死ぬまでに絶対に読むべき!おすすめの時代小説20選【時代や歴史を本で感じる】

古き良き日本を描く歴史・時代小説。
その魅力は、日本人が忘れかけている日本の心の再発見とでもいうべきもので、頭ではなくDNAで感じる面白さといえるかもしれません。
しかし、読んだことのない人にとっては、それを読んだらいいのか迷うのも不思議ではありません。
そこで、今回はそんな方のために、基本的ですが有名なオススメの歴史・時代小説をご紹介します。

1|鬼平犯科帳(著者:池波正太郎/文春文庫)


やはり日本の大衆時代小説の雄といえば、この小説。
斬り捨て御免の権限を持つ幕府の火付盗賊改方の長官・長谷川平蔵の活躍を描いて、ドラマ漫画その他いろいろな媒体で大ヒットを飛ばした、この鬼平犯科帳こそまずオススメすべき本です
時代小説のなにが面白いのか?何がいいのか?どこが楽しいのか?
それは剣劇であり、人情であり、粋であり、そして江戸の風俗であり、そして料理である。そんな時代小説の面白さを一挙に集めてパッケージした時代小説オススメセットとでも言いたくなるような充実度。
おすすめです。

2|剣客商売(著者:池波正太郎/新潮文庫)


個人的に、時代小説を読むならばまず池波正太郎の3つのシリーズは必ず読んでほしい。
と、思っていますので、その3つのシリーズの中でも、恋愛要素の濃いそして、剣劇の面白さを十分に味わえるのが、この剣客商売です。
剣客商売の良いところは、達観した父と若い息子、そしてその二人に寄り添う女たちの人情劇が、ぐっと胸に迫るものがある、そこです。
血なまぐさい話にも、人情とユーモアを忘れない茶目っ気たっぷりの文章。
そして、繊細で巧みな描写。ひとつの時代小説の頂点です。

3|仕掛人・藤枝梅安(著者:池波正太郎/講談社文庫)


オススメしたい池波正太郎の時代小説シリーズ、最後は仕掛人・藤枝梅安です。
皆さんおなじみの必殺仕事人シリーズ、あの必殺シリーズは、この仕掛人モノから派生したもので、そのブームの源流こそがこの小説です。
本作はこれまで紹介した、鬼平と剣客商売に比べると、内容は一層ダークになっている作品。
しかし、社会の裏で生きる男の悲哀のようなものを書かせたら、やはり抜きんでている池波正太郎の筆力を十分に感じる作品です。

4|花のあと(著者:藤沢周平/文春文庫)


池波正太郎と並び、日本を代表する時代小説作家藤沢周平。
その透明感とキリッとした、もしくは凛とした存在感のある文章と、心に突き刺さるような感情の棘を表現させたら右に出るものはいない、大作家です。
もちろん彼に関してもシリーズものや長編がとても面白い。
しかし、このキレのいい文体には個人的には短編が合うと思っていますので、短編集『花のあと』をオススメ。
時代小説になじみのない人でも、藤沢周平の短編集であれば、すっと読めるのではないかと思いますよ。

5|たそがれ清兵衛(著者:藤沢周平/新潮文庫)


藤沢周平作品をもう一つ、映画化でもおなじみのたそがれ清兵衛をおすすめします。
こちらも短編しかも連作短編になっていますので、長い時代小説をいきなり読むのは……という人にはきっと簡単に読めてしまえるものだと思います。
内容に関しては、とにかく痛快。
時代小説は中高年のライトノベルだといわれるように、心のすっとするお話が詰まっています。
かっこよさ、弱さ、そしてもろさとゆるぎない思い。相反する思いを抱えながら生きる、剣客の生きざまをぜひお読みください。

6|巷説百物語(著者:京極夏彦/角川文庫)


時代小説において、一つのしっかりとしたジャンルである怪談。
そんな怪談噺のような、それでいて、きちんと人情噺でもあるこの物語は、妖怪というものをモチーフにして描かれた時代小説の中では、日本を代表する名作の一つです。
しかも京極夏彦さんは、場面の切り取り方やアングルの取り方が映像作品のようで、非常に現代人に読みやすい。
文字が小さめなうえ、かなり分厚い本ですのでとっかかりは躊躇するかもしれませんが、読み進めていくごとにページをめくる指がとまらなくなることを保証いたします。

7|ぼんくら(著者:宮部みゆき/講談社文庫)


もともとミステリ作家であり、ファンタジーも書き、そして時代小説も書く。
こういう作家に面白い作家はなかなかいないのですが、宮部みゆきという人はその例外中の例外の不世出の作家。
そして、その証拠が、この「ぼんくら」です。
捕り物系の、いわゆる同心や岡っ引きの出てくる小説として、これまで様々な大物が書いてきたそのテンプレートをしっかりと踏襲しながらも、しっかりと見せる宮部ワールド。
時代が変わっても変わらない人間の営みを書かせたら、この人の右に出る人はいません。

8|半七捕物帳(著者:岡本綺堂/光文社時代小説文庫)


捕物といえばこの作品、そう言って何の五平もない名作半七捕物帳。
なにせ、作者自身が江戸時代に存命だった人ですから、その描写というか時代の空気感みたいなものは、他の作家では出すことのできない味わいを感じさせてくれます。
そして何より、数多くの捕物帳の元祖でもあるこの作品。
捕物帳とは何か、時代小説とは何か、その答えこそがこの一冊であるといっても過言ではない、絶対に読んでおきたいシリーズです。
ぜひ江戸を感じたい人は、読むべき本です。

9|あったかけんちん汁(著者:坂井希久子/時代小説文庫)


時代小説の一つの楽しみが、うまそうな江戸の料理。
そんな江戸の料理に特化して、まさに深夜に読んだら大変なことになってしまいそうな、とてもおいしい作品がこの作品です。
とにかく出てくる全ての料理がうまそうで、お腹が鳴る小説。
内容もそこはかとなくじんわりとお腹の底が温まるような人情を感じるお話で、なんとなく暖かくもうまい料理を食べた後のような心地にしてくれる作品。
身も心も、そして胃袋もしっかり温まりたい人には、ぜひ読んでいただきたい作品です。

10|燃えよ剣(著者:司馬遼太郎/新潮文庫)


V6の岡田君主演で実写化されることが決まった名作、燃えよ剣。
本当はこれを入れるかどうか非常に悩んだのですが、やはり不朽の名作であるという点と司馬文学を入れないのはさすがにまずいと思い入れました。
というのも、これは厳密には歴史小説。
新選組をモチーフに、その熱い青春と血煙の日々を描いた作品で、文句なしに面白く、欠点がないほどに心躍る作品。
これを読んで新選組に興味を持たない人はいないのではないか、というくらい、完成度の高い作品です。

11|しゃばけ(著者:畠中恵/新潮社)


読みやすさにおいてはかなり上位に入る、人気シリーズしゃばけ。
とにかく愉快で楽しい妖怪たちの世界がつづられていく、のんびりほのぼのな時代小説です。
なかなか時代小説のジャンルで、のんびりほのぼのな話は少ないですので、そういったものが好みの人にはぜひおすすめしたい作品。
もう16冊も出ている長シリーズですので、はまり込んでも読むものが尽きるまでには相当かかります。
取りあえず、とにかく読みやすい。
お子様にも読んでもらえるような、そういう意味では異色の時代小説です。

12|殿さまの日(著者:星新一/新潮社)


あのSF小説の巨匠、まさに日本のSFの父ともいうべき星新一の時代小説。
という段階でもうかなり異色なのですが、内容もまた、星新一作品としても異例なら時代小説としてもどこか異色な楽しい作品です。
そして、星新一作品らしく、かなり読みやすい。
もちろんこの小説をもって、時代小説の傑作ということはできませんが、この作品の存在が、時代小説というものの懐の深さを表しているという意味で読んでいただきたい。
小説として、問題なく思い白い作品ですから。

13|蜩ノ記(著者:葉室麟/祥伝社文庫)


こちらも映画化された名作中の名作である、作品。
時代小説には、忘れてしまった日本人の心がたくさん隠れているものですが、まさにこの蜩ノ記こそ、日本人が忘れてしまった美しさにあふれる作品。
日本人はかつて、きちんと自分の死を見つめ、死を全うした。
そんな言葉をかつて聞いたことがありますが、、まさにこの作品こそ、しっかりと死を見つめ全うした人間の悲しくも凛とした生きざまを現した傑作。
ただ生きたわけでもなくただ死んだわけでもない。
意味を持って生き、意味を持って死んだ男の、すがすがしいまでの姿です。

14|影法師(著者:百田尚樹/講談社文庫)


まさに、マルチという言葉の似合う百田尚樹氏の時代小説。
戦争モノから政治モノ、そして、炎上ツイートまで、この人が筆をとって文章を書けば、必ず何かしらの影響力が生まれてしまうという稀有な存在です。
という冗談はここまでにするとして、作品としては、本当に素晴らしい作品。
百田氏の作品はとにかく、ここをこうすれば人は感動し、人は涙を流すのだという人間のなきのツボを心得ているかのように、ピンポイントで泣かせに来る巧みさを持っています。
泣きたい人は、ぜひ読んでみてくださいね。

15|陽炎の辻(著者:佐伯泰英/双葉社)


14年の歳月をかけて51巻という長期連載を2016年に終えたシリーズの第1作目
長いシリーズだけにその作品群には明確な優劣があるものの、やはり1作目というのはその先のシリーズ化を決定づけるだけの力のある名作。
主人公のゆったりのんびりしたその性格がしっかりと生きているこの作品は、この先のシリーズの面白さを十分に感じさせてくれる、娯楽大作としての魅力を備えた一冊。
強さと柔和さを兼ね備えた、まさに現代人が描く理想の時代小説といった感じの作品です。

16|鯖猫長屋ふしぎ草紙(著者:田牧大和/PHP研究所)


江戸時代の雰囲気を最も感じる舞台、それは人それぞれあるでしょうが、個人的にはやはり長屋風景。
そんな、江戸をしっかりと感じる長屋風景に、美猫サバという猫を取り入れて、もうたまらなく素敵な空間を作り上げているのがこのシリーズ。
とにかく時代小説好きはもちろん、猫好きの人にも読んでもらいたい作品で、猫好きで時代小説が好きな人は読まないと人生損をする作品。
何はともあれ、まずは手に取って読んでみてください。

17|吉原御免状(著者:隆慶一郎/新潮文庫)


まさに痛快時代小説、そしてやはり時代劇は日本のファンタジーというべき作品。
とにかくこれを実写化するとなると、SFX超大作でないと無理だろうと思うような、異能力集団が現れるあたり、これぞ娯楽時代小説だ、と言いたくなる良作。
しかしこれこそ時代小説の、一つの側面。
とにかく、時代小説は堅苦しくて難しいのではいう人に読んでもらいたい作品です。
ちなみに作者は、あの前田慶次郎の作者でもあります。この作品もまた、あのノリだと思っていただければ、大きく間違っていません。

18|御宿かわせみ(著者:平岩弓枝/文春文庫)


時代小説の大人気シリーズの一つ、御宿かわせみ。
平岩弓枝という、かつてホームドラマの帝王であった人の書いた時代小説は、まさに昭和のドラマテイストな、人情の深みの醍醐味を感じる作品です。
連作短編形式なので、読みやすいですし、内容もさほど重くなく文章も優しい。
時代小説をここから読み始めるという人には、まさにオススメの作品となります。
宿という変わった場所が舞台なだけに、そこで働く姿なども新鮮味があってきっと楽しめますよ。

19|甲賀忍法帖(著者:山田風太郎/講談社ノベルズ)


ライトノベルにおける時代小説の先駆け、忍法帖はこうでなくちゃの代表作が本作。
完全にファンタジー小説へと昇華しているものの、昔から忍法帖や忍者モノというのは、こういうSFチックでファンタジーテイストのものが多かったのでまるで違和感なし。
「バジリスクー甲賀忍法帖」という漫画の原作でもある本作は、普段はラノベしか読まないという人にこそ読んでほしい、ラノベ好きならきっとはまってしまう魅力を持った作品です。

時代小説に決まりはない

時代小説というと、難しそうだったり堅苦しかったりと思っている人は多いと思います。
しかし、時代小説というのは、ありとあらゆる娯楽の要素を詰め込んで、それぞれが好きかtyてにその娯楽を時代小説という形で追及している、かなりバラエティに富んだジャンル。
ぜひ、一度、挑戦してみることをおすすめします。

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