面白い小説はよく読むけど、エッセイはなかなか。
内容が作家の個人的な想いであることの多いエッセイは、本好きの方でも敬遠する人は少なくありませんし、選びにくいですよね。
そこで今回は、素敵なエッセイをみなさんにご紹介。
有名な物からちょっとマイナーなものまで、素敵なエッセイをそろえてみました。
1|もものかんづめ(著者:さくらももこ/集英社)
やはり、日本のおすすめエッセイといえばまずこれを上げないわけにはいきません。
1980年から2001年までの20世紀終わりの20年間で、集英社という大出版社の総合売り上げで第2位を記録した、まさにお化けエッセイです。
テレビ番組世界一受けたい授業では、これまで日本で発行された本の売上ランキングで34位に食い込んでいましたし、間違いなくエッセイの金字塔です。
内容は、子供も大人も楽しめる、まさにリアルちびまる子ちゃんな世界。
いっぱい笑えとちょっとだけほろっと来るのその世界観は、彼女にしか書けないまさにオリジナリティーあふれるエッセイです。
2|トラちゃん(著者:群ようこ/集英社)
日本でエッセイスイトといえば、やはり群ようこを忘れてはいけません。
エッセイという分野において、一大ブームを築き上げたといっても過言ではない彼女のエッセイは、感情を揺さぶることに関してはまさにぴか一のエッセイ。
この『トラちゃん』もその例にもれず、エッセイ好き、群ようこ好き、本好き、そして何より猫好きな人間すべてにお勧めできる、珠玉のエッセイです。
とにかく、その読みやすい文章から生まれてくる、温かくてそして笑える群ようこワールドは、エッセイという枠にとどまらない、極上のエンターテインメントに仕上げ合っています。
ちなみに、読むと猫を飼いたくなります。ペットを飼えないおうちの方はお気を付けください。
3|東京困惑日記(著者:原田宗典/角川文庫)
とにかく笑えるエッセイを書くエッセイストといえば、個人的には間違いなくこの人、原田宗典さん。
特にこの東京困惑日記は、読む場所をきちんと選ばないとえらい目に遭ってしまうぞ!というレベルでもう次から次に襲い来る爆笑の渦の猛ラッシュ。
そして、原田宗典のエッセイに共通する、青春と男の悲しい悲哀。
あんなに大爆笑して腹を抱えて涙を流したというのに、読後に感じる、どこかノスタルジックな寂寥感と人間の愚かさに対する優しい気持ち。
ただ笑わせるわけではない、エッセイの魔術師原田宗典の真骨頂。
どちらかといと、エッセイという文学にあまり慣れ親しんでない人に、読んでほしいそんな一冊です。
4|女の子が生きていくときに、覚えていてほしいこと(著者:西原理恵子/KADOKAWA)
波乱万丈に自ら突っ込んでいく人生の冒険家西原理恵子。
そんな、破天荒の見本のような漫画家西原理恵子が、女性が社会で胸を張って生きていくその術について書ききった渾身のエッセイ。
その一言一言が、女性として社会で生きるための大切な指針であり、そうでない今の自分にぐさりと刺さる強さを持って迫ってきます。
西原理恵子の考える幸せな女像としてみるか、自分や自分の娘への指針として感じるかは人それぞれでも、社会を生き抜く女『西原理恵子』のすさまじさを感じる素敵な本になっています。
5|似ッ非イ教室(著者:清水義範/講談社)
この本はエッセイ本ではありません似ッ非イ本です。
そう、これはパスティッシュ(模倣)文学という奇妙なジャンルで日本の文壇を駆け巡る清水義範氏が書いた、エッセイのパスティッシュ本です。
途中から微妙にお菓子な世界観にひきづりこまれて行って、気が付くと大ウソの渦の中にいる。
そう言えばこういうエッセイってあるようなぁと思いつつも、その嘘満載の世界観に笑いが止まらなくなってしまう、そんな珠玉の疑似エッセイ小説。
エッセイとして紹介するのは、はっきりって場違いの一冊です。
他人の想いがあふれる
エッセイは、他人の想いがあふれる文学形態です。
小説よりも軽い気持ちで読んでみて、好きなエッセイストを見つけてみるのもいいかもしれませんね。