誉田哲也|おすすめの小説本ランキング【作家名から作品を探す】

そのデビューがムー伝奇ノベル大賞というかなり異色の経歴を持つ作家、誉田哲也。
ミュージシャンとしてデビューを目指していたものの、椎名林檎の才能に圧倒されて作家に転身するという本当に変わった作家でもあります。
映像化された小説も多く、特徴としては視覚的な描写の旨さが光る作家です。
内容はどちらかといえば社会はハードボイルド的なものが多いのですが、それだけでないことは言うまでもありません。
そんな誉田作品、ご紹介していきましょう。

1|武士道シックスティーン(文春文庫)

月刊アフタヌーンとデラックスマーガレットで漫画化された作品。
そう、少女漫画として漫画化された、かなり少女漫画テイストの濃い作品で、映画化もされた彼の代表作の1つです。
それもそのはず、主人公は二人の少女。
そんな二人の少女が惹かれ合い反発し合いながらも剣道を通して友情を深めていくという、これでもかというくらい王道の青春友情小説なのです。
そして、そんな青春友情小説が、その期待にを裏切ること無く、甘く切なく、そしてほろ苦いのです。
さらに、その舞台となるの剣道の世界。
なかなかこういった小説で描かれることのない剣道の世界は、ただそれを描写するだけでも、独特の雰囲気感を感じられて心をワクワクさせる舞台装置。
しかも、剣道を知らないひとでもしっかりと分かるように、そして作品世界を壊さないように、絶妙に剣道の解説も入れてくる、誉田作品として代表作と言って過言ではない一冊です。

2|ジウ 警視庁特殊犯捜査係(中公文庫)

警察と犯罪組織の戦い、そんな世界を描いた誉田らしいハードなテイストの小説。
しかし、その主体となる構成は、やはり反駁し合いながらもどこかで惹かれ合う二人の女主人公の姿であり、そんな人間ドラマを主軸に話が進んでいきます。
ただ、先程の剣道の話とはその内調がまったく別物。
児童連続誘拐事件を発端とした、まさに天才と言うにふさわしい犯罪者『ジウ』をリーダーとした新世界秩序との戦いは、かなりハード。
しっかりと本格的なクライムサスペンスとして読むことのできる作品です。
そして、やはりこの二人の主人公の魅力がこの作品の中心であり、ストーリーを読み勧めていいく上で、その手を止めることができなくなる大きな要因。
主人公二人の人間関係から、警察もの独特の世界観と雰囲気、そして息をつかせぬアクションなどその魅力が盛りだくさんの作品です。

3|ハング(中公文庫)

誉田の得意な警察者のクライムサスペンス。
そのハードな内容は、誉田作品の中でも随一で、事件とともに警察組織という大きな影とも戦う、警察者の面白さを凝縮したような小説です。
基本的に、警察組織と1啓示の戦いというのは警察者の小説ではよくある展開。
しかし、このよくある展開をよくある展開でありながらも面白く仕上げるのは難しいことであり、多くの作品がそのよくある感の前に駄作となってきたことを考えると、この小説は大成功と言っていいでしょう。
その成功の決め手は徹底したリアル。
そのリアルとは、話の中でどんどんと仲間が死んでいくことからも、決して現実世界に準拠しているというわけではなく、現実世界ではありえないようなことも真実に思えてくる圧倒的な筆力による現実感。
そんな現実感が伴っているからこそ、嘘くささを感じさせない、現実的な緊迫感を常に感じるヒリヒリとした小説としてその輝きは生まれているのです。
そして待ち受けた結末の、決してハッピーとは言えないその終わり方にもまたリアルがしっかりと感じられる。
しっかりとハードボイルドな心を抉る傑作です。

4|幸せの条件(中公文庫)

一転して、農業とむきあうダメOLのお話。
バイオエタノールの原料となるコメを作ってもらうべく、農家探しに長野へ赴いたのは、在庫管理と伝票整理しか出来ない・・・それすらダラダラとこなすだけのダメOL。
当然、閉鎖的な農家たちからは断られ門前払いの洗礼を浴び続けることになるのですが。
この主人公のOLが本当にダメ人間なので、そのダメ人間っぷりを見ているだけでも微笑ましくもおかしなコメディに感じられてきます。
しかし、ここで話は一変。
日本人ならば決して忘れることの出来ない、東日本大震災が物語の転機となるのです。
これを気にそのダメOLは変わります。
多くの日本人が感じた絶望感の中、そのダメOLが何を感じどう生きていこうとするのか、そして何を成し遂げていくのか、それは小説でお楽しみください。
そして、その先に見えてくるのが本作のタイトルでもある幸せの条件。
農業とそれに携わる多くの人々と触れ合っていくことで、この主人公が見つけた幸せの条件とは何か・・・そして彼女のたどり着いた答えとは何だったのか。
そこにあったのは、確かに人間の生きている姿です。

5|ストロベリーナイト(光文社文庫)

竹内結子主演で大人気となった同名タイトルのドラマ原作である本作。
グロテスクな殺人の描写が多く、惨殺や凄惨な現場がきちんと描写されているにもかかわらず、何故か女性人気の高い不思議な小説でもあります。
そしてこれも誉田お得意の警察もの。
この作品が他の小説に比べて人気を博したのは、まず1つは主人公姫川を中心とする姫川班というその仲間たちの個性的なキャラクター。
そしてもう1つが冷徹なまでリアルに描写することで逆にグロテスクさに嫌悪感を生まなかったその文体。
中でもほぼ思考が犯罪者という危うい天才である主人公姫川のキャラクターとしての魅力は突出していて、女性が憧れる女性像としても大きな人気を博しています。
本来ならばグロ注意な作品でそういうのが嫌いな人に進めるべき作品ではありません。
しかし、描写の割には本当に不思議とグロテスクさを感じませんので、ぜひ一度読んでみてください。
もしかしたら初めてハマるこういう系統の小説になるかもしれません。

エンターテインメントとしての小説

誉田作品は、様々な舞台とテーマで、かなりジャンルの違う作品で構成されています。
しかし、そのすべてに共通するのは、いわゆる『話をいかに面白くするのか』というエンターテインメント性に特化した娯楽感の強さです。
その面白さ。一度体感してみてくださいね。

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