夏といえば……青春!
かつてまだ学生だった頃のことを思い出せば、夏といえば恋に遊びにいろいろなものが楽しみで、どことなく白っぽい景色とともに様々な思い出がよみがえるはずですよね。
そんなわけで今回は「夏休みに読みたくなる!青春を感じる現代小説10選【真夏に読むべき青春小説】」と題して、そんな青春時代にタイムスリップできそうな小説をご紹介します。
1|『青春デンデケデケデケ』芦原すなお(河出書房)
青春という短いその一瞬に、燃やし尽くした、若く青く熱く切ない物語。田舎の小さな学校で、ビートルズに目覚めてしまった少年たちが初めて楽器を手にするところから文化祭で演奏を披露するまでのドタバタコメディー小説。もうとにかく笑えてなけて、そしてあの日に帰りたくなります。恋も遊びも、それこそ息をするのだけでも一生懸命だったあの日に、きっと。
2|『ひとなつの。』島真寿美/瀧羽麻子/藤谷治/森見登美彦/椰月美智子(角川文庫)
夏をテーマに書かれた5人の小説家による短編集。どれもこれも夏のにおいや、音、感触をじっくりと感じることができる、まさに十人十色の夏模様が楽しめる一冊になっています。お得感満載で夏を楽しむには最適の小説です。ぜひ読んでみてくださいね。
3|『キシャツー』小路幸也(河出書房)
汽車通学(キシャツー)で部活に通う女子高生3人組と突然現れた少年3人が織りなす、甘酸っぱい青春小説。夏にぴったりな北海道の雄大な自然を背景に、夏の太陽の如くまぶしい思いを胸に、悩んで騒いで、そして恋をしていく少年少女たちの青春グラフィティー。とにかく全編通してさわやか背同会館にあふれるお話。夏といえば暑さと過酷さが浮かびますが、確かにあの頃、夏はもっと爽快な季節だったと思い出させてくれる名作です。
4|『夏美のホタル』森沢明夫(角川文庫)
子供の頃の夏休みといえば田舎に帰ることでしたよね。夏の思い出の中心にあった田舎での夏休みの思い出を主人公である大学生のカップルを通して追体験できる、そんなお話です。きっとあなたもこの本を読めば、まだ幼かったころの夏休みの思い出がよみがえってくるはずです。夏、それだけでちょっと切ない季節だと感じていた時期がありましたよね?
5|『ハロー・サマー・グッドバイ』マイクル・コーニイ(河出書房)
SFでファンタジーで恋愛で、そして夏を思いっきり感じることのできる盛りだくさんな作品。しかも物語を通して、最後にたどり着いたその結末は、まさに突き抜ける夏の青い空の様に爽快で心地よいラストになっています。SFを読んでこんな夏を感じる爽快な気分になれるというのは結構初めての体験になるかもしれません。そんな宇宙モノのSFらしからぬ、それでいてしっかりSFの醍醐味も楽しむことのできる名著です。
6|『夏のバスプール』畑野智美(集英社)
ひと夏の甘酸っぱい恋愛模様、しかもその期間たった5日。人生において決して忘れることのできないような恋愛をたった5日で体験することができるのは感受性が豊かだった学生時代の特権。そんな特権を時を超えて味わわせてくれるのがこの作品です。もうとにかく、もどかしくて、せつなくて、微笑ましくて、ずっと心がキュンキュン音を立てているようなそんな気分にさせられます。
7|『僕は勉強ができない』山田詠美(新潮文庫)
大人の恋愛を描かせたら右に出るものはいない、山田詠美さんの青春小説。どこかひねくれていて、物事を斜めに見てしまう主人公が織りなす、青春という言葉でくくるにはもったいない、きらきらと輝く日々の物語。どこかすれている主人公の日常は、それもこれもすべて主人公の素直さが招くこと。素直で正直であるということが大人の目に映る違和感。それもやはり青春のなせる業ですね。
8|『69』村上龍(集英社文庫)
とにかく笑えて、とにかく笑えて、とにかく笑える青春小説。決して電車の中や人前で読めないほどに、心の底から笑える青春小説でありながら、そこは天才村上龍らしく人間の本質に迫る傑作。とにかくこの作品は言葉の一つ一つがかっこよく、なくした厨二心がむくむくと呼び覚まされてきます。「17歳で童貞という事は、別に誇るべきことでも恥ずべきことでもないが重要なことである」作中の一文、かけだし名言です。
9|『春や春』森谷明子(光文社)
俳句甲子園というちょっと変わった題材ながらも、王道の部活もの青春ストーリー。しかも、一人の少女が存在しない俳句部を自分で設立し、個性豊かなメンバーを集めて、そして大会に出場していくという、まさに王道進行の青春小説です。これぞ青春、これぞ夏の一冊。まさに求めていたもの、そのものな青春小説です。
10|『十七歳だった』原田宗典(集英社文庫)
最後の最後で、小説ではなくてエッセイを紹介。しかしそれでもこれほどにばかばかしくて、でも真剣で、そして恥ずかしく、もどかしく、なんとももやもやしていながらもエネルギーにあふれた青春を感じる本はそうそうありません。青春=自意識過剰な馬鹿。そう、自分を思い出して笑えてしまう、そんな珠玉のエッセイ集です。
間違いなくだれもが通った道
もどかしい恋、恥ずかしい日常、馬鹿で、一生懸命で、でも・・・忘れられない輝きに満ちた時間。そんなだれもが一度は通ってきた青春時代。
その輝きと熱い感情は、どれも夏に似つかわしく、そしてそんな夏だからこそ思い出してみたい時代でもあります。
ぜひ、珠玉の青春小説とともに、あなたの青春を懐かしんではいかがでしょうか。
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