恩田陸|おすすめの小説本ランキング【作家名から作品を探す】

郷愁を誘う物語を書かせたら当代随一の直木賞作家「恩田陸」。
ノスタルジアの魔術師の異名を持つ彼の作品は、読むひとを遠い彼方にあるいつかの自分に引き合わせてくれるような、そんな力を持っています。
読むものの胸に迫る、切なさとどことなく不安定な世界観が同居するその作品は、まさに恩田陸の作品の真骨頂。
今回はそんな恩田陸のおすすめ作品をランキング形式でご紹介いたします。

1|麦の海に沈む果実(講談社文庫)

恩田陸作品の中でも読者の支持が高いのがこの作品。
学園にまことしやかに流れる噂と、その噂に翻弄される主人公リセの行動、そしてなんとなくうす気味の悪い世界観が読者の心をつかんではなしません。
しかも、登場人物がこれでもかというくらいに美男美女揃いであることもその魅力の一つ。
ぜひ読んでほしい作品ですが、このリセシリーズには順番があり、それを間違うと面白さは半減。
『三月は深き紅の淵を』『麦の海に沈む果実』『黄昏の百合の骨』『図書室の海』『朝日のようにさわやかに』が正しい順番です。

2|象と耳鳴り(祥伝社文庫)

恩田作品の中でも、推理小説として評価の高い連作短編小説。
ミステリアスな物語のリードから流れるように推理の迷宮に引き込んでいくその流れの素晴らしさは、これでもかと恩田陸のストーリーテリングのうまさを味わえる作品。
最近はあまり見なくなった安楽椅子探偵もののスートリーが、推理小説ファンのこころにもシッカリとした読み応えを感じさせてくれる、ある意味オトクな作品です。
恩田の他作品の登場人物も登場し、恩田作品を読み込んでいけば行くほどに面白くなるという側面もあります。

3|ユージニア(角川文庫)

日本推理小説作家協会賞受賞作品。
ミステリーとしては一流で推理小説としてはどこか不安定な読後感を与える作品となっていて、変わったテイストの推理小説を読みたいひとにはおすすめの作品です。
恩田作品には不安定さが内包された作品が多いのですが、この作品は特にその特徴が現れた作品。
物語が進むうちに着々と真犯人が明らかになっていくにもかかわらず、最後にいたるまで、スッキリとした感覚がどうにも湧いてこない作品です。

4|黒と茶の幻想(講談社文庫)

ほぼ会話のやり取りで成立している異色の作品。
学生時代の友人であるアラフォーの男女四人が孤島を旅するというシチュエーションで、巧妙に張り巡らされた作者の仕掛けに読む手が止まらなくなる作品です。
会話だけでここまで作品を読ませる力があるというのは、流石に恩田陸の言葉に対する造詣の深さが垣間見えるそんな一冊。
日常と非日常に揺れるやはりどこか不安定な世界感。
不穏な雰囲気を引きずったまま進むストーリーが、結末で一気の晴れる爽快感はたまりません。


5|朝日のようにさわやかに(新潮文庫)

変わり種の短編小説を集めた、短編集。
恩田陸という作家の懐の深さを十分に感じさせてくれる、様々な楽しみ方のできる作品集となっています。
ときにまるで星新一を彷彿とさせるようなSFものから、人気キャラの登場するファン垂涎の作品、ブラックなストーリーにスプラッタ作品と言ってもいいような作品までとにかくバラエティ豊か。
しかし、そのすべてに、恩田陸を感じさせる個性が一本しっかりと感じられるあたり流石と言わざるを得ません。

6|図書館の海(新潮文庫)

こちらも『朝日のようにさわやかに』同様、様々なジャンルの物語が登場する短編集。
そして、この作品集絵わかることは、恩田作品の魅力とその人気の秘訣である、他作品の登場人物が随所に登場してくる手法。
これによって、他作品を読んでいるひとにはより面白く、また読んでいないひとには、他作品に挑戦しようと思える種をまくことができるという絶妙な効果を持っています。
この作品集にも、様々な場面に多作とのリンケージが確認されます。
恩田作品の心地よい罠にハマりたいひとには、おすすめですよ。

7|三月は深き紅の淵を(講談社文庫)

中編ストリーの折り重なりが、真相へ導いていく作品。
それぞれの、まったく相互に関係なさそうなストーリーが、読み勧めていくごとに互いに折り重なりあい接触しあって一つの結末に向かって進んでいく卓越した構成力を味わえる作品。
真相を知って読み返すと、さらに面白い、繰り返し読み深めていきたい作品でもあります。
またこの作品はいわゆる『理瀬シリーズ』
恩田作品の中でも特に人気の高いシリーズ物になりますので、『麦の海に沈む果実』で説明した順番を守って楽しむといいでしょう。

8|六番目の小夜子(新潮社)

テレビドラマ化されたことで注目を浴びた、恩田陸のデビュー作。
その筆致と文体は、とてもの事デビュー作の新人とは思えないほどに独特の感性と個性を感じさせるもので、特に丁寧で情感たっぷりの描写は、まさにノスタルジアの魔術師の片鱗を感じさせてくれます。
そのスタイルは、ミステリーのようで青春小説のようで怪談っぽくもある、そんな作品。
作風が多彩な恩田陸作品の特徴である、ジャンルを絞ることの出来ない『恩田陸ワールド』という言葉がしっくり来る作品でもあります。

9|夜のピクニック(新潮文庫)

記念すべき初代本屋大賞1位の作品。
ただただ歩くだけである歩行祭という変わった学校行事を主題にとって、その延々と歩く道程に読者として付き合っていくうちに、いつしか自分もそこを歩いているような錯覚にとらわれます。
それは、まさに郷愁の海に泳ぐ感覚。
繊細な描写と読者のこうあってほしいという思いを正確に捉えている感性が織りなす、タイムトラベルのような不思議な感覚の一冊です。

10|ドミノ(角川文庫)

短編のような物語がどんどんと関係しあい、一気に駆け抜けていくスピード感のある作品。
それは表題の『ドミノ』という言葉に象徴される、ドミノ倒しのような快感を伴って、人間の行動がどんどんと波及していく面白さを存分に味わえる物語になっています。
その作風は、とにかく面白いワクワクする緊張感のある展開。
不思議な作品が多い恩田ワールドの中で異色ながらも、十分に楽しめる一冊です。

学生時代の匂いがする。

恩田陸作品は、特に学生ものに関してはその匂いまでが正確に再現されるような感覚にとらわれます。
とにかく、その絶妙かつ上質な文章力のたかさに酔いしれながら、作品世界を存分に楽しんでみることをおすすめします。

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