図鑑というと、何か調べ物をするために読むもの。というイメージの人は多いのではないでしょうか。
しかし、実は図鑑というものは、それ探偵でも十分重い白い物だったりもするのです。
とくに、最近は面白い図鑑も色々あって、一つの大人の趣味としても楽しめるものになっているんですよ。
と、言うわけで今回は、おすすめ図鑑10選として、興味深い図鑑の世界について迫ってみたいと思います。
1:おどろきの植物 不可思議プランツ図鑑(誠文堂新光社)
まず最初にお勧めしたいのは、いま図鑑ってこんなのもあるんだ。とわかっていただけるような1冊。
誠文堂新光社の「おどろき植物 不可思議プランツ図鑑」です。
普通植物図鑑と考えると、様々な植物を網羅するところから始めるのでしょうが、この図鑑はありきたりの普通の植物なんか眼中にありません。
食虫植物に寄生植物など、その生き方(植物に生き方は変ですかね?)が変なモノ、もしくは多肉植物のように見た目が変なもの、とにかく大きいとか、臭いとか、そんな変なモノばかり集めた植物図鑑です。
そんな変な植物ばかりを集めてきたのがこの図鑑の著者である、木谷美咲。
この木谷美咲は、食虫植物愛好家という、もうマニア中のマニアな人物ですから、その内容の変さにも太鼓判が押せるというもの。
さらにこの図鑑はフルカラー「イラスト」の図鑑。
こちらも、虫を中心とした一風変わった生物のイラストを超美麗に繊細に牡蠣が得る異色のイラストレーターである横山拓彦が担当。
絵画集としての価値もありそうな、お薦めの一冊です。
2:雲と空の光の観察ガイド 空の図鑑(学習研究社)
続いては、心をしっかり癒してくれる図鑑。
日々現代社会で生活をしていると、自分が思い出せないほど長い時間、空を眺めていないことに気づくことがありませんか。
いつも必ず自分の真上にあって、見ようと思えばすぐにでも見られるものなのに、最近まったく見た記憶がない。
子供のころは、公園や校庭で遊んでいる最中、学校の行き帰りなどに、何気なく良く眺めていたにもかかわらず、めっきり見なくなってしまいましたよね。
そして、空に、たくさんの表情があることも、忘れてしまっている。
夏休み前の入道雲にワクワクし、そしてお盆過ぎの鰯雲に寂しくなった経験ありますよね。
そんな、忘れてしまった懐かしの空を集めた図鑑が、この「空の図鑑」です。
様々な空に浮かぶ様々な雲。
そんな雄大でどこか懐かしい雲の画像を見ているだけで、心がじんわりと暖かくなってくるのを感じます。
もちろん図鑑ですから、知識もきちんと乗っていて、お得で優しい図鑑です。
3:世界で一番美しい猫の図鑑(エクスナレッジ)
今図鑑界でひそかなブームになっている「世界一美しいシリーズ」。
図鑑を紹介する今回の記事で、避けて通ることのできないシリーズです。
この世界一美しいシリーズは猫があるのですから犬はもちろんのこと、「イカとタコ」ですとか「昆虫」果ては「元素」や「分子」など様々な種類が出版されています。
そして、そんな数ある世界一美しいシリーズの中で、私が一押ししたいのがこの「世界で一番美しい猫の図鑑」です。
理由は一つ、ネコは素晴らしい生き物だからです。
と、無類の猫好きにしか共感してもらえない理由はいったん置いておくとして、この図鑑はその名の通り本当に美しいつくりになっています。
写真や装丁が美しいのは想像に難くありませんが、活字の配し方から文字と画像のレイアウトのバランスに至るまで、余すところなくハイセンスであふれています。
まさに「美しい図鑑」というべき出来栄えなのです。
もちろん、ネコの歴史や品種など様々な知識も織り込まれていて、ぜひ読んでいただきたいおすすめの図鑑です。
なお、無類の猫好き仲間に言いたいことは一つ「今すぐ、買え」ですかね。
4:切り身図鑑(1)魚・(2)肉(星の環会)
世の中には大胆な図鑑というものが数多くありますが、大胆さにおいてはこの図鑑も負けてはいません。
もう、タイトルを見ていただければ中身は8割方想像できると思いますが、この図鑑は「切り身」の図鑑です。
そう切り身とはあの切り身。
スーパーや商店街で売っているあの切り身の図鑑なのです。
はっきり言って、ただのアイデア勝負のネタとしての図鑑であれば、ちょっと奇をてらい過ぎの感があるこのテーマですが、この図鑑に関しては、そうではありません。試しに想像してみてください。
あなたは、スーパーや商店街の売り場で売られている切り身の魚を見て、一体どれくらいの種類その元々の姿を思い浮かべることが出来ますか?ね、なかなかに難しいですよね。
そういう意味で、子供の食育に役立ち知的欲求も面白いように刺激してくれるこの一冊。大人のあなたも、楽しめること間違いなしです。
5:オリンピック大百科(あすなろ書房)
2020年東京オリンピックも間近に迫り、某女性都知事の活躍も含めてテレビでは定期的にオリンピックの話が取り上げられていますよね。
東京都内も、その影響であちこち工事ばかりで、オリンピックの存在感をひしひしと感じます。
そんな今だからこそおすすめなのが、この「オリンピック大百科」です。
子供の教育という点で考えれば、世の中が盛り上がっていたり、その影響で子供が興味を持っていたりする時についた知識はなかなか忘れないもの。
ですから、オリンピックの歴史やその成り立ちにまで言及したこの図鑑は、きっと子供の知的好奇心を育てる助けになるでしょう。
それだけではなく、意外と知られていないオリンピックの豆知識も、この図鑑には豊富に書かれています。
特に近代オリンピックの歴史に関しては、その当時熱狂したあの名場面がよみがえってきて、昔見たオリンピックの思い出を子供に語るにはちょうどいい小道具になります。
3年後、日本で開かれる久しぶりのオリンピックに備えるためにも、ぜひ、身につけておきたい知識にあふれた一冊です。
6:世界の保存食1〜4巻(星の環会)
これもまた、すごく狭い分野にもかかわらず4巻出ている図鑑。
考えよう!「もったいない」と表紙に書かれているのを見ると、どこか教育に偏り過ぎた図鑑の様で面白みを感じないかもしれませんが、そうではありません。
とにかく、世界中の保存食を網羅するという内容を、おいしそうにまとめ上げている図鑑なのです。
1巻が果実で、その後野菜・魚・肉と出版されているのですが、何気なく食している保存食の歴史から製法に至るまで、ぎっしりと知識の詰まった内容の濃い図鑑となっています。
もちろん、知らない保存食も数々登場して、世界の食文化の奥深さについて深く考えさせられます。
特に保存食は、その地域の風土や気候などにも深く関係しているので、まさに保存食を見れば世界がわかるといった趣。保存食の図鑑なのに、まるで世界を旅行した気分になれる1冊です。
ちなみに、この図鑑を読めば、きっと将来お子様が苦労するであろう世界の地理についても、楽しく覚えていくことが出来ます。夜中に読むことはお勧めできない、大人の知的好奇心にも胃袋にも効く図鑑なのです。
7:写真で見る世界の舞踊(あすなろ書房)
舞踊、つまり踊りの図鑑なのですが、世の中に図鑑にできないものなんてないんですね。この図鑑は文字通り「踊り」に焦点を当てて世界中の踊りを美しい写真と共に紹介する図鑑になっています。
もちろん、世界中にはいろんな踊りがありますと、地名と踊りの名前だけを淡々と紹介していくような内容ではありません。
今や世界中で踊られることとなったバレエの歴史、例えば初期のバレエではどんな衣装で踊っていたのか?なんてことについても詳しく書いてある図鑑としても精度の高い一冊になっています。
しかも世界の舞踊と名がついている以上、民族舞踊や古典舞踊についてのみかと思えばそんなこともありません。
世界中に存在する様々な民族舞踊や古典舞踊から、なんとディスコに至るまでを網羅した図鑑なのです。
これは、踊りと名のつくものは何でもそろった図鑑だということですね。
踊りというものは人間の心を高揚させます、そして、踊りの衣装はきらびやかで美しく人の目を引くように作られているものが多い。
そう考えると、男の子も女の子も喜ぶこと間違いなしです。
そして大人もまた、世界中の様々な踊りとその歴史を知ることによって、その土地の風を感じることが出来る、そんな異国情緒にあふれた図鑑になっているのです。
8:日本の毒きのこ(学習研究社)
日本のきのこに焦点を当てたきのこ図鑑は数ありますが、この図鑑は毒きのこだけに焦点を当てた、異色の図鑑です。
とは言え、やはりマイナージャンルとは言え毒キノコ愛好家というのはいるもので、いくつか他にも毒キノコを扱った図鑑はあるのですが、この長沢英史監修の「日本の毒きのこ」はその中でも群を抜きます。
まずは、毒キノコ云々を別にして、この作者のきのこに対する愛がひしひしと感じられる点が素晴らしいですね。
もちろん毒きのこは危険ですから気を付けましょう、という目的でも読めるのですが、それ以上に、独特の色合いと奇妙な形の毒キノコたちの写真にまず目を奪われてしまいます。
もちろん、知識も相当に深いところまで記載されていて、ただただかわいいキノコの写真をめでたい人から、専門的にきのこの研究をしたい人まで使える図鑑です。
なにせ、毒成分からその化学構造、応急処置の方法や同定法にいたるまで、これ以上詳しい図鑑は存在しないと言っていいほどに、しっかりと詳しく書かれているのですから。
各地で行われるきのこの収集会などでも、推奨されているこの毒キノコ図鑑。
毒のない美味しいきのこについては一切かかれていませんが、魔女になった気分で読んでみるのもいいかもしれませんね。
9:輪切り図鑑 クロスセクション(岩波書店)
様々なものの中味を、輪切りにしてみてみよう。そんな、素敵な発想力のたまものとして生まれたのがこの「輪切り図鑑」です。
もうとにかく、様々なものを次から次へと輪切りにしていきます。
城・天文台・潜水艦・大聖堂・客船・海底油田・汽車・オペラハウス……一体中身がどうなっているのか、写真や画像ではわからないその内部がすぱすぱと輪切りにされていく様は痛快ですらあります。そして何より、その輪切りイラストの精密さは、驚きの一言です。
建造物の中にいる人間の姿や、打ち込まれているビスまで描かれているそのイラストは、ただそれをじっと眺めているだけでも、興味が尽きません。
まるで、その建造物の中を直接覗いているような感覚は、この図鑑でしか味わえない独特な感覚だと言えます。
楽しみ方としては、ゆっくり時間を変えてそのイラストの細部まで眺めて読むこと。
イラストの多い図鑑という種類の本としては、信じられないほど長い時間じっくりと楽しむことが出来ます。特に、建築系の仕事をしている人なんかには、お薦めの図鑑ですね。
10:醤油鯛(アストラ)
最後にご紹介するのは、とびっきり楽しくとびっきりお馬鹿で、まったくもってぜーんぜんためにならない図鑑。その名も「醤油鯛」。そう、あのお弁当についているあの醤油入れの鯛を網羅したという、絶対に誰も真似しない図鑑です。著者は醤油鯛コレクション歴25年の沢田佳久。
そんな、はっきり言って、まったく称賛する気にならない努力と熱意の結晶がこの図鑑なのです。しかしながら、面白いか面白くないかの二択で言えば、この図鑑は間違いなく面白い。
何がそんなに面白いかというと、この醤油入れでしかない醤油鯛を6日21属76種にきちんと分類し、それぞれの特徴などを真面目に考察しているアタリが面白い。
そして、何度も言いますが、そんな几帳面でしっかりとした分類のなにもかもが全く世の中の役に立たないというあたりが、壮絶に面白い。
人生には余裕と無駄が必要だと言いますが、本当にそうだなと実感します。
はっきりと断言します。この図鑑は無駄です。役に立ちません。何も学び取ることはできません。
しかし、それがいい。この図鑑の存在意義を完全に破壊した最強「役に立たない図鑑」ぜひとも手にとって読んでいただきたいですね。
いかがでしたか、「死ぬまでに絶対に読むべき!おすすめの図鑑10選」。
楽しんでいただけましたでしょうか。
本当に図鑑というものはいろいろな種類が存在していて、それこそ「図鑑図鑑」が必要なのではないかと思うほどですよね。
そんな奥深い図鑑の世界、きっと楽しめると思いますよ。
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