面白いの小説を表す言葉としてよく使われる「読み始めたら止まらない」は、もちろん小説の面白さを表現する言葉の代表的なものですが、やはりこの表現で評価される小説はただ面白いだけではダメ。
じっくり読みたい小説や、数日に分けて休憩を入れたい小説は当てはまりません。
そう・・・ここでご紹介するのは、本当に最後まで切らさずに読みたくなる小説。真の意味で「読み始めたら止まらない小説」達です。
1|新世界より(著者:貴志祐介/講談社)
間違いなく貴志祐介の最高傑作。
とにかくしっかりとした内容の濃く品質の高い小説を生み出すことに定評のある貴志祐介にとって、たった一つの難点は新作が遅いということ。
しかし、そんな作者の最高傑作なのだから、もう間違いなし。
とにかく読みごたえ抜群なディストピア小説です。
2|天地明察(著者:沖方丁/角川文庫)
日本独自の暦を作ることに奮闘した人たちの壮大な歴史ドラマ。
こういった小説は、時代考証やいわゆる歴史ロマンにその面白さがあるものがほとんどなのですが、この作品はもうとにかくキャラが最高に良い。
まさか歴史大作をキャラの良さでオススメすることがあるとは思わなかったというほど、キャラの魅力がぐいぐい引っ張っていく、本屋大賞に偽りなしな作品です。
3|誘拐(著者:五十嵐貴久/双葉社)
誘拐小説は、厳然とした小説の一つのジャンル。
クライムサスペンスとして、誘拐小説の見どころは、誘拐犯とそれを追い詰める側との息をつかせぬ攻防なのですが、この作品はそこが絶妙にうまい。
というのも、追い詰める方追いつめられる方双方にかなりの切れ者ぞろい。
安易に片方を愚かにしなかった名作です。
4|不夜城(著者:馳星周/角川文庫)
映画化もされたいわゆるノワール小説。
ノワール小説とは、セックス・ドラッグ・金・暴力という、いわゆるアンダーグラウンドの世界を描く小説ですが、日本にそのジャンルをしっかりと根付かせた作品。
読む手が止まらないという意味で、かなり特筆すべき作品です。
5|燃えよ剣(著者:司馬遼太郎/新潮社)
司馬文学の一つの金字塔。
この小説が面白いかどうかなんて今更感がありますが、やはり日本に新撰組人気を作りだしたその功績は大きいですよね。
新選組にあるのは、破滅に向かっていくそのもの悲しさ。
読む手を止めたくなる、のに止まらない作品です。
6|海賊と呼ばれた男(著者:百田尚樹/講談社文庫)
日本一の炎上男の書く作品は、とにかく男の美学が熱い。
巨大な石油会社を作りあげた一人の男の伝記としてつづられるこの作品は、とにかく熱い、男の美学が臭いたつ、心の底からワクワクできる作品です。
作者に対する偏見で読んでない人は損をしていますよ。
7|さまよう刃(著者:東野圭吾/角川文庫)
東野圭吾作品に最高傑作の銘を付けると各方面から非難を浴びそうなのでやめますが。
間違いなく、最高傑作と呼ばれる作品の中の一つであることは間違いない、そしてきっと、東野圭吾ファンでも嫌いな人が多いだろう作品。
不快なほど人間の業に切り込んだ傑作です。
8|夜は短し歩けよ乙女(著者:森見登美彦/角川文庫)
森見登美彦の作品の中でも、とにかくキャラの魅力の高い作品。
特に天然系おっとり少女が好きな人には、恋に落ちる錯覚をしてしまうほどに、魅力的な主人公であることは間違いありません。
そして、恋とは、止まらなくなる感情なのです。
9|ゴールデンスランバー(著者:伊坂幸太郎/新潮社)
エンタメ小説の名手伊坂幸太郎。
そんな彼の作品の中でも、最も一般受けの良い、いいかえれば、わかりやすく面白い作品がこの作品です。
圧倒的なスケール感、風刺、そして構成。
どれをとってもリーダビリティーに優れる読ませる小説です。
10|葉桜の季節に君を想うということ(著者:歌野晶午/文春文庫)
叙述トリックという推理小説のある意味常套手段。
それを極限まで高め、読者に「卑怯だ!」と思わせるほどに、その策略にどっぷりとはめ込んでしまう、ある意味その分野の最高峰である作品。
とにかく読めばわかる、な衝撃というには生ぬるい最高のラストまでまっしぐらに突っ切りたい。
11|ジョーカー・ゲーム(著者:柳広司/角川文庫)
ハラハラドキドキのスパイ小説の決定版。
キャラクターの魅力がカギとなることが多いスパイ小説で、とにかくこのジョーカー・ゲームはその点において大成功を収めているといっていい傑作です。
推理小説としてももちろん一級品で、気がつくと数時間たってしまっている系の作品です。
12|なかよし小鳩組(著者:荻原浩/集英社文庫)
とにかく笑い飛ばして最後までスッキリ読めるコメディ小説のオススメ作品。
やくざのイメージアップというもう設定から滑稽なこの作品にあるのは、人間というもののどうしようもないほどのお面白さともの悲しさ。
笑っているうちに、いつの間にか涙が伝う、そんなコメディに必須の要素もしっかりとおさえた作品です。
13|カラフル(著者:森絵都/フォア文庫)
大人が感動できる児童文学であるこの作品。
児童文学なのですから、当然瞬く間に読み終わってしまうのですが、一度読み終わっても決して本棚の肥やしにはならない、繰り返し読んで感動したい作品です。
特に、児童文学なんて。と思っている人にこそ読んでほしい。
14|告白(著者:湊かなえ/双葉文庫)
ああ、読まなきゃよかった、と思いながらも、最高の読書体験が味わえる作品。
子供を殺された女性教師が、じわじわと、これでもかというほどに残酷にその犯人である生徒を追い詰めていくというまさに不快極まりない名作。
一気に読み終わって、一気に落ち込める作品。でも抜群に面白い。
15|模倣犯(著者:宮部みゆき/小学館)
天才犯罪者と普通の人たちとの戦いの軌跡。
犯罪者によって地獄を経験する家族が、一体いかにしてその天才に立ち向かっていくのか、その内容のリアルさに宮部みゆきの真骨頂を感じる作品。
とにかく面白い、が、映画版は見てはいけない。
予定のある時は読まない方がいい小説です
ここで紹介して本は、とにかく読む手が止まらなくなる本たち。
ですので、時間に限りがあったり、予定がある時は、読まない方が身のためです。
きっと、時を忘れてしまいますので。
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