とにかく面白い小説本ランキング【おすすめのミステリー小説15選】

ミステリー小説。
これまで様々な分野の小説が生まれていた中で、かつては一格落ちの文学のような扱いでしたが、今や世界で一番売れているジャンルの小説です。
そこで今回は、そんなミステリー小説を面白い順に勝手にランキングしてみました。
とにかく楽しめる名作から変わった作品まで、小説選びのお役に立つ情報が盛り沢山です。

1|そして誰もいなくなった(著者:アガサ・クリスティー/早川書房)

やはり1位はこれでしょう。
全世界で1億部という驚異の出版数を誇る、名実ともに世界で一番有名なミステリー小説であり、多くの推理小説やミステリー小説の元となった歴史的金字塔です。
その形式はクローズドサークル物。
孤島に取り残された者たちが、ひとりひとり消えていくという、まさにきっとどこかで聞いたことあるストーリー展開は、既視感の先祖返り。
クローズドサークルというものがいかに楽しいシチュエーションであるのか。
孤島に取り残されるという状況がどれだけミステリー小説に緊張感とドラマを生み出すのか。
その礎となった、本作品をおいて、ミステリー小説の第一位にできる小説はない、そう言っても過言ではありません。

2|十角館の殺人(著者:綾辻行人/講談社文庫)

現在、ミステリー作家が乱立している日本。
それこもこれも、日本に「本格ミステリーブーム」が起こったからであって、コレがなければ東野圭吾も宮部みゆきももしかしたらいなかったかもしれないというような大きなムーブメントでした。
そして、そのムーブメントの発端となったのが、綾辻行人そのひと。
となれば、そんな綾辻行人の処女作である本作は現在の日本の文壇に多大なる影響を与えた一冊と言っても過言ではありません。
そして、当然、本作にはその予兆を感じるだけの力があります。
初心者が読みやすく、そしてそれでいて内容もしっかりしているという現在のミステリーブームの根幹をなすスタイルがもうすでに、ここにあるのです。

3|姑獲鳥の夏(著者:京極夏彦/講談社文庫)

ミステリー時代劇、そのジャンルに於いてまず日本で右に出る人のいない作家、京極夏彦。
その京極夏彦の代表作であり、最も評価が高いものの一つでもある本作は、まさに京極屋の世界そのものと言ってもいいでしょう。
もしこの本に欠点があるとすれば、その重さゆえに手がつかれるということくらい。
あとは、その設定からプロット、文体の流麗さ、雰囲気の良さ、キャラクターの面白さと、時代小説でありながら現代人にマッチしたその作風は文句の付け所がありません。
それこそ、本当に分厚い本なのに、一気に読まないと追われない魅力のある作品です。
基本的に妖怪をテーマにすると推理小説は難しくなるのですが、それでもしっかりとミステリー要素を楽しめる流石の一作です。

4|火車(著者:宮部みゆき/新潮文庫)

現代におけるベストセラー作家の女傑といえば、そう宮部みゆき。
その卓越したストーリーテリングの才能と様々なジャンルを書きこなすマルチな才能、そしてオーソドックスながらも古臭さを感じさせない推理作家の才能。
そんな、どれか一つでも時代を取れるレベルの才能を3つ持ち合わせた宮部みゆきの代表作が「火車」です。
もちろん彼女の代表作を一つに選ぶのはかなり困難ですが、今回はコレに。
というのも、この火車は、他のバラエティに富む宮部みゆき作品の中でも、より本格ミステリーの基本に忠実な作品。
それでいながらミステリー小説というジャンルを一歩抜け出た重厚なストーリーが、心地よい読後感とともに後を引く面白さを持っています。

5|容疑者Xの献身(著者:東野圭吾/文春文庫)

ミステリー小説の一つのスタイルであるメディアミックス。
特に、実写映画化やドラマ化というジャンルに於いて、このひとほど成功したミステリー作家はいないだろうと言える東野圭吾の代表作が本作。
当然映画化されている作品です。
ドラマで言えば、あの福山雅治を主演に大ヒットしたガリレオシリーズ、そのスピンオフとして映画化されたものの原作小説ということになります。
当然ストーリーは一級品で、ミステリーとしても最高のでき。
しかしそれ以上に、この作家の作品がどうして映像化されてヒットするのか、その理由が良くわかる圧倒的な描写力が見どころです。
現代の文壇をリードしていく人間のうちの一人である著者のその力量を感じる作品となっています。

6|ルパンの消息(著者:横山秀夫/光文社文庫)

横山秀夫も、日本を代表する推理作家の一人。
東野圭吾ほどではないものの実写の原作者として大きな成功を収めている、まさに現代のミステリー作家のスタイルを色濃く持っている作家の一人です。
そんな横山秀夫のデビュー作がルパンの消息。
他に沢山の代表作と呼べる作品があるにもかかわらず、デビュー作を最上位に持ってくるのは失礼かもしれませんが、この作品の完成度は、頭一つ抜けているというのが正直な感想。
時としてデビュー作は、その高層の温め時間の長さと、デビューを夢見る文学青年の熱い想いの熱量で作家の代表作となることが多いのですがコレもそんな作品の一つ。
公訴時効まで24時間という限られた時間設定が、心地よい緊張感とともに、心臓の鼓動を早めてくれる珠玉の作品です。

7|薔薇の名前(著者:ウンベルト・エーコ/東京創元社)

言うまでもない、世界のミステリー小説界に燦然と輝く名作中の名作。
西洋の貴族社会と修道院という、その舞台設定だけで心が踊ってしまうような作品世界の中で繰り広げられる、まさに本格ミステリーというべき展開。
この時代のこの場所でしか出せない、独特の怪しげで陰惨な雰囲気。
そして、宗教と貴族社会のお互いに存在する秘密主義が、物語の謎を深め、それを一層味わい深いものにしていきながら物語は進んでいきます。
そして、下巻の迷宮。
まさにミステリーの歴史に残る最高のシーンと言ってもいい、思わず唸ってしまう作者の企みに、深い感動を覚えるはずです。
ミステリーファンを名乗るなら、読んで置かなければいけない本の一つです。


8|殺戮に至る病(著者:我孫子武丸/講談社文庫)

しっかりと騙される感覚を味わうのもまた、ミステリー小説の面白さの一つ。
そうであるならば、この我孫子武丸の代表作であると行っていい、本作『殺戮に至る病』こそがその欲求を心から満たしてくれる作品と言えるでしょう。
東京の繁華街に現れたシリアルキラー。
そんなハードボイルドに近い舞台設定の中で繰り広げられる、犯罪者の世界と普通の日常を送る一般社会とが複雑に絡み合う息をつかせぬ展開。
そして、最後に訪れる衝撃のラスト。
あまり深くは説明できないのが残念なところですが、とにかく読んでみてその内容に触れてみてくださいとしか言えない娯楽大作です。

9|イニシエーション・ラブ(著者:乾くるみ/文春文庫)

騙される快感といえば、こちらも負けていない、イニシエーションラブ。
ある意味この小説の存在がミステリーなのであって、その内容は本当にどこがミステリー小説なのかと言いたくなるほどに普通の恋愛小説です。
推理小説やミステリー小説にはいろんな形式があります。
しかし、ここまで最後の最後の謎一本勝負で攻めてきた小説というのは珍しく、それだけで、ある意味日本のミステリー小説の異端児的な作品です。
ただこの小説には、性描写が多いので、その点が苦手な人には向きません。
また、そういう変わった形式のミステリーだけあって、嫌いな人はとことん嫌いで、駄作呼ばわりをされることも珍しくありません。
しかし、その賛否両論感こそ、ミステリー小説っぽいな、と思うのです。

10|クロイドン発12時30分(著者:フリーマン・ウィルス・クロフツ/創元推理文庫)

ミステリー小説の一つのスタイルである倒叙ミステリー。
つまり、最初から犯人がわかっている状態で始まる謎解きもので班員視点で進んでいくものですが、この作品は世界三大倒叙ミステリーと呼ばれる名作。
その刊行年は、なんと1934年。
そんな遠い昔に書かれた作品でありながら、まったく古臭さを感じさせない、現代でも十分通用する緻密かつ大胆な構成の妙味。
倒叙ミステリーにおいては、手本とも言うべき名作です。
まさにミステリー小説ではなく『推理小説』と呼びたくなる、そんな古き良き王道の物語信仰の中にある、謎解きの面白さの本質と推理小説の面白みの根源。
読まずに推理小説は語れない作品です。

11|三毛猫ホームズの推理(著者:赤川次郎/角川文庫)

今や、人気作家といえばミステリー作家な時代。
しかし、ほんの1980年代に人気作家と言えば、間違いなくこの人と言える存在であったのは、長者番付に乗る作家であった赤川次郎そのひと。
そして、その代表シリーズ『三毛猫ホームズシリーズ』の第1作目が本作になります。
赤川次郎作品の特徴は、とにかく軽妙。
スラスラ読めることに関しては右に出る者がいないといっていいほどに、簡単に、それこそ中学生でも読めてしまうようなわかりやすい文体が魅力の作家です。
そしてもう一つはキャラの魅力。
とにかく登場するキャラクターがチャーミングで、本作においても、例外なく読者の心をつかむキャラクターが登場します。
間違いなく日本のミステリーの歴史に残る作品です。

12|点と線(著者:松本清張/新潮社)

昭和を代表する推理小説か、松本清張。
その松本清張の代表作といえば、個人的にはこの点と線を紹介したい、そう思えるほどに内容の濃い、まさに傑作中の傑作です。
コレまで登場したたくさんの推理小説。
そのすべての何処かにこの小説の影響がある、もしくはその影響の流れをくむ表現や手法が存在すると言ってもいいくらいの作品です。
まだ推理小説が格の低いジャンルだと思われていた時代に、読みやすさを重視した形でここまで分厚い内容の本が書けるというその稀有な才能。
まさに推理小説のレジェンドというべき巨星の渾身の力作。
社会の裏に鋭くメスを入れたこの作品の価値は、社会の形が様変わりしたとしても減じるどころか増すばかりだと行っていいでしょう。

13|D坂の殺人事件(著者:江戸川乱歩/角川文庫)

ときに怪奇や猟奇と背中合わせのミステリー小説。
そんな、ミステリー小説の持つ怪しくも気色の悪い雰囲気の源は、間違いなくこの人が生み出したと言ってもいい文豪、江戸川乱歩。
そんな日本における推理小説の元祖である乱歩の作品の中でおすすめしたいのがこの作品。
今や、某ちびっこ名探偵の漫画に出てくる眠りの小五郎のモデルとして知られている明智小五郎の登場するシリーズの中でも屈指の人気を誇る一冊です。
推理の内容y,トリックの成功差に関しては乱歩作品ではあまり重要ではありません。
乱歩作品の魅力は、何をおいてもその雰囲気。
いっそいかがわしいと言ったほうがしっくり来るその雰囲気は、まさにある種のミステリーのジャンルに延々と受け継がれる乱歩の血液とでも言うべきものなのです。

14|犬神家の一族(著者:横溝正史/角川文庫)

読んだことがなくても、なんとなく覚えのある小説である犬神家の一族。
明智小五郎と並んで日本を代表する名探偵である金田一耕助の登場する、巨匠横溝正史の代表作です。
推理小説やミステリー小説というのは残園なことに新しい手法やトリックが次々と生み出されるため、乱歩の作品と同様にトリックや推理そのものには往年の魅力はありません。
しかしながら、この作品に存在しているのは、小説としての重厚な魅力。
まさに『物語としての面白さ』で言えば、現代のミステリー小説を敵に回しても一歩も引かない、まさに時代に関係ない面白さを持っている作品です。
そして、現代ホラーにも通じる気味の悪さもまた、味わい深い。
不朽の名作とはこのことです。

15|緋色の研究(著者:アーサー・コナン・ドイル/光文社文庫)

ミステリーを愛する者にとって特別な存在といえば、シャーロック・ホームズ。
まさに世界で唯一、この地球上のどこであっても『名探偵』という代名詞で語ることのできる唯一無二の人物が生まれたこの作品は、まさにミステリー小説の歴史における一大事。
この本を読んで幾人の推理小説家が生まれ、ミステリー小説家が産声を上げ、そしてこの本に影響された小説はこの世に一体何冊あるのか。
そう、これはもはや聖書。
この世に存在するすべてのミステリー作家とミステリーファンにとってはバイブルと言っていいほどの作品です。
それくらい、あのベイカーストリートにパイプをくわえた名探偵を生み出したその功績は大きいのですから。

全て読んでほしい。

一応ランキングですから順位をつけましたが、全部読んでほしく、また本来順位のつけられない名作揃い。
すでにミステリーファンのひとも、これからミステリー小説を読んでみようというひとも、どれも間違いなく楽しめる作品ばかりですので、ぜひ読んで、奥深いミステリーの世界に楽しんでみてください。

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