湊かなえ|おすすめの小説本ランキング【作家名から作品を探す】

読んで嫌な気持ちになるミステリー「イヤミス」といえば、湊かなえ。
ぱっと見不名誉な通り名のようですが、それだけ心にぐさりと刺さって、消えない傷を作るほどに衝撃的で内容の濃いミステリーを書く作家さんでもあります。
そこで今回は、そんなイヤミスの女王湊かなえの本をご紹介。
心のギアを一つ上げて、しっかりと心して読み進めれば、あなたも最悪の読後感の虜になること間違いなしです。

1|告白(双葉社)

映画化されて大きな反響を読んだ、湊かなえの代表作がこの告白。
そして、まさに嫌な気持ちになるミステリーの代表格とも言える、人間の弱く汚く、そしていやらしい部分を切り開いて展示するかのような表現は、背筋にゾットするものを感じます。
しかし、そこにあるのは、人間だからこそ感じるどこまでも人間臭い感情のヒダ。
誰も救われない、何もいいことがない。
そんな、どこまでも暗く悲しくそして深いなストーリーの中にはっとさせられる人間社会の本質が紛れていて、心の揺さぶる衝撃作です。

2|Nのために(双葉社)

イヤミスの女王が送る、切ないラブストーリー。
内容の善し悪しを考えないのであれば、ある意味これが一番のおすすめと言ってもいい湊かなえの描く、結構キュンとくる恋愛小説です。
しかし、これも読む人が読むとちょっと怖いと感じるのが、湊かなえの湊かなえたる所以。
純愛を貫く主人公たちの行動に、本当の愛を感じるのか、それとも狂気を孕んだ歪んだ感情を感じるのか。
この小説における一番の核である「恋愛」という要素のその答えを読者に投げつけていった湊かなえの名作の一つ。
自分はイヤミス側なのか、それとも……。
あなたの人生が変わるかもしれません。

3|夜行観覧車(双葉社)

すんなりと頭に入ってくるストーリーと軽快な文章。
そんな読みやすさも湊かなえ作品の特徴ですが、本作は、他の作品のように重苦しく心を締め付けるような展開がないせいか、本当にスッキリすんなりと読める作品です。
内容としては、ミステリー界ではよく題材に使われる「一見普通の家族」もの。
一見普通の家族に見る、ありきたりのその家族も、一皮むけば様々な悩みや黒いこころを抱えて生きているという定番モノなんですが、定番は定番だからこそ面白いの証明です。
これまで、女性の心理描写が抜群だった湊かなえが、老若男女問わずその心理描写が卓越であることを証明した作品です。

4|少女(双葉社)

まさにイヤミスの女王の本領発揮と言える作品。
少女、という一見柔らかで美しいタイトルでありながら、ページをめくって現れる世界は、人間の悪意を煮詰めて固めたような真っ黒で心の腐臭を感じる世界。
しかし、そこには、無理矢理感やグロさを売りにするような感じはなく、ただ人間を見つめた結果というまるで解剖所見を見ているような錯覚にさえなる世界。
そういう意味で、これから湊かなえ作品を読もうかどうか迷っている人にとって、これは最高のリトマス試験紙。
この作品を読んで面白いと思えば、あなたに待っているのは湊かなえの世界。
無理だ。という人は、やめたほうが無難です。

5|贖罪(双葉社)

心のもやもやがいつまでも晴れない。
イヤミスの女王である湊かなえの作品の中には、そういう「読後の納得」というものを置き去りにして、認めたくない結末の作品が多いのですが、これはその最たる例。
とにかく、読み終わったあとずっと納得できません。
納得できないし、それを認めたくないのだけれど、やはりどこをどう読み解いても、その結末が一番ベストな結末であり、だからこそ面白いと感じさせられる筆者の力。
とにかく、前編暗く生々しい世界観。
人間というものは核も見にくく、そして愛おしい生き物であるのかと考えさせられる作品です。

6|白ゆき姫殺人事件(集英社)

時代とともに世界が変わるように、小説の表現も変わっていってしかるべき。
そんな、時代における小説の変化をしっかりと感じさせて、そして、その上で成功している湊かなえ作品が、本作になります。
物語の本筋はSNSを中心としたネット上の世界。
これまで社会になかったものが、小説の中に色濃く反映されそして、それ独特の表現方法で「ネットの世界特有の感覚」を絶妙に表現してある作品です。
ミステリーとしても、展開の妙によるドッキリ感が最高で、読んでいて飽きさせない作品。
気がつくと最後まで読んでしまうような、スピード感のある作品です。

7|望郷(文藝春秋)

イヤミスの女王という名前は、それしかかけないからではない、というのを証明してみせた作品。
作者自身が広島県の因島(ポルノグラフィティーや東ちづると同郷)出身ということで、思い入れがあるのか今作の舞台は瀬戸内海の小さな島。
そこでの人々の暮らしに注目した短編小説集になっています。
そして、そんな作者の主入れを感じる舞台で繰り広げられるのは、リアルな描写に裏助けられた重厚な人間ドラマ。
決してどんでん返しのミステリーや、こころをえぐって攻撃してくるかのようなイヤミスだけではない、作者の創作力の幅を存分に感じることのできる作品になっています。

8|ポイズンドーター・ホーリーマザー(光文社)

もう端から端まで後味の悪さで統一された、これぞイヤミス!な短編集。
人間関係をいかに生々しくそして不快に描くのかに全力を尽くしているようなその内容は、心のよわいひとにはちょっとおすすめできないような後味の悪さ。
ちょっと冷静にページをめくるのを躊躇してしまいそうなレベルで、なかなかにここをえぐってくる作品たちです。
表題作に関してもそれは同じで、親子のすれ違いと誤解、そして狂気を感じるその存在の居心地の悪さがいたるところに感じられて、なんでこの本を読み始めたんだろうと思うことしばしば。
それでも読むチェが止まらず、どんどんと読み進めさせてしまうその力。
まさに、イヤミスの女王の面目躍如です。

9|リバース(講談社文庫)

本当に湊かなえというひとは意地が悪い。
そう心の底から思わせてくれるのが本作、とにかく、物を大切にする性格でなかったら本を投げてしまいそうな読後感であったことは確かです。
それだけにおすすめできる作品。
内容は、湊かなえの得意ないわゆる告白形式で話が進んでいく形のミステリー。
匂いの表現がうまい作家は、素敵な作品を書くという定説を裏付けてくれる作品です。

10|山女日記(幻冬舎)

最後に紹介するのは、湊かなえらしくない作品。
淡々とただ描写しているように綴られていく物語は、山を愛する女性たちの、派手さも暗さも重苦しさもないストーリー。
もちろん、しっかりと面白いのですが、湊かなえ作品としてはかなりライト。
イヤミスを求めて購入したらがっかり感はあるかもしれませんが、実はこういう普通の描写こそ、文章力の高さを感じるものであるのです。

イヤミス小説の世界を堪能

ミステリーの一つの良さは、読後のすっきり感。
という定説をことごとく破壊してきた湊かなえの作品。
心に余裕のあるときに、是非チャレンジしてみてはいかがでしょうか?(鬱々としているときにはおすすめできません。)

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