三浦しをん|おすすめの小説本ランキング【作家名から作品を探す】

物語の面白さは、筋書きを劇的にすればいいわけではない。
そんな小説を読む上で、ふと気付かされるような事実に毎回気づかせてくれるのがこの三浦しをんという小説家の作品です。
じっくりとじんわりと、そして優しく人物を描いて、その内面に迫る丁寧さと誠実さ。
人間の姿を偏見やフィルターを通さず、そのまま素直に表現し、そうすることでより深く濃くその姿を浮かび上がらせる筆力は、他に類を見ない作家の姿。
しかもふんわりと笑える作品も多い。
出会えたことに感謝したくなる、そんな作風の三浦しをん作品をご紹介いたします。

1|舟を編む(光文社文庫)

三浦しをんといえば舟を編むですよね、そう言われるとなんだか寂しいのに、やっぱり1位はこれ。
他にもたくさん素敵な作品はあるのですが、本が好きで、日本語が好きで、言葉というものに愛着を感じる人間であればあるほどその魅力に魅了される小説です。
その証拠に2012年の本屋大賞を受賞!やはり本を愛する書店員さんの心は魅了されたのです。
結果、漫画化・アニメ化・実写映画化とメディアミックスにも当然の如く成功して、まさに『三浦しをんといえば』な作品になりました。
もちろんエンターティンメントとしても間違いのない面白さですが、辞書編纂という特殊な職業を描いたドキュメンタリーの要素もあって、本当に読む手が止まらない面白さ。
三浦しをんらしい丁寧な描写がまた、この辞書編纂という職業ともマッチしていて、最高の作品として成立させているのです。

2|神去なあなあ日常(徳間文庫)

染谷将太さん主演で映画化された、都会から地方に移り住んだ青年のお話。
と、普通に映画化というだけで話題性は抜群なのですが、なんと今どきNHKでラジオドラマ化されたという異色の作品でもあります。
その作品で描くのは現代の農村の実情と都会から来た青年の成長のストーリー。
作品を読んでの感想はとうぜん人それぞれなのですが、この作品で描かれる主人公は山間部での生活を強いられ(最初は本当に強いられます)ていく上で、のんびりできる人間に成長していくのです。
ある意味・・・成長物語としてはかなり異質な展開ですよね。
しかし、しっかと人間を描写する三浦しをんにかかれば、その不思議な成長の過程も本当に自然で、感動的ですらあるほどに違和感なくしっかりと描いてくれる。
三浦しをんの真骨頂を感じる作品です。

3|風が強く吹いている(新潮文庫)

とにかく、物語としてしっかりとした厚みのある三浦しをん作品。
本作も、映画化・舞台化・漫画化、そしてやはりこれもラジオドラマ化されるという、物語のなかにしっかりとした厚みのある人間がいないと出来ない快挙をなし遂げている小説です。
そして、やはり特徴はその人間描写の巧みさ。
しっかりとひとりひとりの登場人物を丁寧に書き込んでいることで、ひとりひとりの人間に命と心が宿っていて、キャラクターの魅力がグイグイと物語に引き込んでいきます。
そして、そんなキャラクターたちは駅伝という舞台の中でこれでもかと躍動する。
共感と同一感さえ覚える感情の変化と、そのある意味定番とも言える物語展開の中でもしっかりとワクワクできるドキドキできるストーリー。
そこにいるのが、創作されたキャラクターではなく、体温をもった人間だと思わせるだけの筆力があるからこそできる、ひとつの小説の到達点です。

4|まほろ駅前多田便利軒(文春文庫)

記念すべき三浦しをんの直木賞受賞作。
こちらはシリーズ物の第1作に当たるもので、シリーズのうち2作が映画化されるという大人気作でもあります。
この小説は、まほろ市にあるとある便利屋でおこる出来事を中心に綴っていく物語。
その主題は友情であり、家族愛であり、幸福であり、そして人間の成長の物語でもあり、そんな主題を優しくも騒々しいドタバタ劇の中でしっかりと見せてくれる。
これもまた人間をしっかりと描く三浦しをんだからこそかけた作品と言って間違いないでしょう。
もちろん作品内で事件は起こります。
しかし、それは大事件というまでのことはなく、その展開もあっとおどろく展開の連続というわけでもありません。
それでもたしかに胸に迫る思い、心に刻まれる感動。
傑作です。

5|月魚(角川文庫)

老舗古書店を巡る人間の心情を優しく描いた小説。
三浦しをん作品は、どの小説もそうなのですが、作者の登場人物に対する優しさのようなものが感じられるのですが、この作品の登場人物は中でも作者の寵愛を受けているように感じられます。
それはきっと、この登場人物たちが古書を愛するというその性質にあるのでしょう。
作家である異常三浦しをんが本好きであることは疑いようもない事実なのですが、そんな本好きが同好の士に向ける視線の優しさがこの作品には満ちています。
と同時に、登場人物を通して、作者の本好きの度合いもまた感じられる作品。
ほんの良さを再発見する小説です。

優しい人間が書く小説

三浦しをん作品の特徴。それは優しさです。
人間というものに対して、優しく温かい視線を常に向けられる作者の広く温かい愛情が満ち溢れているのが特徴です。
ですので、優しい物語に癒やされたい人には間違いなくおすすめできる小説だと思います。

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