とにかく間違いのない面白い名作&傑作小説だけを文庫小説で読みたい。
そんなあなたの要望にお答えする、本当にもう絶対的な名作だけを紹介するのが今回の目的です。
ある意味、ここにある小説を読んで面白くないと感じたら、もしかしたらもうそのジャンル自体が合わないのではないか?と思ってもいいくらいの間違いのない名作ですので、ある意味有名作品ばかりです。
ですから読書家のひとには既読のものばかりになるかもしれません。
しかし、もし読んでいないものがあったら、いちおうは抑えてくべき作品でもありますので是非チェックして読んでみてくださいね。
1|指輪物語(著者:J.R.Rトールキン/評論社文庫)
まずはファンタジーのジャンルから。
いろいろ考えたのですがここはやはりファンタジー界の金字塔であり、ある意味すべてのファンタジー作品の親と言ってもいい元祖ファンタジ-小説、指輪物語をおすすめします。
もちろん多くのファンタジー小説ファンにしてみれば今更おすすめされてもかもしれませんが、ファンタジーのジャンルで間違いのないものといえばやはりこれですよね。
今の時代のファンタジー小説。
ライトノベルも含めてそこに登城する耳の尖ったエルフに、斧を担いだドワーフ、杖を持ったヒゲの魔法使いに醜いオーク、魔法のかかった指輪等々、そのほとんどがこの指輪物語が生み出した世界観。
旅の中で異種族の仲間が人間と共に旅をして、悪の魔王を倒す。
こんな、まさに全世界基準のテンプレートの生みの親といえば、もはや、このジャンルの代表格として紹介されることに異論はないと思います。
そして、とうぜん面白い。
むしろ面白くなかったらこんなにもその世界観が世界に広がるわけはないですから、安心して読める面白い小説であることは間違いありません。
2|ハリー・ポッター(著者:J.K.ローリング/静山社)
指輪物語がファンタジー小説のジャンルのスタンダードなら、新しい風の代表格がこれ。
世界市場最も売れたシリーズ小説であり、なんと世界累計で発行部数が5億冊を超えているというまさにおばけレベルの大ヒット小説です。
もちろん映画で見たことのある方もたくさんいると思いますが、小説の方もなかなか趣深いのでぜひ読んでほしい作品でもあります。
特に、イギリス小説にありがちなちょっとしたいたずらや映画ではわかりにくい細かい秘密。
こういった、ハリーポッターシリーズに欠かせないコネタのようなものも小説版ですとはっきりと分かりますし、なるほどと納得する部分はたくさんあります。
実際普通に映画だけ見ていると「え?アレはなんでああなったの?」っていうところがたくさんありましたよね。
そういった、疑問をすっきりさせるためにもここはしっかりと活字で読むことをおすすめいたします。
そうすれば、この物語が小説として異例の大ヒットを飛ばしたからこそ映画が成功したのだという事実がはっきり実感できるはずです。
それくらい面白い、間違いのない小説です。
3|陰陽師(著者:夢枕獏/文春文庫)
ファンタジージャンルで最後にご紹介するのは、ある意味日本代表。
発売年自体はそんなに古くはないですが、ジャパニーズファンタジーとして陰陽師物をスタンダードにした小説と考えればまさに名作と言っても問題はありません。
その影響力は、羽生結弦の金メダルにまで及ぶわけですから、まさに社会現象ですよね。
今や京都にある安倍晴明を祭る晴明神社は、有数の観光地となりましたし、若い世代であっても式神や陰陽道という言葉を知らない人はほとんどいません。
ここまでくると、日本文化に大きな影響を与えたと言って問題はないでしょう。
物語自体は、本当にスッキリとしたわかり易い内容で、タイトルのイメージほど難しくないのもその魅力。
ジャンルが平安京を舞台としたジャパニーズファンタジー小説というだけで、なにかその時代についてわからない人間を拒絶するような響きはありましが、全然そのあたりの素養がなくてもOK。
安倍晴明と源博雅の名コンビの絶妙な掛け合いを読むだけで、なんとなく典雅な気持ちになれる、そんな日本のファンタジー史における稀有な作品です。
4|ノルウェイの森(著者:村上春樹/講談社文庫)
続いては恋愛・青春小説のジャンルから、となるとやはりこれでしょう。
一時期、この作品のもととなったビートルズの曲よりもむしろ、この作品タイトルのほうが有名であったと言っても過言ではなく、今もそうなのではないかと思えるほどの名作中の名作。
村上春樹という流行作家を現代の文豪へと押し上げた歴史的作品でもあります。
これほど人気があり、そして有名な作品であるにもかかわらず、その内容は決して無難なものではなく、いまだに賛否の大きく別れる作品であるところもこの作品の魅力。
しかもその賛否における否定派も、面白いのだけど、という接頭語をつけない人はほとんどいないという、面白いことに関しては折り紙付きの作品です。
少なくとも、20世紀の日本の文学史には欠かせない一冊。
ハルキストという熱狂的ファンを生み出し、またノーベル文学賞に最も近い男といわれる村上春樹の、ひとつの到達点として、ぜひ読んでおきたい作品です。
その、繊細で心を抉る恋愛の描き方に、ぜひ触れてみてください。
5|世界の中心で、愛をさけぶ(著者:片山恭一/小学館文庫)
累計売上部数321万部。
日本の恋愛青春小説部門においては、間違いなく最大のベストセラーとなった、あのセカチュウですがこれもまた間違いのない傑作と呼んでいいでしょう。
もちろん一番売れている小説が一番面白いとはいいませんが、少なくとも売れている小説に面白くない小説は存在しませんから、安心して楽しめる作品と言って間違いありません。
ただ、文庫だからといって外で読むと大変なことになりますけどね。
内容的には、ご存知のかたも多いと思いますが、そんな展開で涙が出なかったらむしろまずいだろ?!と言いたくなるくらい卑怯な展開。
しかし、この判り易いまでにテンプレートな展開こそがこの小説の良さでもあります。
意外性や特異性というのは、刺さるひとには大きく刺さりますが、多くの人に等しく刺さる小説というのはやはりこの王道の展開を踏んでいる作品。
まさに作家がここで泣いてほしいというところで。
そして、読者が、泣くならこんなシーンで泣きたいとずっと思いながら読んでいるところで間違いなく泣かせてくれる、そんな名作なのです。
6|積木くずし(著者:穂積隆信/アートン)
きっと若い人は知らないと思いますが、ある年代以上にはしらない人のいない青春小説。
不良というキーワードが社会を席巻していた1980年代初頭の日本で、実際に不良少女となった娘との戦いの記録を綴った自伝的小説。
青春の真っ只中で迷う娘と、そんな娘にどうして接していいのかわからない家族。
家族のあり方、親と子の関係、そんなものが時代の中で大きく変化していく時代だった80年代の日本における社会問題が詰め込まれた、衝撃の作品です。
人によっては、これは青春小説と呼べるのか?という人もいると思いますが、ここにあるのはやはり青春の葛藤。
娘が直面する青春の葛藤を中心に、そこから波紋のように派生する数々の大人たちの苦悩こそがこの物語の醍醐味ですからジャンルはここで間違いないと思っています。
しかし、間違いのない傑作、名作であることは間違いありません。
時代製の違いやふるさに惑わされずにぜひ読んでほしい、間違いのない小説です。
7|そして誰もいなくなった(著者:アガサ・クリスティー/ハヤカワ文庫)
本当に難しいところですが、ミステリージャンルでおすすめといえば、やはりこれでしょう。
世界に数多くいるミステリー愛好家に、このたびミステリー小説のランキングナンバーワンにこの作品が選ばれました、といえば、予想が外れて悔しがるひとはいてもきっと反論するひとはいない、それほどの作品。
まさに世界を代表するミステリー小説の名作であり、その白眉とも言える作品です。
今日も、数多くのミステリーが書かれていて、その中でも絶海の孤島や吊橋の落ちた別荘、電話の切れた山荘など閉じられた空間で事件が起こるクローズド・サークルもたくさんかかれています。
しかし、この作品がなかったら、きっとそんなクローズドサークルはそこまで人気がなかったに違いありません。
さらには、物語の内容に沿って人が殺されていくという、いわゆる見立て殺人という手法を使った小説としても、やはり世界的に代表作といわれるものであり、もはやミステリー博物館と言っても過言ではない名作。
流石にミステリーファンやミステリーマニアにこのレジェント級の名作を読んでいない人はいないでしょう。
しかし、そうでないひとにはぜひ読んでほしい。
コナン・ドイルでも、エドガー・アラン・ポーでもなくアガサ・クリスティーをミステリーの名作の最初にもってきたことの意味は、かなり大きいのですよ。
8|容疑者Xの献身(著者:東野圭吾/文春文庫)
平成の小説界が一代ミステリーブームの舞台になった原因はこのひと、といえば東野圭吾。
出す小説出す小説がベストセラーとなり、しかもドラマ原作としても大ヒット映画原作としてもまたまた大ヒットというまさに稀代のヒットメーカーだと言えます。
そんな東野圭吾の作品の中でも最も評価が高いのがこの容疑者Xの献身。
テレビドラマとして大ヒットを記録したガリレオのスリーズの一つでもあるこの作品は、映画として公開されやはり大ヒットを記録しました。
とうぜん小説で読んでもその面白さは、揺るぎなく、むしろ、大ヒットした映画よりも小説のほうが圧倒的に面白いという作品でもあります。
東野圭吾作品の特徴は、とにかくその高いエンターテインメント性。
ミステリーとしてしっかりとした謎解きは当然のことながら、キャラクターの個性の強さそして物語の奥深さ、人間の心の琴線に触れるテーマ、そのすべてが面白さに特化しているのです。
だからこそ、ドラマ原作や映画原作に向いているのですが、そのエンターテインメント性の高さはその筆力の高さをおいて語ることはできず、ミステリー小説を名作文学に高めた功績は大きいものです。
9|理由(著者:宮部みゆき/朝日文庫)
東野圭吾がミステリー小説を牽引する作者の一人ならば、この宮部みゆきも間違いなくその一人。
たとえとして正解なのかどうかはわかりませんが、まさに西の横綱と東の横綱と言ってもいいほどに、この二人なくしては現在の大ミステリーブームはなかったと言って間違いはないでしょう。
そんな宮部みゆき、今ではファンタジーも歴史小説もホラーも書く多才ぶりですが、やはりその本職はミステリーですし、代表作はこの作品で間違いないでしょう。
そしてこの作品は直木賞受賞作品。
ここ30年をさかのぼっても直木賞を受賞したミステリー小説はたった10作品しかありませんから、それがいかにすごいことなのかわかっていただけると思います。
宮部作品の特徴はなんと言ってもその細かい人物描写。
街にいる本当に特徴のない一人の中年女性から、なんでもない少年に至るまで、その精緻な描写でくっきりと浮かび上がらせることで物語の大事な登場人物へと変えていく力。
本作もまた、数々の家族、人間、そしてそれぞれの複雑な思いが絡み合って大きな流れとなっていく作品。
すべての人間が欠かせない主役級の働きをしているのに、作品として一本しっかりとした筋が通っているその構成力には目をむくものがあります。
名作・傑作は色あせない
ここで紹介したのは、洋の東西、国内外、そして時代を問わないまさに名作。
そしてそのすべてがまったく色あせない輝きを持っていて、今読んでも間違いなく心ウェぐる最高の作品たちばかりです。
ぜひ一冊でも手にとっていただいて、名作の名作たる所以、傑作の傑作たる魅力に触れてみてください。
間違いなく全て面白いです、それは保証しますよ。