絶対に読むべき!何度も読み返したくなる本・書籍【世界の歴史的名著 9選】

世界の歴史的名著と呼ばれているものは数多く存在しますが、歴史的名著はただ単にその時代背景を知るためだけのものではありません。
本という形で先人たちの知恵や経験を後世に語り継ぐためのものでもあります。
「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」という言葉がありますが、現代人は間違いなく愚者の道を突き進もうとしています。
そんな今の時代だからこそ、世界の歴史的名著から多くの学びを得て、賢者を目指していきましょう。
今回は絶対に読むべき世界の歴史的名著、何度も読み返したくなる本・書籍をご紹介していきたいと思います。

1:独裁体制から民主主義へ 権力に対抗するための教科書(著者:ジーン・シャープ、翻訳:瀧口 範子)

最初にご紹介するのが『独裁体制から民主主義へ 権力に対抗するための教科書』です。
著者はジーン・シャープさん、翻訳は瀧口 範子さんがおこなっています。
中には「日本は民主主義国家だから関係ないのでは?」と思う方もいるかもしれませんが、そういった方はまず今の日本がどんどん独裁体制になっていることに気づきましょう。
また、随分前から気づいていたという方の中には「何をどうやったって変えられない」と思っている方も多いでしょう。
ただ、そういった考えもこの書籍を読むことによって変わってくるかと思います。
もちろん、この書籍に書かれていることのすべてが日本にも綺麗に当てはまるというわけではありません。
それでも独裁体制、独裁政権にどうやって対抗していくかというヒントが数多く得られます。
「やられたらやり返す」という考え方では同じことを繰り返してしまうだけです。
もっと賢いやり方があるということに気づき、すぐに結果を求めることなく、今できることを地道にやっていきましょう。

2:アイヌ神謡集(編訳:知里幸恵)

世界の歴史的名著の中には命がけで作り上げられたものもあります。
知里幸恵さんによる編訳の『アイヌ神謡集』もまさにその1冊です。
今は「ゴールデンカムイ」といった作品の影響でアイヌへの注目度が高まっています。
ただ、その一方で注目度が高まっているからとアイヌを悪用するようなケースも目立つようになっています。
アイヌに興味を持ったのであれば、アイヌにどのような文化があったのか、長い歴史の中でアイヌ民族にどのような仕打ちをしてきたのかをきちんと理解しなければいけません。
こちらの書籍は文化面の理解をするのにとても役立ちます。
アイヌ民族ならではの世界観や精神性は、大切な何かを失ってしまった現代人にとって気付きをもたらしてくれるはずです。

3:群衆心理(著者:ギュスターヴ・ル・ボン、翻訳:桜井 成夫)

『群衆心理』もまさに今の時代だからこそ読むべき世界の歴史的名著です。
著者はギュスターヴ・ル・ボンさん、翻訳は桜井 成夫さんがおこなっています。
今はSNSなどの影響で情報が一気に拡散してしまう時代です。
しかも、その情報の真偽を確かめることもなく、また自分自身で考えることもせずに情報を拡散するような人間ばかりなので、まったく罪のない人の人生がめちゃくちゃにされてしまうということも多々あります。
自分たちの拡散した情報が間違ったものだったとわかっても、「みんながそう言ってたから」と言い訳をするだけ……どう考えてもおかしなことなのですが、今の日本ではこれが日常になっています。
これこそまさに群衆心理だと言えるでしょう。
恐ろしいことに、こうした群衆心理は為政者や新聞、雑誌などのメディアによって簡単に扇動されてしまうのです。
要はすでに間違っていることが正しい情報として、正しいことが間違った情報として拡散されるような世の中になっているということです。
ただ流されて利用されるだけの人間ではなく、自分自身でしっかりと情報を見極め、考えられるような人間になっていかなければいけません。
そのための必読書と言っても過言ではありません。

4:華氏451度(著者:レイ・ブラッドベリ、翻訳:伊藤典夫)

『華氏451度』はレイ・ブラッドベリさんの著書で、新訳版として翻訳をおこなっているのが伊藤典夫さんです。
とても古い小説になります。
ベストセラーになっているSF小説というイメージが強いという方も多いでしょう。
もちろん、シンプルにSF小説としても楽しめるとは思います。
ただ、これは本が忌むべき禁制品となった未来を舞台にした思想統制の話でもあるのです。
今は本を読まなくなったという方も多いでしょうが、読書の習慣がなくなったことによって人々の読解力や思考力というのは確実に低下しているはずです。
本を自ら手放し、スマートフォンに依存して動画や画像ばかり……そういった中で国民の読解力や思考力が低下していくのをいいことに国は好き放題しているというのが今の日本の現状とも言えます。
舞台は違えど、皮肉にもこの小説と同じようなことが日本を含め世界中で起こっているわけです。
早い段階から国に危機感を抱いていた方ほどこの小説を取り上げていたというのもなかなか興味深いところです。

5:力なき者たちの力(著者:ヴァーツラフ・ハヴェル、翻訳:阿部 賢一)

『力なき者たちの力』はヴァーツラフ・ハヴェルさんの著書で、翻訳を阿部 賢一さんがおこなっています。
正直なところ、ややわかりにくいところがあり、どちらかというと難解な部類に入る書籍になるかと思います。
ただ、だからこそ自然と何度も読み返すことになるでしょうし、それによって理解がどんどん深まっていくはずです。
強圧的な独裁ではなく、人々の欲望につけこむ形で高度な監視システムと個人の生を複雑に縛るルールをいきわたらせる社会体制……これを「ポスト全体主義」と呼ぶのですが、冷静になって考えてみると現代人もすでに同じような社会体制の中で生きています。
実際に、管理をしやすくするためという建前で個人情報はどんどん吸い取られていますし、情報統制もどんどん進んでいるのです。
これは日本だけではなく、世界的に出てきているひとつの傾向とも言えます。
その中でおかしな社会体制に巻き込まれないためには何が必要なのか、何をしていけばいいのかを考えるきっかけをくれる書籍でもあります。

6:カラマーゾフの兄弟(著者:ドストエフスキー、翻訳:亀山郁夫)

『カラマーゾフの兄弟』は世界文学史上の最高傑作のひとつとも言われているものです。
著者はロシアの文豪として言わずと知れたドストエフスキーさん、翻訳は亀山郁夫さんがおこなっています。
この作品に関しては亀山郁夫さん以外にもいろいろな方が翻訳をおこなっています。
強欲かつ好色な成り上がり地主フョードル・カラマーゾフとその3人の息子、それぞれの複雑な人間関係やサイドストーリーが盛り込まれており、同時に「思想小説」「宗教小説」「推理小説」「裁判小説」「家庭小説」「恋愛小説」などいろいろなテーマが含まれている作品でもあります。
そのため、どこに視点を置くかによって感じ方もまったく違ってくるかと思います。
ただ、お金と欲望に翻弄される人間がとてもリアルに描かれており、そういった点では現代にも通ずる部分が多くあります。
本当の意味での自由とは何なのか、本当の意味での幸福とは何なのか、魂にとっての救いとは何なのか……いろいろなことを考えさせられます。
登場人物が多く、わかりにくいところもあるかもしれませんが、これまでに数多くの映画化やドラマ化がなされている作品でもありますので、映像作品と合わせて読んでいくとわかりやすいかと思います。

7:平家物語(翻訳:古川日出男)

『平家物語』も世界の歴史的名著と言えるでしょう。
この作品に関してもいろいろな方が翻訳をおこなっているのですが、その中でも特に古川日出男さんによる翻訳が読みやすいと評判になっているようです。
翻訳が読みやすいとボリュームがあっても思っている以上にサクサクと読み進められます。
平家物語と言えばやはり「平家にあらずんば人にあらず」という言葉が有名です。
実際に、人間の傲慢さがシンプルにわかりやすく表現されている言葉と言えるでしょう。
日本でも宗教の問題が取り沙汰されるようになり、その中で「選民意識」といった言葉が出てくることもありますが、まさに選民意識の象徴とも言える表現です。
また、今の時代に改めてこの作品を読むと「人間は何度同じことを繰り返すのか」と本当にすべてのことが馬鹿らしくなってきます。
時代が違うだけで、やっていることはずっと同じなのです。
一部の人間が富と権力を手に入れると「もっと!もっと!」と欲が出てきて、人を平気で蹂躙し、支配するようになり、最終的には破滅するのです。
何かあれば自分たちで話し合いをして解決するなり、シンプルに自分たちが前に出て一騎打ちをするなりすればいいものを、それを絶対にせずに自分たちは安全な場所から口を出すだけです。
駒をたき付けて、駒がボロボロになったら新しい駒を用意する……それで一番の被害を受けるのはただ静かに暮らしていた人々です。
今の日本も同じですし、そういうことが世界中で今でも起こっているということを改めて認識しなければいけません。

8:わたしと小鳥とすずと 金子みすゞ童謡集(著者:金子 みすゞ、編集:矢崎 節夫)

『わたしと小鳥とすずと 金子みすゞ童謡集』は金子 みすゞさんが残した512編の作品から最初に読んでほしい60編をまとめた童謡集になります。
編集は矢崎 節夫さんがおこなっています。
「私が両手をひろげても、お空はちっとも飛べないが、飛べる小鳥は私のやうに、地面を速くは走れない。私がからだをゆすっても、きれいな音は出ないけど、あの鳴る鈴は私のやうに、たくさんな唄は知らないよ。鈴と、小鳥と、それから私、みんなちがって、みんないい。」
これは金子 みすゞさんの代表作のひとつでもあります。
金子 みすゞさんの作品は本当にどれもすばらしいですし、「今を生きる人間がどれだけ無駄なことで争っているのか」を痛感させられます。
他にも「雀のかあさん」など本当に心を揺さぶる作品がたくさんありますので、この本に限らず金子 みすゞさんの作品は是非すべてに目を通しておきたいところです。

9:人は何で生きるか(著者:レフ・トルストイ、翻訳:北御門 二郎)

『人は何で生きるか』も今の時代に必要な世界の歴史的名著と言えるでしょう。
著者のレフ・トルストイさんは『戦争と平和』『アンナ・カレーニナ』などの重厚感のある作品で良く知られていますが、その一方で親しみやすい民話も数多く残しています。
翻訳は北御門 二郎さんがおこなっていますが、他にもいろいろな方がこの作品の翻訳をしています。
今はどこの国もおかしくなっていますが、その中で「なんで日本はこんな国になってしまったんだろう……」と思っている方も多いのではないでしょうか?
実際に、多くの人がろくに考えもせずに嘘に踊らされ、正しいことを主張すればするほど叩かれるような理不尽な国になっていまいました。
生きづらさを感じる方が増えるのも当然でしょうし、「こんな世の中でなぜ生きていかいなければいけないのか」「もう生きていたくない」「生きる意味がわからない」と思ってしまうのも仕方がありません。
ただ、そういう方であればあるほど、この本によってさまざまな気づきが得られるはずです。
新型コロナウイルス関連で多くの方が亡くなり、自殺者も増えている今の日本だからこそ、改めて生きることについて、また命について、しっかりと考えていくべきなのでしょう。

何度も繰り返し読んで、賢者として生きていけるように

今回は絶対に読むべき何度も読み返したくなる世界の歴史的名著ということでご紹介しましたが、中には世界の歴史的名著と言うには少し日の浅いものもあったかもしれません。
ただ、そこに書かれている内容はどれも時代を超えて大切にしていくべきものかと思います。
人によってはテーマが重くて受け止めきれないということもあるでしょう。
もちろん、無理をする必要はありませんが、不都合な部分にこそしっかりと目を向けて考えていくべきなのです。
これからの時代を生き抜くためにも、賢者を目指していきましょう。

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