農業の初心者が就農する前にしっかりと読んでおくべき本・書籍5選【農業は基礎知識が大切!】

就農を目指そうと思ったあなたに

農業を始める。
それが脱サラのうえ本業として始める場合でも、また副業として週末農業を始めるのだとしても。大自然の中で、都会の喧騒を忘れて働くイメージは、心惹かれるものですよね。
あこがれの田舎暮らし、というのも魅力的なワードです。
しかし、社会生活を営む上で、農業は社会からあまりに遠い存在になっているのも事実。
いざ農業を始めると言っても、いったい何から手を付けていいのかさっぱり。というのが普通ではないでしょうか。
そしてそれが、新規就農者にとっての一番の壁になっているように思います。

農業と言っても色々です。

農業と一口に言っても、その内容は実に多岐にわたります。
基本的な作業である、準備する・作る・売る・売り上げでまた準備する。この一連のサイクルの中にもいろいろな知識が必要です。
つまり、野菜やコメなどの作物を作る作業、いわゆる農作も農業ですし、農業を家業として成立させるために知っておくべき流通・販売・経営なども農業の中身の一つです。
学問的に言えば、農学・化学・経営学・経済学・流通学とどれか一つに特化しているというよりも、それぞれにちょっとずつ踏み込んでいる、それが農業です。
そう考えると、かなり知るべきことの多い仕事であると言えるかもしれません。
かっての伝統的農業とは違い、今どきの農業はやっていれば自然に身につく……といった類の仕事ではないのです。
そんな中で今回は、農業を始めるうえで基本的な知識と、それをビジネスに変える知識に限定して、本の紹介をしていきたいと思います。

「まずは野菜を作る」農作について学ぶ。

一番初めは土づくり▶︎▶︎▶︎

『図解でよくわかる 土・肥料のきほん』(誠文堂新光社)

農業の基本は土作り。
むしろ、農業を始めるうえでは、野菜作りの方法より土作りの方法を知っていないとまったく話になりません。
一般に土と言っても、野菜を作るのかそれとも米を作るのか、はたまた麦なのか。
野菜を作るのだとしても、それがどんな野菜でその野菜をどう育てていきたいのか……。
そんな用途や状況や様々な要因によって、土の種類はたくさんあります。
そんな中で「良い土」を作るにはどうしたらいいのか。そもそも「良い土」とは何なのか。そんな「良い土」を作るためには、いったいどんな肥料が必要になってくるのか。
化学肥料なのか有機肥料なのか、そもそも肥料とはどういうものでどんな成分なのか……。
そう言ったことについて非常に丁寧に、その基本について書かれているのが本書です。
まずはこれを読んで土についての基本的な知識を身につけておくとよいでしょう。

絶対必須の基本知識▶︎▶︎▶︎

『図解でよくわかる 農薬の基本』(誠文堂新光社)

せっかく農業を始めるのだから、有機無農薬で。と、お考えの方は多いと思いますが、有機無農薬農法は簡単な農業ではありません。
もしゼロからのスタートであるならば、まずは基本的な農業から始めたほうがいいでしょう。
そのうえで、絶対に知っておきたい、いや、知っておかなければならない知識が、この農薬に関する知識です。
農業にとって、病害虫というのは本当に悩まされる、一番の厄介ごとです。
農業に挑戦する人の多くが、希望にあふれた夢を抱いて挑戦するものの、途中でギブアップしてしまう要因のほとんどが、この病害虫と言っても過言ではないほどです。
しかも、農薬は劇薬物です。きちんとした知識の元に取り扱うべきものなのです。
この本では、日本の農業における農薬事情から、農薬の歴史、農薬の定義、使っていい農薬など、図解入りで丁寧に解説してくれています。
しかしきっとそれでも、全く初めての方には難解な部分もあるでしょう。とはいえ、知っておくべき農薬の基礎なのでしっかり学んでおきましょう。

やっと野菜を作れます▶︎▶︎▶︎

『野菜栽培の基礎』(農山漁村文化協会)

土づくりを終え、農薬の種類について基礎的な事を学んだうえで、やっと野菜作りが始まります。
そんな中でお勧めしたいのがこの名著。
農業を始めるうえで、いや、今まさに農業をやっている人にとっても、必携のバイブルとでもいうべき農業について必要なすべてが網羅された本。それが本書です。
内容は、これぞ教科書といったつくりになっていて、非常に効率よくわかりやすくまとめられています。
もちろんここの書いてあることをすべて理解し、覚えてしまうことが出来れば、それはすなわち野菜作りのエキスパートであると言ってもいいくらいですが、実際はそうはいきません。
まずはこの本を読んで、野菜作りの基本的な事に書いてある部分だけをある程度覚えましょう。
その後は、実際に野菜作りに取り掛かっていく中で、それこそ、その場面場面において何度も擦り切れるほど読んでいける本です。
トラブルに見舞われた時、疑問がわいたとき、なにか困った状況になったときにも、これを読み直して行けば大抵のことは大丈夫。
ぜひともお勧めしたい一冊です。
とはいえ、やはり基本の書。ある程度農業になれたら、専門書を買う事をお勧めします。

ビジネスとしての農業。

趣味として農業を楽しもうというのであれば、今までご紹介した本だけを読んでいれば、簡単に始めることはできます。
というよりも、家庭菜園ならホームセンターの店員さんに聞いて分かるレベルの知識で大丈夫です。
しかし、これをしっかりとビジネスとして成り立たせる、つまり就農という観点から考えると、むしろ野菜が出来てからが本番という事になります。
しかもある意味難しいのもここからです。
というのも、モノ作りは基本的に自分のさじ加減でどうとでもできる部分だからです。
ところがここからは、相手が自分と自然ではなくて、他者という事になってきます。そこにはニーズや流行、そして流通や販売のノウハウ、資金繰りや採算ベース……。様々な要因が発生してきます。
ここからは、農業をビジネスとしてとらえ続けていくために必要なノウハウがわかる本をご紹介いたします。
現実的の農業ビジネスをとらえよう。▶︎▶︎▶︎

『農で起業する!脱サラ農業のススメ』(築地書館)

この本は、外資系サラリーマンから農業を始めた杉山経昌氏によって書かれた本で、農業で起業しそれでビジネスを展開していくための考え方について書かれた本です。
内容は、著者のエッセイの様な体裁になっていますが、そこにある経験やノウハウは農業ビジネスに欠かせないものばかり。
サラリーマン時代に抱えていた悩みから、いかに農業を始めることにたどり着いたのか。実際どんな苦労がありどんな喜びがあったのか、そして、いまどうしているのか。
よくある「農業を始めよう」本にありがちな、農業の良い面ばかりにスポットを当てるのではなく、その大変さを語ったうえで、魅力についても書いてある名著です。
内容として一貫しているのは、常に農業をビジネスだととらえている点。
ただ漫然と作物を作るのではなく、きちんとビジネスモデルを形成し、それを実践、失敗や経験をデータ化しそれをもとに修正、そしてもう再度ビジネスモデルを構築する。といった、具体的な経験について書かれています。
ですので、これから、農業を始めようとする人に、それがビジネスであることをしっかり認識させるうえで、最適な本ではないかと思います。

新規就農はベンチャーだ。▶︎▶︎▶︎

『小さく始めて農業で利益を出し続ける7つのルール』(ダイヤモンド社)

副題に「家族農業を安定経営に変えたベンチャー百姓に学ぶ」と、長めの説明が付いた本書は、農業法人としてとても有名な「野菜くらぶ」の澤浦彰治詩によって書かれた本。
野菜くらぶは、家族経営農家の独立支援などもされていて、農業をビジネスとして成り立たせ、そして独立採算を行っていくというノウハウについてはプロ中のプロ。
そんな野菜くらぶの代表である澤浦氏の書いた半生について書かれているのが、この本です。
現在、農業従事者のほとんどが農業を副業として行っている中、儲からないとされる農業でいかにして利益を出し、大きな会社を設立するに至ったかという内容は、新規就農者にとって興味深いこと間違いなし。
顧客をいかに獲得していくか、そしてそんな顧客とどう向き合うかといった、いわゆる経営の基本中の基本から、第六次産業の話までその内容は多岐にわたって充実しています。
そんな、澤浦氏の歩んできた道のりは、まさにビジネスマンのそれで、いかに新規就農がベンチャーであるかというのを感じさせてくれます。
ただ野菜を作り自然と触れ合うだけでは就農は成功しません。内向きのマインドでは、それはただの趣味。
いかに行動力絵を持って外向きの活動を積極的に行っていくのか、そしてそれがいかに大切な事なのか。
ベンチャー企業を起こす人なら当然としてとらえられることを農業に当てはめて考えることが出来る、そんなきっかけになる本です。

それでも農業をお勧めするわけ

以上5冊、紹介させていただきました。
では、これを読めば農業を今から始めてしかも儲けることが出来るのか、と言えばNOです。
というのも、これはあくまで基本的な知識であり、本当はもっとたくさんの知識を備えたうえで、数々経験を経ないと農業はビジネスとして成り立ってはいかないからです。
と、なると、足がすくんでしまいますよね。はっきり言って、面倒です。
しかし、それでも、やはり就農をお勧めしたい。
というのも、農業はそれに報いるだけの喜びと充実感を兼ね備えた素晴らしい職業だからです。
農作においては、食べ物を作り食すという原初の喜びから、自分のコンセプトに沿った作物をより美味しくより多くより効率的に作っていくという果てなき挑戦の楽しさ。
そして、ビジネスにおいても、コンセプトに沿った商品を顧客に売り広めていく喜び、消費者の感動を直接感じられる幸せ。
そんな、今までに経験したことのない素晴らしい出来事と体験が目白押しです。
ぜひ、就農について、一度考えてみてはいかがでしょうか。そこには、想像もつかないような素敵で新たな人生があなたを待っています。

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