浅田次郎|おすすめの小説本ランキング【作家名から作品を探す】

人情に飢えているひとにはまたとない読書のチャンス、それが浅田次郎。
時代物からSF、そして任侠者にいたるまで、心の底から人情の機微を感じさせてくれる作家である浅田次郎の小説は、とにかくジャンルが広いことで有名。
未だ読んだことのない人には本当にうってつけの作家と言えます。
そこで今回はそんな浅田次郎の著書をランキングしてみました。
あなたの心に響く作品がきっとある、そう言い切れる作品たちです。

1|壬生義士伝(文春文庫)

これまで多くの小説で描かれてき新選組。
それこそ司馬遼太郎を始めとして、多くの作家がその生き様に共感して作品を残してきたのですが、その大半がいわゆる近藤・沖田・土方などの中心隊士をモチーフにした物語です。
しかし、この壬生義士伝に書かれているのは吉村という名もなき一人の隊士。
その吉村がいわゆる新選組の生き残りとして、かつて幕末の世を生き抜いた頃の話を回顧するという形で描かれている作品です。
その姿はまさに侍の生きる道。
大正の世となって、侍の心が失われかけている日本において、吉村が呼び覚ます侍の心に触れることで時代の変化と失われたものに対する寂寥感が胸に響きます。
そして、とうぜん泣かせの浅田次郎だけあって、ラストはもう号泣。
人間というものの本性に深く切り込み、そしてその人情を得降るように書き出すその筆力は、まさに浅田の代表作というにふさわしい迫力を持って迫ってくるのです。


2|蒼穹の昴(講談社文庫)

日中共同制作でドラマ化もされた、浅田次郎の人生をかけた一作。
清朝末期の西太后を中心としたストーリーを描く、浅田次郎渾身の歴史大作であり、壮大なスケールで描かれるドラマチックな作品です。
ストーリーは占い師に導かれた二人の青年が清朝の中枢で繰り広げる権謀術数のドラマ。
このような壮大な歴史大作、しかも日本ではない世界のドラマというのは、ともすればとても冷淡で他人事のような描写におちいりやすいのですが、そこは流石に浅田次郎です。
まるでその時代にいてそのシーンを見たかのような描写と人物の真相まで入り込み心理の描きだし。
ひたすらに権力闘争を繰り広げ、戦乱の世へと突入していく清朝にあって、決して冷酷で殺伐にならない・・・心の奥底に人情が薄くたゆたっているような小説です。
浅田次郎は後に『この作品を書くために作家になった』とさえ言っています。
その言葉には嘘がない、そう思える・・・壮大でありながら個々の人間の心情に繊細に切り込んでいく、浅次郎の渾身の傑作です。

3|プリズンホテル(集英社文庫)

ヤクザのお宿プリズンホテルの一年を描いた全4巻。
もうこの設定だけですでに面白いと思える、浅田次郎らしいユーモアに溢れる小説で、こういう作品もしっかりとかきあげてしまえるこの作家の懐の深さを感じます。
主人公は木戸孝之介。
この主人公は、極道の世界を描く小説家なのですが、とある事情で精神が異常に幼く、様々なトラブルを起こしてしまうトラブルメーカー。
しかも周りはヤクザだらけなのですから大変です。
そんな様々なトラブルを起こしながら、この奇妙なホテルで成長していく木戸の姿は、人間の生徒油と生きるということの意味に深く迫るこの本のテーマ。
しかも本作は、デビューまもない頃にかきあげた作品というのですから驚きです。
作家の北上次郎が、この作品を読み終えて浅田次郎が大物作家になることを予見したとも言われる伝説的な作品。
あふれる人情と、そして奇妙でコミカルな描写に、シリーズを一気に読み干してしまうだけのしっかりとした魅力のある小説です。

4|天切り松 闇がたり 1 闇の花道(集英社文庫)

松蔵老人が登場する人気シリーズ『天切り松闇語り』シリーズの1つ。
警察の雑居房で、静かに佇むひとりの老人、松蔵。
この松蔵、実は明治から平成にかけての日本、それもその裏の世界に精通したまさに歩く日本の歴史とでもいうべき人物なのです。
そんな松蔵が語る、彼の記憶の中の日本の姿。
それも彼の歩いてきた裏社会から見た、裏社会のルール似のとったある意味日本の本当の姿とも言える、影の部分の思い出話。
ときに現代の松蔵と思い出の松蔵がクロスオーバーしながら続くその語りは、心躍る裏日本史なのです。
時代小説を書かせれば当代随一で、アウトロー小説も大きな評価を得ている浅田次郎だからこそかける、彼らしい作品であり、本当にワクワクする面白さ。
人間の感情の機微を自在に操りながら、日本を裏から見つめて進んでいくストーリーの興味深さに、ファンの多いシリーズでもあります。
このように、日本を裏から見つめる近代史を扱った作品は、浅田次郎だからこそかけるあまり類を見ない小説です。

5|シェエラザード(講談社文庫)

戦時下における沈没船を巡る、陰謀渦巻くミステリー。
実在の沈船の物語を下敷きにして、彼独自の観点から、ミステリ要素たっぷりに仕上げてあるこの小説は、その積み荷の謎とともに大きな社会派の問題提起を伴った作品です。
そして・・・日本人とは何か、日本人の尊厳はどこにあるかという昨今よく効かれるようになった日本の誇りに鋭く切り込む作品でもあるのです。
そこに恋愛要素を絡ませるところが浅田次郎らしさ。
決して問題提起だけではない、またミステリー要素を持った歴史ロマンだけでもない、恋愛要素と、そして人間の成長をも描いた、欲張りな作品。
その欲張りさが、決して欲張りすぎていない、絶妙なバランス感覚が、さすがと言わざるを得ません。
読んだ後は、日本人として生まれた喜びが胸に迫り、そして日本人であることに涙する、そんな昨今の日本人には稀有な体験が待っています。


人間というものを見つめ続けた男

浅田次郎はその生い立ちと人生において、波乱万丈の生き様を呈してきたひとです。
元自衛官でありながら、様々な職を転々として、そしてアウトローの世界にまで踏み込んだ経歴は、その全てが彼の作品の中に息づいていると言っていいでしょう。
そう、彼は人間を見つめ続けてきた作家であり、人間を描き続ける作家。
彼が多くのジャンルの小説を書いているのも、ジャンルが何であれそこに『人間』が描かれているからに違いありません。

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