青春のあの頃を思い出して・・・泣きたい。もしくは、ピュアな恋愛を疑似体験して泣きたい。
そんなふうに思って、小説を読むことって結構ありますよね?
もちろんテレビドラマでも映画でもいいんですが、かっこいい男優さんや美人の女優さんが演じているより、やはり妄想の世界で感動したい。そんなときには、やはり小説が一番です。
というわけでここでは、そんな時に思いっきり泣ける青春恋愛小説をご紹介いたします。
1|それは桜のような恋だった(著者:広瀬未依/双葉文庫)
大学二年背に夏休みにであった、二人の男女が織りなすラブストーリー。
一見平凡な二人の人間の出会いから別れまでのストーリのようでいて、そこには運命としか言い表せない不思議でそして感動的な結末が待っています。
またこの小説には、桜の花の成分であるエフェドリンというものが引き起こすファンタジーの要素もあり。
この作品は、著者の手による京都を舞台とした恋愛ファンタジー者の第3作目に当たるもので、京都という土地柄が、なんとなく日本的情緒を印象的にし、またファンタジー要素も増してくれている素敵な一冊です。
日本情緒やファンタジックな恋愛が好きな人はもちろんのこと、恋愛というものの純粋で真っ直ぐな気持ちに浸りたい人にもおすすめな、上質かつ優しい恋愛小説です。
2|塩の街(著者:有川浩/角川文庫)
有川浩の自衛隊物の一つで、そのSFと軍事をかけ合わせたストーリーが魅力に一冊。
しかし、そんなある意味泣ける恋愛小説の定義から大きく離れているような作品にかかわらず、その中に流れている恋愛要素はそれこそ少女漫画のようにピュアで真っ直ぐなもの。
滅びゆく世界という究極の舞台設定の中で、世界を救おうと奮闘する自衛隊員と、ともに行動する女子高生の間に芽生える恋心。
そして、その究極の世界の中で強く結びついていく二人。
いわゆる泣ける小説と言われるもののように、涙が枯れるほどということはありませんが、あまりにピュアで真っ直ぐな恋愛感情にホロリと涙溢れるそんな作品です。
ハッピーエンドです、っていうのもなんですが、そんなところも高評価ですね。
3|君の膵臓をたべたい(著者:住野よる/双葉社)
もうみなさんご存知の超人気ビッグタイトルである『キミスイ』こと君の膵臓をたべたい。
きっと様々な媒体でもう何度も泣ける名作として紹介されてきているだろう作品ではありますが、やはり、泣ける毎作を紹介する時にこの作品を避けて通るわけには行きませんよね。
作品の中、そこかしこに感じられる、迫り来る絶対的な『死』という悲劇の匂い。
そんな死の匂いの中で、それに抗うように明るく青春を謳歌し恋愛を味わおうとする主人公の姿は、それだけでも、もはや涙腺は崩壊気味。
そして、最後にたどり着いた、予定通りの結末。
クライマックスから結末への流れは、まさにこの小説を名作たらしめていると言ってもいいものですので、ぜひ味わってみてください。
4|桜のような僕の恋人(著者:宇山圭佑/集英社文庫)
桜という花は、本当に日本人の心をくすぐる最高のマクガフィンだと感じる小説。
誰もが目を奪われる美しさ、誰もが思わず見とれてしまう景色、そして誰もがその儚くも短い花の一生に寂しさを感じる、そんな花。
そんな日本人の桜に対する思いをこの小説では本当に巧みに儚い恋愛に投影している作品です。
ただ純粋に一人の女性を愛し、そばにいたいと思い続ける男と愛しているからこそ、ある病のせいでその男性のそばにはいたくないと強く願う女性。そんな二人が織りなす切なくも清々しい恋愛の姿。
短くも美しい人生を精一杯に生きた女性の桜のような姿とその桜を見つめ見守った男の姿に温かい涙が止まりません。
5|ぼくは明日、昨日の君とデートする(著者:七月隆文/宝島文庫)
この話の内容をどれくらい説明するのが正しいのか、なかなか難しいのですが。
京都の美大に通う主人公と、主人公に一目惚れされることをきっかけに仲良くない交際を始めるという本当にピュアで優しい恋愛のスタートを切った二人の話。
そんな甘い、そしてなんとなく若い二人のままごとを見ているような恋愛の描写が続いていく中、話は急展開します。
そう。二人のうち女性の方に大きな秘密があったのです。
そこからのお話は、もうただただ切なくもどかしい思いに駆られるストーリー。
しかし、だからこそその恋愛の底にある相手を思いやる気持ちに胸を打たれ涙が溢れ出します。本当に京都ってこういう話が似合いますよね。
6|失恋延長戦(著者:山本幸久/祥伝社文庫)
話はいきなりの失恋から始まります。
放送部員として活動をする主人公の真弓子は、ある日大きな失敗をしてしまったことで落ち込んでいたところに、大河原という男子生徒に声をほめられ恋におちます。
しかし、大河原は直後、後輩の女生徒と交際をスタート。
そんな愛する人とその恋人を遠くで見つめることしか出来ない真弓子と、そんな真弓子の良き相談相手というか、ぐちを聞いてくれる愛犬のベンジャミン。
きっと誰もがどこかの時点で感じたことのある、どうにもならない濃いのもどかさ。
かなわないからこそ美しい失恋の美学というものを感じることができると同時に、かつて青春の真ん中にいた自分に思いを馳せながらも切ない涙の流れる傑作です。
7|ボクたちはみんな大人になれなかった(著者:燃え殻/新潮社)
遠い昔、そんなふうに思えてしまう90年代の恋人たちを描いた傑作。
90年代から現代までの文明の進み方は、これまで誰も経験したことのない歴史上類を見ないスピードであったことを痛切に感じます。
そしてそのことがいかに切なく、そして輝いていたのかを思い出させてくれる名作。
SNSどころかネット、いやそれこそ携帯電話ですらろくに普及していなかったあの頃、バイトの文通欄をきっかけに、すれ違いの恐怖の中で待ち合わせて始まった恋愛。
そして今の時代から見れば、奇跡のような出会いで始まった恋愛の美しさといったら・・・。
そんな過去の恋愛の階層で綴られていくこの物語の背後には、常に『もう戻らない日々』という切なさが張り付いてているのです。
8|100回泣くこと(著者:中村航/小学館文庫)
とにかく涙腺が痛くなるほど泣ける恋愛小説。
そういう言い方をすると音もこもないのですが、やはり恋愛の相手が嫁遺伝国をされて病気でシンでいくことをストーリーの根幹とした恋愛小説は、当たり前のように泣けます。
しかし、大切なのは、その死がただの無駄な生ではなかったと思わせてくれるかどうかです。
その点において、この小説がもたらしてくれる感動と涙は、死という絶対不可避な結末に向かっていくことによって生まれてくる、それだからこその価値をしっかりと感じさせてくれます。
この物語が提起した、愛する人の死が与えてくれる姓の意味はきっとあなたの心に深い傷跡を残します。
しかしそれは、心地よくも消えない、一つの愛の形なのです。
9|八月の終わりは、きっと世界の終わりに似ている。(著者:天沢夏月/メディアワークス文庫)
今流行りの長いタイトルに、メディアワークス文庫ということで・・・つまりラノベ。
しかし、こういったタイトルの小説やライトノベルに偏見のある人にもぜひ読んでほしい、最高に心を引く舞台設定の中で繰り広げられる切なくも温かい物語です。
高校二年の夏、主人公の愛した人は心臓の病気でなくなります。
そして、それから四年経ってもまだ、主人公はその恋愛を引きずっていたのですが、なんと当時の交換日記に4年前に死んだ彼女からの返事が書き込まれたのです。
それを気に、なんとか彼女をしという運命から引き離そうと奮闘する主人公。
物語はそんな主人公の必至で切ない思いが心に迫り、そしてラストシーンでそのすべてが一気に涙として噴出する、そんな小説です。
10|しずかな日々(著者:椰月美智子/講談社文庫)
青春と言うには少し幼い、何気ない小学生の冴えない平凡な日々。
野間児童文芸賞を受賞したことからもわかるように、これは児童文学というカテゴリーに入るのですが、とにかく底に綴られてい何気ない日常が、もう心にぐっとくる物語。
あの頃あたりまえにあったもの、何一つ素晴らしいとも美しいとも感じなかったもの。
祖父の家、風鈴の縁側、冷えたスイカとラジオ体操、もう二度と手に入ることのない、そんな当たり前の日常の坦々とした描写が、心に感動の渦を巻きます。
そして、そんな日々を生きた自分の今が、より浮き彫りになる。
あの頃ただそれだけですごいと思っていた大人がいかに平凡であるかを知ったいま、あの頃平凡であったものの素晴らしさを認識することが、まるであわせ鏡のように、心を締め付けてくるのです。
11|君と会えたから・・・(著者:喜多川泰/ディスカヴァー・トゥエンティワン)
とにかくシンプルで、余計な装飾や無駄な盛り上げのないスマートな物語。
しかも話自体もとても短く、そこにあるのは壮大なストーリーなどでは決して無いにもかかわらず、溢れ出る涙を止めることが出来ない、その上、読後の余韻は前後編の長編を読んだかのように深く長い。
ストリーは無気力で平凡な日々を送っていた少年のもとに一人の少女が現れることでスタートします。
そして、うまれる恋心、彼女のひみつ。
こういった展開は青春小説系の感動ものにとってはある意味王道であり、言葉は悪いものの、いわゆるテンプレ展開であるにもかかわらず、そのどれとも違う味わいがある作品です。
12|夜の果てまで(著者:盛田隆二/角川文庫)
始終暗い雰囲気がつきまとう、爽やかさとはかけ離れた恋愛小説。
それもそのはず、この物語の主軸となる恋愛は、『不倫』であり、決して社会的に許されることのない恋愛の形の中で、その関係に耽溺していく二人の人間の様を描いているからです。
しかも、その物語の視点は、不倫の当事者である大学生と、その相手である女性の義理の息子。
どこまでも報われることのない、恋愛の姿を、義理の息子の視点で描く残酷さと切なさは、まさんこの小説の味わいの大きな特徴の一つ。
内容は、まさに大人の純愛。
しかし、そこには若い感性で見つめた大人の恋の形に戸惑う、まさに青春の形があるのです。
13|カラフル(著者:森絵都/文春文庫)
命の尊さを知るとき、人は多いに涙するものですが、この本は特にそこに特化した作品。
自殺した主人公が、人生のやり直しの権利を与えられ、中学生の男の子の身体に曲がりしてしまうという奇想天外な設定で始まる物語は、まさに、命の授業のような一冊。
一度祈り知恵諦めた人間がたどり着く、衝撃のラスト。
人生というものがいかに過酷で残酷で、そしてだからこそ輝く命の尊さを知ることのできる作品。
道に迷った大人も、そしてこれから釈迦に出ていく人にも読んでほしい、人生の真理を描いた作品です。
14|天国までの49日間(著者:櫻井千姫/スターツ出版文庫)
いじめによって自殺した14歳の少女。
そんな少女を待ち受けていたのは、天国か地獄かを選ぶ49日間の、死んでもいない生きてもいない、宙ぶらりんな状態で過ごす日々だった。
そんな奇妙な設定のこの小説は、少女が見つめる生きているという事実の確認。
話の内容の重さの割には、文章が読みやすく読む手の進みが早い小説ですが、最後に現れる結末に、突然溢れる涙をこらえることが出来ない、そんな小説です。
青春期、痛いほど鋭敏だった感受性。
そんな心を引きずったまま死を選んだ少女の、世界の真実を知る49日間の物語です。
15|聖の青春(著者:大崎善生/講談社文庫)
実在の棋士村山聖の生涯を描いた作品。
西の村山東の羽生と、現在の永世7冠であり国民栄誉賞受賞者である羽生善治と並び称されるほどの天才であった彼の、煌めく閃光のように壮絶で短い人生の軌跡。
少し異質な世界のはなしではあるものの、間違いなくそこにあるのは燃え上がる青春のカタチです。
数々の棋士と戦い、そして、決して彼を見逃してはくれない病気との戦いの中で、彼が生きてきたその棋士としての姿、人間としての魂のきらめき。
清々しくも悲しく、人間臭くも崇高なその生き様は、涙なしでは読めない傑作です。
涙は心の汗
涙は心の汗といいますよね。
それは涙が恥ずかしい人たちの言い訳のように思われていますが、実は涙は心に溜まったストレスを流してくれるという・・・確かに身体にとっての汗に近い役割を持っています。
そんな心の汗である涙を最近流していないなら、是非流しておきましょう。
あなたの心に淀んだストレスがスッキリと流れていってくれるに違いありません。
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