会社員とフリーランス、個人事業主では、働き方がそのものが大きく異なります。会社員であれば、(基本的には)会社へ決まった時間に出社し、ルールの中で自身の仕事を進めていかなければいけません。フリーランスや個人事業主は、組織に比べ時間の使い方、人間関係が自由になります。しかし、仕事(または顧客)を自力で獲得しなければいけませんし、様々な事務処理(人事、総務、労務、経理etc)を自身で行う必要があります。2018年は副業解禁元年とも言われましたが、「本名を隠しビジネスネームを使って、会社員と二足のわらじで活躍!」なんて人はごくわずか。日本ではまだまだ会社員として働き続ける人が多数派です。フリーランスや個人事業主としてスタートし、相談できる先輩や同僚もいない中でひとりで事業をまわしていかなければいけません。「経費や税金ってどうするの?」「名刺はどうつくる?屋号を決めないと!」「この先やっていけるのかな・・」そんなとき心強い味方になってくれるフリーランスや個人事業主向けビジネス書をまとめました。
フリーランス、個人事業主になったら最初に読んでおきたいオススメの本・書籍
会社員であれば、ある程度一人前になるまでのロールモデルが用意されています。しかし個人事業主(フリー)にはロールモデルはないこともあります。そんな時には、まずは、個人事業主(フリー)としてスタートし軌道のっていくまでどんなことが起きるのかを頭にいれておきましょう。
1|カラー版 マンガでわかる 個人事業の始め方
お店を開店するまでがマンガになっています。マンガを読み進めるうちに、個人事業主としてスタート〜軌道にのせていく流れの全体像をつかむことができます。「個人事業主と法人の違い」といった基礎的な話から、特殊な専門用語まで図解入りで解説してくれています。まずは漫画の部分を流し読みするだけでもあなたの力になってくれると思いますよ。※ゆくゆくは法人化を考える方には同シリーズの「事業計画書のつくり方」「会社設立運営」の一読をおすすめします。
2|「数字」が読めると本当に儲かるんですか?
売上があがっていても、利益が残らなければ事業はまわらなくなります。黒字が続く儲かる会計について、「売上と利益の違い」といった基礎から理解できる1冊です。ストーリー仕立てになっているため、読み進めるうちにどうやって利益をだしていくのか理解できます。「難しい会計用語はわからないから、会計は税理士におまかせ」「売上げは上がっているのになぜか現金のこらない」という方は今すぐ手に取ってほしい本です。
3|お金のこと何もわからないままフリーランスになっちゃいましたが税金で損しない方法を教えてください!
フリーランス、個人事業主としてスタートしたら、避けては通れないお金の管理について、必要最低限の知識を身につけることができる1冊をご紹介します。この本では、とっつきにくい税金の話を、画でわかりやすく学ぶことができます。会社員から漫画家として独立した著者の体験をもとに書かれているのですんなり頭に入ってきます。税金の項目(所得税、住民税、事業税、消費税)から丁寧に解説し「税金初心者」でも挫折せずに読み進めることができます。節税や専門的なコラムページもついています。アマゾンレビュー1位(節税対策)を獲得しているのも納得の1冊です。
4|MBAより簡単で英語より大切な決算を読む習慣
「数字は苦手」「決算なんて自分には関係ない」と思っている方に手に取って欲しい1冊。本書では決算書をもとに各企業の経営戦略分析のコツを紹介しています。本書に登場するAmazon、ZOZOTOWN、クックパッド&食べログといったサービスの戦略ストーリーを読み流すだけでも、戦略分析のコツが身につくはずです。決算書を読むためのハウツー本ではないため会計ルールの詳細等は記載していませんが、決算分析をするための「方程式」が多数登場し、自身で分析できるようになっています。
5|孫社長にたたきこまれた すごい「数値化」仕事術
フリーランス、個人事業主は、日々発生する問題を自身で解決する必要があります。自身の成功体験や思い込み経験則だけに頼って問題を解決しようとしてもうまくいきません。そんな時、強い味方になってくれるのが数値です。数値で目標を管理したり客観的に振り返ることが重要と思いつつ、数値は苦手、エクセルは嫌い!なんて方も多いのではないでしょうか。この本は元ソフトバンク社長室長の著者が、孫正義社長の元で身につけた数値化によって問題解決する方法がまとまっています。組織で働くビジネスマン向けに書かれたものですが、基礎からデータ分析手法や具体的なツールなどが図やグラフとともに解説されているので、数字アレルギーの方でも理解しやすい1冊です。
6|究極理解:「聞く力」でビジネスの9割はうまくいく
セールスの経験がない、セールスに苦手意識をもっている方は必読の1冊です。会社員であれば、会社に行けば仕事があることは当たり前です。しかしフリーランス個人事業主になったら、たとえセールスが苦手でも自身の商品、サービスを提案し新しい顧客を獲得しなければ仕事はありません。この本では、セールスの基礎となる「相手を理解し信頼関係を構築する」方法について実例をまじえて記載されています。表面的なセールスのテクニックに慌てて飛びつく前にこの本を一読することをおすすめします。
マーケティングスキルを身に付けるためにオススメの本・書籍
フリーランス、個人事業主にとってセールスと同じくらい大切なスキルがマーケティング(「誰に」「何を」売るか)です。マーケティングの理解する上でわかりやすい3冊をご紹介します。
7|スープを売りたければ、パンを売れ
商品開発ではなく「売り方」について事例とともにわかりやすくまとまっています。発想の仕方を中心に「魚、豆腐、メガネ、チョコレート、予備校」などの事例とともに売り方の戦略について記載されています。業種や業態が異なるため、すべての事例が自身に置き換えができるわけではありませんが、商品販売のヒントに出会える1冊です。
8|ネットで「女性」に売る 数字を上げる文章とデザインの基本原則
女性向けに商品・サービスを売るためのノウハウがわかりやすくまとまっています。デザイン、コピーの具体例とともに、シンデレラに例えながら女性の購買心理を明快に解説してくれる1冊です。女性をターゲットに売りたいと考える方は必読です。
9|ビジュアル図解ヒット商品を生む!消費者心理のしくみ
情報や物が溢れる現代では、良いものを作ったとしても売れるわけではありません。顧客の心理(消費者の心理)を理解せずにひとりよがりで商品やサービスをつくってもヒットする商品は生まれません。カビキラー、スキンガード、固めるテンプルなど数々の No.1ブランド商品を開発した著者が、図解とともにヒット商品をつくるための「消費者心理」のしくみを100項目で解説しています。
自己マネジメント力を高めるためにオススメの本・書籍
フリーランスや個人事業主は、組織で働く会社員に比べ時間を自由に使えるようになります。しかし自己マネジメントができなければ、目の前の仕事に終われ24時間仕事状態、時間の割に成果につながらない・・・会社員時代の方が楽に仕事ができていた?!といったことになりかねません。ご紹介する本を参考に自己マネジメント力を高め、プライベートも仕事も充実した毎日を手にしてください。
10|エッセンシャル思考 最少の時間で成果を最大にする
99%の無駄を捨て1%に集中する、重要なことを見極め実行するための方法論について記載されています。仕事量が増えてくると業務効率化やタスク処理能力をあげようと、表面的なテクニックを追いかけてしまいがちです。自分の人生にとって一番大事なものを見極めること、それ以外の選択肢を捨て本質的なものに最高の力を発揮できるようにすることが重要です。本書では、エッセンシャル思考の基本や大事な選択肢を見極める技術、余計な選択肢を捨てる技術が紹介されています。本書を読み進める中で自分の時間とエネルギーを最も効果的に配分し、生き方をデザインするヒントが見つかるはずです。
11|仕事が速い人はどんなメールを書いているのか
1万通を超えるビジネスメールを添削してきた著者が、仕事が速い人が書くメールの共通点を徹底分析しまとめた本書。「目的」「ビジュアル」「返信しやすさ」「言葉」「処理速度(の削減)」とい5つのポイントにそって具体例とともにわかりやすく記載されています。読み終わった瞬間から即実践できるものが多く、仕事の効率化を見直したい、仕事がなかなか終わらない方は必読です!
12|伝え方が9割
3年連続でビジネス書年間ベスト10入りをした本書。伝え方ひとつで仕事の成果が左右されることもあります。本書では、文章構成の作り方を中心に、伝え方の実例が記載されています。料理のレシピのように、誰でもコトバをつくれるよう体系化されており、1時間程度でさっとよめる内容になっています。伝え方の基礎をマスターすることでビジネスシーンに活かせます。相手になかなか伝わらないという悩みをかかえた方にはおすすめの1冊です。
13|やってのける〜意志力を使わずに自分を動かす〜
コロンビア大学心理学博士が、最新科学の知見をもとに「目標を成し遂げる方法を解説した本書。目標を達成するには意思の力が必要と感じている方には、今すぐ手にとって欲しい本です。本書では、そもそも目標とはなんなのか、モチベーションの原則、思考の仕組みについて事例を踏まえわかりやすく記載されています。「目標をどうたてるのか」「どうすれば目標を達成することができるのか」「壁にぶち当たったらどうのりこえればいいのか」といった疑問が解決できるはず!
プレイヤーから経営者へのシフトチェンジの際にオススメの本・書籍
個人でできる仕事には限界があります。事業が軌道にのり安定化してくると自分ひとりで仕事をまわすのは限界になってくるかもしれません。プレーヤーから経営者としてシフトチェンジする際に、どんな組織をつくり、どんな会社にしていきたいのか参考になる本をまとめています。
14|すいません、ほぼ日の経営。
株式会社ほぼ日の経営について、川島蓉子氏(伊藤忠ファッションシステム株式会社 取締役)が代表の糸井重里氏へインタビューした内容をまとめています。単なる成功物語やマーケティング経営論ではなく経営者としての逡巡が垣間見えていきます。株式会社ほぼ日では「人はなぜ働くのか?会社とは何か?」といった問いに真摯に向き合った結果ヒット商品やユニークな社内ルールが誕生しています。「ほぼ日の経営」を自社に置き換えることは難しいですが、組織づくりに悩むリーダーには多くのヒントを得られる1冊です。
15|社員の力で最高のチームをつくる 〈新版〉1分間エンパワーメント
長年にわたりリーダシップ論や人材育成に携わってきたケン・ブランチャード氏が経営者向けに組織変革ガイドラインを物語形式でまとめた1冊。新版では、日本の組織風土にあったに組織変革方法についても追記されています。エンパワーメントの3つの鍵である⑴情報の共有⑵自立した働き方⑶セルフマネジメントについて事例まじえて解説されています。メンバーの力をどう活かせばいいのか、直面する問題はどう解決すればいいのか、そのヒントが本書にはつまっています。
16|自分の仕事をつくる
なかなかいいクライアントに巡り会えない、思うような案件に出会えない、そんな時に読んでほしい1冊です。プランニング・ディレクター西村佳哲氏が、独自の世界観をもつ企業インタビューをまとめた本書。柳宗理(インダストリアルデザイナー)、ルヴァン(1984年創業パン屋。富ヶ谷と信州上田に店舗を構える)、パタゴニア(登山、サーフィンアウトドア用品の製造販売メーカー)、ヨーガンレール(テキスタイル、ファッションデザイナー)といった主「いい仕事」をする人々を訪ねています。彼らに共通していることは、つねに仕事を他人事にせず主体的に関わり続けていること。迷ったら立ち戻りたい「働き方」のバイブルです。
17|マンガでやさしくわかるアドラー心理学
ついつい他人に合わせてしまう、本音が言えない。仕事でもプライベートでも人間関係で、もやもやしてしまう。そんな時に手にとってほしい本です。マンガ形式で、アドラー心理学をわかりやすく解説した本書。アドラー心理学を生かすことで、人間関係の中で、自分が縛られているものや自分の思い込みをを解きほぐしていきます。チームでいい仕事をしたいという方にとって、コミュニケーションの基本として身につけておきたいスキルです。
18|ワーク・シフト 孤独と貧困から自由になる働き方の未来図〈2025〉
私たちの働き方はこの先どのように変化していくのかをロンドン・ビジネススクール教授リンダ・グラットン氏がまとめた1冊。2025年までに「コミュニティあり方が変化し、仕事は自由に選べ、時間の制限もなくなり余暇が増える」と予想されています。お金よりも、人間関係や満足度に価値が移る中で、どう働き方をシフトされていけばいいのか具体例をまじえてわかりやすく記載されています。
19|マインドセット 「やればできる!」の研究
スタンフォード大学心理学教授キャロル・S・ドゥエック氏が“成功者たちの心理学”を スポーツ選手や企業の事例とともに明快にひもといた1冊です。20年間の調査からマインドセット次第で能力や才能は伸ばすことができると言い切る著者。成功している人は自分とは違う人間だ、そんな風に感じている方には目から鱗の内容になっています。
20|さあ、才能(じぶん)に目覚めよう 新版 ストレングス・ファインダー2.0
自分で自分やメンバーの強み(得意)とその生かし方を知っておくことは、チームで仕事をする上で重要です。自身の不得手なものは得意な人に頼むことで、仕事の進むスピードは格段にあがります。本書では「才能」と「経験によって身についた能力」を区別したうえで、後者の才能をを34分類にわけ解説をしています。合わせて強みごとの人材の活用方法も説明されています。Strength Finderという診断テストもWeb上で受けることが出来、自身の5つの才能を知ることが出来るようになっています。欠点を改善し完璧な自分を目指すより、お互いを補える強いチームをつくるヒントとして活用してみてはいかがでしょうか。
21|日本でいちばん大切にしたい会社
日本の企業の9割を占める中小企業。経営学者である坂本光司氏が、約6000社のフィールドワークで見出した「日本一」価値ある企業を紹介する本書。中小企業は約99.7%(平成26年経済センサス-基礎調査)を占める。本書に登場する企業は、地方にあり、中には斜陽と言われる業界に属してる企業もあります。しかし従業員や地域社会に貢献しつつ、好業績を持続している企業ばかりです。「人を幸せにする経営」と言葉にすることは簡単ですが、実践することは非常に困難です。しかし本書を読むことで、企業とは何のためにあるのか、希望が見出せる内容になっています。
まとめ
事業を続けていく上で、「これをやっていたら絶対に正解」という答えは誰ももっていません。しかし困った時に頼れる人間関係や、正しい知識を身につけておけば、自由度の高いフリーランス(個人事業主)という働き方を思う存分楽しむことができます。ご紹介した本があなたの心強い味方になってくれるように願っています。
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