました。
先生は親友Kを裏切り、その女性と結ばれますが、親友Kはその後、自殺してしまいます。
人間のエゴイズムや倫理観、また先生が抱えていたであろう罪悪感など本当にいろいろなことを考えさせられます。
人を裏切ってでも自分だけが幸せになろうという人間が増えている今だからこそ、読むべき小説です。
第2位:夏目漱石「坊っちゃん」
夏目漱石さんの本でもうひとつ読むべきなのが「坊っちゃん」です。
こちらも有名な作品です。
「今の時代であればとんでもない!」と思う方もいるかもしれませんが、今の時代だからこそ坊っちゃんから学ぶことはとても多いです。
もちろん、坊っちゃんが人として完璧であるというわけではないものの、嘘を吐くことや不正が嫌いで、それを許さない気質は今の日本人がもっとも見習わなければいけない部分かもしれません。
また、坊っちゃんと清の関係性もとても素敵です。
第3位:太宰治「人間失格」
太宰治さんの「人間失格」も是非とも読むべき小説ですし、最近では海外でも人気の書籍となっています。
本当の自分を誰にもさらけ出すことのできない男の人生を描いている作品なのですが、人間の闇や弱さをこれでもかというほどに見せつけられます。
中には読み進めていく中で「自分はここまでではない」と感じる方もいるかもしれませんが、大きなスケールで見ると現代人は誰しもが人間失格の状態にあると言えるのではないでしょうか?
第4位:太宰治「斜陽」
太宰治さんの本についてはやはり「斜陽」も読むべきでしょう。
いわゆる敗戦後の没落貴族が描かれているのですが、本物の貴族であった母親、貴族であることを捨てた娘、貴族であることを捨てきれずに苦しんだ弟……それぞれの生き方が胸を揺さぶります。
昔の時代が舞台になっていると考える方がほとんどでしょうが、戦争に向かっている今、この小説に描かれているような経験を誰もがしてしまう可能性もあります。
ある意味では緊張感を持って読みたい書籍です。
第5位:川端康成「雪国」
川端康成さんの「雪国」も読むべき小説のひとつです。
日本国内だけではなく、国外でも名作として高く評価されている本になります。
今の日本では「白か黒か」「0か100か」という極端な考え方が蔓延していますが、だからこそ、この作品を通して曖昧さを楽しめるような心の余裕を持ってほしいなと思います。
何とも言えない空気感、虚しさ、悲しさなど感覚を研ぎ澄ませて向き合ってほしい書籍です。
「この子、気がちがうわ」というセリフがとても印象的です。
第6位:武者小路実篤「友情」
今は恋愛に消極的な方が増えていると言われていますが、そんな今の時代だからこそ読むべきなのが武者小路実篤さんの「友情」です。
友情で結ばれていた脚本家の野島と新進作家の大宮が同じ女性を好きになってしまうという物語なのですが、友情をとるのか、恋愛をとるのかという葛藤が胸に迫ってきます。
永遠の青春小説と言われるだけあって、やはり読み応えがあります。
最近のノリの軽い馬鹿げた恋愛ドラマには飽き飽きだという方も、この本であればきっと楽しめるはずです。
第7位:島崎藤村「破戒」
今は世界中が差別というものに敏感に反応するようになりましたが、その一方で差別がなくなる気配はありません。
そんな今だからこそ読むべきなのが島崎藤村さんの「破戒」です。
この小説の舞台は明治時代、被差別部落出身という自分の出生を明かした教師瀬川丑松が主人公です。
周囲の理由なき偏見と人間の内面がこれでもかというほどに描かれています。
差別という言葉に踊らされるのではなく、差別とは何なのか、なぜ差別がいけないのかを改めて考えていきましょう。
第8位:三島由紀夫「仮面の告白」
三島由紀夫さんの「仮面の告白」は三島由紀夫さんの少年時代から23歳に至るまでの時期を自伝的に書いた小説になります。
一般的な自伝小説と異なり、性欲を中心に描かれているのが印象的です。
多様化が叫ばれる今の時代だからこそ、読むべき本だと言っていいでしょう。
三島由紀夫さんの書籍は他にも魅力的なものがたくさんありますので、この本をきっかけに三島由紀夫さんの世界にどっぷりと浸かってみてもいいかもしれません。
第9位:遠藤周作「海と毒薬」
遠藤周作さんの「海と毒薬」は、太平洋戦争中に捕虜となった米兵が臨床実験の被験者として使用された事件「九州大学生体解剖事件」を題材にした小説です。
ただし、あくまでも題材にしたのみで、物語自体は創作性の強いものとなっています。
新型コロナウイルスに関する一連の騒動では同調圧力に負けてしまった方も多いでしょう。
この本の中でもまさに同調圧力というものが描かれており、それによって一見すると普通に見える人々がとんでもない選択をすることになります。
コロナを経験した現代人だからこそ読むべき作品ですし、いろいろなことを考えさせられます。
第10位:宮沢賢治「銀河鉄道の夜」
宮沢賢治さんの「銀河鉄道の夜」はとても有名な作品で、読むべきと言われる前にすでに読んでいるという方も多いかもしれません。
その幻想的な世界観はもちろんなのですが、この物語の中では「本当の幸せ」というものが大きなテーマになっており、物語を通して本当の幸せとは何なのかを考えることになります。
今は本当の幸せを手に入れられず、また本当の幸せが何なのかもわからずに苦しんでいる方が多い時代です。
今の時代だからこそ、求められる本のひとつと言えるのかもしれません。
第11位:開高健「輝ける闇」
開高健さんの「輝ける闇」は、開高健さんが取材のため南ベトナム政府軍に従軍した際、激しい戦闘に巻き込まれ奇跡的に生還した体験がベースになっていると言われています。
開高健さん自身もいろいろなものを抱えながら生きていた方なので、前向きに生きることができないという方ほど、この小説を通して気づきが得られるのではないかと思います。
開高健さんの書籍は他にもさまざまなものがありますので、この本で気づきや新しい視点を得られたのであれば積極的に他の作品も手に取ってほしいです。
第12位:宮本輝「流転の海」
宮本輝さんの「流転の海」は、第1部から第9部までで構成されているシリーズもので、連載開始から終了まで36年という時間をかけた大作です。
宮本輝さんの父親がモデルになっている自伝的大河小説でもあります。
小説を読むのであればシリーズものでじっくりと時間をかけたいという方におすすめです。
親子関係、夫婦関係、仕事での人間関係など本当にいろいろな人間模様が描かれており、作中の登場人物の数もかなりのものです。
自分以外の誰かの人生を知るのと同時に、その中で登場するいろいろな立場の人の気持ちも考えさせられます。
第13位:芥川龍之介「蜘蛛の糸」
芥川龍之介さんの書籍もいろいろなものがありますが、特に「蜘蛛の糸」は読みやすく、普段はあまり本を読まないという方でも楽しめるかと思います。
「蜘蛛の糸」は地獄に落ちた男がやっとのことで救いの糸をつかんだのに、自分だけが助かりたいというエゴイズムのためにまたもや地獄に落ちてしまうという有名な話です。
今の日本は「自分だけが助かりたい」という人たちばかりなので、多くの方が地獄行きということになるのでしょう。
そうならないためにも、こういった作品を通してしっかりと学んでいきたいところです。
第14位:井伏鱒二「山椒魚」
井伏鱒二さんの「山椒魚」もまさに読むべき名作です。
岩屋の中に棲んでいるうちに体が大きくなり、外へ出られなくなった山椒魚の話なのですが、この時点ですでにユーモラスです。
ただ、ユーモラスなだけではなく、詩的な表現の中で感じられる切なさや虚しさなども魅力になっています。
もし自分自身が山椒魚だったらどうするだろうか……と想像してしまうはずです。
第15位:筒井康隆「旅のラゴス」
筒井康隆さんの「旅のラゴス」はおすすめ小説として必ず名前が挙がる作品です。
突然高度な文明を失った代償として人々が超能力を獲得しだした世界で、ひたすら旅を続ける男「ラゴス」を描いた物語です。
古い作品ではあるものの、SF小説ということもあって古さはまったく感じられませんし、とても読みやすいです。
ラゴスの旅を通して、人生は旅と同じだということを感じさせられます。
第16位:司馬遼太郎「燃えよ剣」
司馬遼太郎さんの「燃えよ剣」は、新選組副長の土方歳三の生涯を描いた歴史小説になります。
司馬遼太郎さんの代表作のひとつであり、これまでにもドラマや映画、舞台などにもなっているので、読んでおいたほうがより人生を楽しめる本だと言えるでしょう。
新選組が好きだという方や土方歳三が好きだという方にはたまらない物語です。
第17位:小野不由美「屍鬼」
小野不由美さんの「屍鬼」は、ジャンルとしてはサスペンス・ホラーになります。
外部から1本の国道しかつながっていないような本当に周囲から隔離された小さな村・外場村が舞台となっている物語です。
とある地区で3人の村人の死体が発見され、それから村人が次々と死んでいくのですが、タイトルにもなっている「屍鬼」の怖さだけではなく、閉鎖的な村ならではの恐怖もしっかりと描かれています。
ちなみに、この本はスティーヴン・キングの「呪われた町」へのオマージュでもありますので、読み比べてみるのもまた面白いかもしれません。
第18位:京極夏彦「嗤う伊右衛門」
京極夏彦さんの書籍はどれもすばらしいのですが、読むべき本をひとつ挙げるのであれば「嗤う伊右衛門」でしょう。
四谷怪談のお岩さんについてはご存知でしょうが、あのお岩さんの話に斬新な解釈を加えた作品です。
本当に切ない純愛と人間の業といったものが容赦なく描かれています。
幽霊や怪異による恐怖ではなく、人間の汚さやおぞましさが際立っています。
まさに京極夏彦さんだからこそ生み出せた作品、京極夏彦さんでないと生み出せなかった作品です。
第19位:夢野久作「ドグラ・マグラ」
夢野久作さんの「ドグラ・マグラ」についてはタイトルは知っているものの、読んだことがないという方も多いのではないでしょうか?
ただ、この書籍もまさに読むべき1冊と言えます。
九州帝国大学医学部精神病科の独房に閉じ込められた、記憶喪失中の若き精神病患者の物語で、探偵小説であり、探偵小説ではないという何とも分類に困る作品なのです。
犯人も真相も真実も作中で名言はされておらず、その内容はとにかく何回で1回読んだくらいでは到底理解できません。
何度でも立ち向かっていきたい作品です。
第20位:大江健三郎「個人的な体験」
そして、最後にご紹介するのが大江健三郎さんの「個人的な体験」です。
脳瘤とおそらくそれによる脳障害を持つと思われる長男が産まれたことがきっかけでの人間の生々しい葛藤や逃避が描かれています。
今は出生前診断などを利用する方も多いでしょうが、親になるということの覚悟、また命との向き合い方について深く考えさせられます。
重たい話ではありますが、最後には救いがあります。
世知辛い世の中だからこそ、読書でもっと人生を豊かに
今回は死ぬまでに絶対に読むべきと言えるような日本発のおすすめの小説本・書籍をランキング形式でご紹介しました。
日本発の作品にもまだまだおすすめ作品はたくさんあります。
ランキングに入っていない日本発の作品も是非チェックしてみてください。
世知辛い世の中だからこそ、こういった小説本や書籍を通してもっと人生を豊かなものにしていきましょう。