人生で一度は読むべきオススメの本・小説15選

人生で一度は読んでおきたい小説。
それはいろいろな観点から選ぶことができるとは思いますし、結構な数存在するものではあります。
そこで今回は、あまり紹介されていない本の中から、人生で一度は読むべきオススメの小説・本をピックアップしてみました。
隠れた名作という感じで、人生で一度は読んでおくべきオススメ小説・本を紹介していきますね。

1|十七歳だった!(著者:原田宗典/集英社)

色々世間に対してお騒がせな出来事を起こしたせいで、表舞台から姿を消した原田宗典。
それでも、ネット以前の日本、1990年代にそのエッセイの面白さで大ブームを作ったひとであり歴史にこのまま埋もれさせておくのはもったいない作品ばかり。
その中でもぜひ読んでほしいのがこの作品。
原田宗典のエッセイに共通する人間というものの本質的に持つおかしさや滑稽さ、真面目だからこそ笑えてしまうそんな性質に鋭くメスを入れた作品です。
しかもそれは高校生という最もおかしな時代の話。
なにをやっても不器用で、なにをやってもぎこちなく、そしてどこをどう切り取っても笑えてしまう高校生という時代を大胆にエッセイにした抱腹絶倒の一冊。
そう、私もあなたも、愚かなる十七歳だったのです。

2|新興宗教オモイデ教(著者:大槻ケンヂ/角川書店)

ロックボーカリストであり作詞家であり詩人であった大槻ケンヂが発表した処女小説がこれ。
新興宗教というものが、日本においてまだそれほど大きなインパクトのなかった時代にそのあまりに奇妙な実態にについて書き上げた異色のSFのような作品。
というのも、新興宗教の怖さが浮き彫りになった地下鉄サリンはこの小説の4年後の事件。
今から考えるとその先見の明に驚かされるところですが、この物語の面白さはそういうところにはなく、その独特の文体と世界観の中で繰り広げられる小さな恋のものがたり。
そして、人間の正気と狂気を描かせたら文豪に勝ると言える大槻ケンヂの人間観察力にあります。
しかも、激しい感情の中でそれがくりひろげられるわけでもなく、ただただやるせない。
まさに、記載というべき男の書いた、絶対に読むべき作品です。

3|晩年の子供(著者:山田詠美/講談社)

この人の世界は、美しすぎて悲しいと思う、そんな小説家山田詠美。
10代の少女の目に映る世界を様々な角度から描いた短編集で、その時に冷酷な視点から描かれる世界の姿には人間のどうしようもない切なさが隠れている、そんな作品です。
山田詠美はとにかくこういった分析的な作品が面白い作家。
世界から一歩引いたところに立って、世の中を解剖するかのように分析しそしてそのひとつひとつを読者の目の前に出して並べていく。
ただ他の作品はそこに山田詠美の「これって変でしょ」が入るのですがこれは違う。
この作品はただ冷静に切り開いて切り取って、そしてそこに並べておいただけ。
それについてどう思うか、それをなんだと思うのか、そのすべてを読者に預けてしまっているような作品で何度読んでも違う味わいで楽しめます。

4|幸福な生活(著者:百田尚樹/祥伝社)

小説、特に短編小説にとって最も大切なのはその切れ味。
その切れ味が生まれる一番の要因は、構成力であり、有り体な言い方をすればどれほど読者の心にずんと響くようなオチを迎えることができるのか、です。
そういう点で、ベストセラー作家百田尚樹の知られざる名作である本書はまさに秀逸すぎるオチ。
18篇もある短編集なのですが、とにかくその大半において最後まで飽きさせない工夫が行き届いているのは当然のことながら、最後の締め方が本当に巧み。
そう、たったの一行で読者にとどめを刺してきます。
このとどめの刺し方こそ、百田尚樹がエンターテインメントの才能に恵まれていることの何よりの証であり、それを遺憾なく発揮できるフィールドが小説であった証拠。
ぜひ読んで欲しい作品です。

5|龍は眠る(著者:宮部みゆき/新潮社)

宮部みゆきほどの作家になると隠れた名作は少ないとおもいきや、なかなか紹介されていないのが本作。
宮部みゆきがデビュー当時の頃好んで書いていたサイキック物のミステリー小説で、超能力というある意味ミステリー小説の反則技を使いながらも見事にミステリーとして完成させている傑作です。
そしてそこにはやはり宮部みゆきの宮部みゆきたる個性があふれています。
宮部みゆきという作家は人を通して事件を描く作家ではなく、事件を通して人間を描く、そして巨大で奇妙で凄惨な事件を通して人間の当たり前を描く作家です。
当たり前の暖かさ優しさを描く作家です。
そして本作もまた、サイキックという特殊すぎる人間の起こした事件を通して描かれるのは人間というものの本質にある救いの部分。人間讃歌です。

6|ユンカース・カム・ヒア(著者:木根尚登/角川書店)

ゲットワイルドでおなじみTMNの木根尚登が書いた小説。
ミュージシャンでありながら、しかもテクノポップやロックという若干激しめの音楽を演じるアーティストでありながらまるで童謡歌手のような優しい作品をかきあげたのが本作。
人の言葉を理解ししゃべる犬ユンカースと主人公瞳の心温まるストーリーは、まさに童話そのもの。
所々にバブル時代を感じさせる派手さはあるものの、終始ひだまりの中で展開されるようなそのストーリ-は安心して柔らかな気持ちで最後まで読みすすめることができます。
起伏なく流れる本当に穏やかな作品。
しかしそれでいて、最後まで進んでいくうちに心のなかに鼻に変えたいの知れない暖かさのようなものがしっかりと湧き出てくる素晴らしい作品です。

7|堀部安兵衛(著者:池波正太郎/新潮社)

池波正太郎といえば痛快娯楽時代小説の大家。
鬼平犯科帳、剣客商売、仕掛人・藤枝梅安など、数多くのオリジナルの世界観を構築してきた昭和を代表する時代小説作家です。
しかし、池波正太郎の凄さはそんなオリジナルストーリーだけではありません。
この本で池波正太郎が描いているのは、日本で敵討ちといえばこの人と言ってもいい忠臣蔵でおなじみの堀部安兵衛という実在の人物です。
そして、池波正太郎の手にかかれば堀部安兵衛の魅力は倍増。
若さの汗を感じるほどの描写で描かれる青春時代から悲劇の吉良邸討ち入りに至るまでの道程が、まさにグイグイと引き込むように進んでいって読者を飽きさせない展開はさすがです。

8|パノラマ島奇談(著者:江戸川乱歩/春陽堂書店)

江戸川乱歩といえば、やはり怪人20面相であり少年探偵団。
しかし、もっと深く江戸川乱歩を知る人でも人間椅子やD坂殺人事件などがその作品としてあげられるのだろうと思いますが、乱歩の隠れた名作といえば、このパノラマ島奇談。
この作品は、とにかく奇っ怪で奇妙でおかしな作品。
死んだ友人になりすまし財産をせしめようという設定もなかなかに面白いですが、その計画のために無人島におかしな世界を作り上げるという発想は一体どこからやってくるのか。
そして、あきからに狂気に満ちた世界をなぜここまで緻密にそして魅力的に描写できるのか。
まさに江戸川乱歩は文豪でもなんでもなく鬼才であり狂気の作家であるのだと実感する作品で、ぜひ読んでいただきたい一冊です。

9|この人を見よ(著者:ニーチェ/新潮社)

哲学の巨人ニーチェが語る、自伝的哲学書。
この本に関しては、人生で一度は読んでほしいというよりも長い人生の中でこれを読んで理解できるようになってほしいというレベルの本です。
間違いなく中途半端な読書家だと「?」が頭に浮かぶだけの作品となるでしょう。
しかし、読めば読むほど、ニーチェという人間の頭脳の中に広がる広大な世界のあまりに奥深言う中のようなその空間に打ちひしがれるような感動を覚えます。
ある意味人類における頭脳の到達点である男の自伝、必読です。

10|ペスト(著者:カミュ/新潮社)

不条理小説という言葉を世界に広めた男、カミュ。
ノーベル文学賞作家であり、その代表作である幸福な死はその翻訳の見事さも手伝って、60年代から70年代の文学青年必携の書であった作家です。
ペストに襲われたため、外部からまったく遮断された街で起こる人間模様。
まさに、かかれば死んでしまうという死病という形で襲いかかってくる不条理の中で、顕になっていく人間性を鋭く描いた名作です。
そして、下世話な言い方かも知れませんが、カミュの小説はそのすべてがなんとなくかっこいい。
文学的な言い方では全く無いですが、この作者の小説にはむせ返るほどの厨2病感があって本当に男の子心をくすぐるんですね。
10代の男子はもちろん、少年心を忘れない大人にも読んでほしい作品です。

11|人民は弱し官吏は強し(著者:星新一/新潮社)

星新一といえば、言わずと知れたショートショートSFの第一人者。
教科書にも乗っているその切れ味鋭い短編小説は、日本の文学史に欠かせないものですがこれはそれとはまったく毛色の違う作品。
この作品は、実は日本における偉大な科学者でもあった星新一の父親星一の障害を息子の視点で書いた作品なのです。
しかもそこには、今日本にも間違いなく通じるであろう、科学者と役人という大きな2つの関係性の中で繰り広げられるいじめのような権力の悪行のかずかずが。
いまだに、偉大なる科学者の殆どが日本ではなくアメリカなどで研究をするために留学してしまう日本という国の病理。
その病理に、大作家の鋭い視点で切り込んだいまを写す鏡のような作品です。

12|三毛猫ホームズの推理(著者:赤川次郎/角川書店)

今やミステリーや推理者は出版界のドル箱。
宮部みゆきや東野圭吾など綺羅星の如き作家がしのぎを削っているこのミステリー界ですが、ミステリーという作品を大衆小説として定着させたのは間違いなくこの人、赤川次郎です。
もちろん30代以上の人には、この三毛猫ホームズシリーズは隠れた名作でもなんでもないですし、読んだことある人も大勢いることでしょう。
しかし、実は20代中盤より若い人の中には赤川次郎自体を知らない人も多いのです。
そしてそれは、あまりにもったいない。
かつて、小説家でありながら長者番付に乗っていたような20世紀を代表するベストセラー作家の作品。
ぜひ読んでおくべきです。

13|おもしろくても理科(著者:清水義範/講談社)

パスティッシュ小説を日本に広めた作家、清水義範。
そんな清水義範の小説には、氏のとんでもないほどの雑学の知識が随所に現れているのですがその雑学の知識の源泉が感じられるのがこの作品。
そして、なんと言っても挿絵の西原理恵子との掛け合いがまあ面白い。
この本は、文系の人間が不得意で仕方がないと感じている理系という世界に対して、イヤイヤただの理科だよそれは、と清水義範が丁寧にツッコミを入れてくれるという作品。
そしてそのツッコミ混じりの作品を通じて、知識を得る面白さを知ることができます。
普通にものしりになれる、楽しみながら。
そういう意味で、絶対読んでおくべき作品です。

14|シンギュラリティは近い(著者:レイ・カーツワイル/NHK出版)

シンギュラリティという言葉、これは今後の世界において最も重要になるかも知れない言葉です。
その意味は、進化したAIによって人間がこの世の頂点でなくなってしまい、ポストヒューマンの地位をそのAIに奪われてしまうという脅威の予言。
もちろんそのすべてが、信頼のおける予言ではありません。
しかしながら、高度に発展していく人工知能やIoT技術などを目の当たりにし5G時代の到来も近い現代においては、かなりの恐怖と不安を掻き立てられう一冊。
これからの人生と世界を考える時。
いまだからこそ読んでおかなくてはいけない一冊かもしれません。

15|書を捨てよ、町へ出よう(著者:寺山修司/角川書店)

若い頃に出会っておきたかった、でも、出会えてとても幸せだ。
この本のみならず47歳の若さでこの世を去った天才劇作家寺山修司の本は、そんな感覚にさせられる一冊です。
いまこの本を読んでおくべき理由、それは、人間があまりにも変化しているからです。
かつて、ほんの数年前までは、この本に書かれている若者の姿や葛藤というものは、時代が変わっても変化しない不変のものだと考えていました。
しかし、現代の若者の心に寺山修司は響くのか。
寺山修司が描いた若者の姿は、いまこの日本に存在するのか。
そんな疑問とともに、ぜひ、若い人たちに読んでほしい一冊です。

乱読が正しいときもあります

とにかくなんでもいいから活字を追って本を読む、乱読。
もちろん、必ずしも褒められた本の読み方ではありませんが、少なくとも人生のある時期においては必要なことだと思っています。
そして、休み期間はそんな乱読にピッタリ。
とにかくたくさん読んで、その本に触れたことがあるという経験を積んでみてはいかがでしょうか。

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