日本のおすすめSF小説本ランキング【名作・傑作25選】

SFというと、小説よりも映画や漫画もしくはアニメという人は多いでしょう。
確かに、映像作品の方がぐんと迫力の増す分野でもあり、世界観が把握しやすいという側面もあるのでうなずける話なのですが、やはりここは小説でも読んでいただきたい。
そこで今回は、オススメのSF小説を、日本のものに絞ってランキング形式でご紹介します。
文字だからこそ無限にひろがるSFの世界を想像力たくましく楽しんでみてはいかがですか?

1|月世界小説(著者:牧野修/早川書房)


SF小説のだいご味は、新しい世界の価値観をいかに表現するかといういわゆる文化のすり合わせ。
そんな中、この本はまさにその文化のすり合わせの中でも、小説に最もふさわしい言語というものに重きを置いて表現しきっている傑作です。
しかもSF小説として濃度が濃く、本格派SFとして十分価値を持っているあたりも素晴らしい。
言語を中心に据えたSFという未体験の分野に、あなたもきっと興奮するはずです。

2|バナナ剥きには最適の日々(著者:円城塔/ハヤカワ文庫JA)


円城塔を読んでみたい、でも、あの難解な文章はちょっときつい。
と、思って今まで読んでこなかったあなた、そして、そんなことは全く知らないあなたにも、ぜひ読んでほしいのが本作。
なんといってもこの本に限っては円城塔の難解さがかなりマイルドになっているのが、大きな特徴。
しかも作り自体も短編集ですので、彼の文章の美しさやSF作家としての力量の高さを知るにはちょうどいい入門書です。

3|リピート(著者:乾くるみ/文芸春秋)


イニシエーションラブでおなじみの乾くるみ。
そんな著者が、SFのメジャーなジャンルの一つである時間ものSFに挑戦した作品で、その独特の感性がいかんなく発揮された傑作です。
時間モノのSFは、すでに書き尽くされた感がありますが、それでも読む価値のあるのはそれだけですごい。
そして、ラストに訪れる衝撃の展開。
まさに人に勧めたくなるSF小説といった感じの作品です。

4|ボトルネック(著者:米澤穂信/新潮社)


アニメでおなじみ「評価」の原作者、つまりミステリー作家の米澤氏。
そんな彼が作り出すSFの世界は、生粋のSF作家にはきっとかけないだろう、複雑に絡み合うやや重苦しい人間ドラマが心をつかんで離さない作品となっています。
ただ、本当にちょっと重めの話が多いので、苦手な人には向きません。
それでもかまわない、面白い物語が欲しい、という人には、胸を張っておすすめできる一冊です。

5|スワロウテイル人工少女販売処(著者:藤間千歳/ハヤカワ文庫JA)


人口の生命体とと人間の間の交流。
そしてその中で、人口の生命体を一体人としてどういう存在とカテゴライズしてくのか、というある意味SFにおける永遠のテーマに挑んだ意欲作。
SF好きならすんなりと読めるSF独特の文体がありますが、それも含めてSFの良さを十分詰め込んだ作品。
人工知能の発達が、もはやおとぎ話ではなくなった現代に、ぜひとも読んでおきたい一冊です。

6|七瀬ふたたび(著者:筒井康隆/新潮社)


日本SF界にこの人あり、そんな大御所筒井康隆の作品。
超能力バトルという、下手をすると三流漫画の小説版のような茶番になることも多い題材を、ここまでじっかりとした小説に仕上げる力は、さすがと言わざるを得ません。
そこにあるのは、能力ではなく人間の物語。
どこまでも体臭のする、SF作品。
しっかりと人間というものに対する理解が形成されている人間にしか書けない、そんなSFの傑作です。

7|リライト(著者:法条遥/ハヤカワ文庫JA)


現在、過去、未来。
この三つはSFにとってはただの時間の概念ではなく、大きな意味を持つ一つのマクガフィンとして存在しています。
その三つの概念を使って、魅力的なストーリーを構成し、そこに思春期独特の心情を織り交ぜることによって一つの作品に昇華させてるのが本作の素晴らしい点。
時間の概念がまったく不確かになった世界で、だからこそ感じる、過去や未来の意味。
それこそが本作の主題なのです。

8|時砂の王(著者:小川一水/ハヤカワ文庫JA)


歴史と科学の邂逅。
戦闘用に作られた人工知性体が、3世紀の日本で卑弥呼に会うというこの物語の設定は、荒唐無稽ながらロマンを感じるまさにSFの醍醐味。
しかも、人ならぬ人工知性体に感じる悲哀、それこそまさにSF的体験です。
そして、やはりその先にあるのは人間とは何ぞや、命とは何ぞや、歴史とは時間とはという根源に対する問答。
SFが追い求め続けている、真実への挑戦なのです。

9|know(著者:野崎まど/ハヤカワ文庫JA)


SFの定番である機械化された脳。
本作では脳の一部に機械を埋め込む、いや機械化することが義務付けられた世界で、人間はどう生きていくのかを、SFらしからぬ緩やかな文体で表現した作品
しかも舞台は京都、なぜか懐かしい気持ちになる不思議な近未来SFです。
ただ無心に読んでいたら、これはSFなのかと感じるほど、まるで柔らかな青春小説を読んでいるような気分にしてくれるおだやかな一冊です。

10|不確定世界の探偵物語(著者:鏡明/東京創元社)


まさにSFといった感じのタイトル、これだけでSFファンの心は踊ります。
しかも、SFのジャンルの中でも、かなりハードでコアなファンが多いハードボイルドなSF小説なのですから、これはかなり楽しんでいただけるはずです。
しかも時間超越付きの探偵もの、まさに至れり尽くせりのフルコースです。
作品内で起こるタイムパラドックスは、若干わかりにくいですが、それを含めて、SFファンを足の先まで満足させる作品です。

11|旅のラゴス(著者:筒井康隆/新潮社)


先ほども紹介したSF会の御大筒井康隆のある意味代表作の一つが本作。
文明を失った世界という、まさにSF空間ともいうべき世界で、御大の正確無比なSF力がいかんなく発揮されている、まさに日本のSFを代表する作品。
時をかける少女のようなライトな作品からこのような重厚なSFも作り出せる。
日本のSF界をしょってきた作者の本領を感じる傑作です。

12|マルドゥック・スクランブル(著者:沖方丁/ハヤカワ文庫SJ)


人気作家・冲方丁という人物のすごさを、SF界に知らしめた傑作。
あまりの出来と衝撃に、SF界のみならず文芸界や出版界までも震撼させた、時代を塗り替えたといっても過言ではない、SF小説史における傑作。
物語の基本はサイバーパンク、しかし、そこにはSFを彩ってきた加地和の名作の面影がある。
SFファンは言うまでもなく、小説好きならきっと好きになる、そんな作品です。

13|戦国自衛隊(著者:半村良/角川文庫)


映画として2度も実写化された、タイムトラベル物の傑作中の傑作。
戦国時代に近代兵器を持って登場したらいったいどうなるのか、そんな歴史ファンもそして軍事ファンもまとめて虜にする題材で人気を博した作品ですが、根底に流れるのは間違いなくSFの血
タイムパラドックというテーマです。
歴史に干渉してしまった主人公たちが感じる違和感とその正体、そしてその結果訪れる結末に感動が止まりません。

14|図書館戦争(著者:有川浩/角川文庫)


本作自体も映画化され、著者の代表作三匹のおっさんもドラマ化、まさに映像化に適した作品を生み出し続ける著者のある意味出世作ともいえる作品。
そして本好きにはたまらない題材のパラレルワールド系のSFです。
国家による言論弾圧が正当化され、そして法制化された世界で、そんな国家と戦う図書館という奇想天外な発想は、本を愛するすべての人間の心に刺さります。
本好きの、本好きによる……そんな作品です。

15|ハーモニー(著者:伊藤計劃 /ハヤカワ文庫JA)


デビューからたったの2年。早すぎる死を迎えた作者の遺作。
書評に私情を挟むのは愚策で、しかも作者の悲劇が作品の価値に影響を与えるなどあってはならないのですが、そう思っていてもなお、たった2年の作家生命の集大成に賛辞を贈りたい。
伊藤計劃 という人間はそれほどまで卓越したSF作家だったのです。
医療が発達し病気のなくなった世界を描きながら、すでに死病に侵されていた作者の思いが痛切に響きます。

16|All You Need Is Kill(著者:桜坂洋/集英社)


ある意味、日本のSF小説史上最も世界的に注目された作品。
そうこの作品は、あのトム・クルーズ主演でハリウッド映画化された、その原作がライトノベルだとは思えないほどの成功をおさめた作品です。
タイムループと近未来、そして宇宙。
そんなSF要素をふんだんに盛り込んでいながらも、しっかりと芯のあるテーマ性が、その人気を裏付ける、近年のSF小説において要注目の作品です。

17|オービタル・クラウド(著者:藤井太洋/ハヤカワ文庫JA)


SF小説の一つの楽しみ方としてあるのが、その科学知識の綿密さ。
本作はそんな科学技術の綿密さとその詳細な解説が心行くまで楽しめる、まさに作者の博識がうかがい知れる作品です。
本作を契機に日本SF作家クラブというSF界において最も権威あるクラブの会長に就任した事からも、この作品がいかに評価の高いものであったかがわかるというもの。
間違いなく楽しめる作品です。

18|象られた力(著者:飛浩隆/ハヤカワ文庫JA)


幅広い作風で知られる作者。
そんな作者の幅広い作風を心ゆくまで楽しめる、バラエティに富んだ作品をおさめた短編集が本著。
本著の特徴は、とにかくSFが好きな人に心行くまでSFを楽しんでほしいという作者の意気込みを感じさせる、SF週の強い作品群であること。
ですのでSF初心者には少しきつっかもしれませんが、これがSFだと胸を張って言える、SFマニア垂涎の一冊です。

19|流星ワゴン(著者:重松清/講談社)


泣けるSFといえば、個人的にはこれ。
SF小説は良くも悪くも設定が凝っていて、その設定一本である程度読ませることができてしまう分野でもあります。
しかし、名作名著と呼ばれるようになるためには、そこにきちんとした人間ドラマが織り込まれていることは必須。
そういった点で、本作は、SF要素をなしにしても心の底から楽しむことのできる、まさに名作の条件を兼ね備えた作品です。

20|果てしなき流れの果てに(著者:小松左京/角川文庫)


日本にSFという文化を根付かせた男、そう評しても苦情は出ないだろう巨匠小松左京。
SFというものが、一部の人間の趣味ではなく、誰もが楽しめる大衆文学であることを日本人に知らしめた作者にとって、この作品はよりSF色の濃いもの。
だからこそ、SF好きの中では、これこそ日本SF小説の頂点という人もいる作品です。
そう、もはやこれはある意味記念碑。ぜひ読むべき作品です。

21|タイムリープ(著者:高畑京一郎/電撃文庫)


ライトノベルでありながら、SFファンの心をつかんで離さない作品。
ライトノベルの定義というのは難しい話ですが、少なくともこの作品は、SFファンが読んでも物足りなさなどない、しっかりとしたSF小説。
ある意味、SFとラノベの親和性の高さを証明した作品と言えます。

22|幻視狩り(著者:川又千秋/アドレナライズ)


詩をテーマにした異色のSF。
そのモチーフとなっているのがジョージ・オーウェルの1984というのがSFファンにはうれしいところですが、それを知らなくとも当然楽しめる作品。
海外にもファンがいる名著で、一度読んでみてほしい作品です。

23|銀河英雄伝(著者:田中芳樹/東京創元社)


日本が世界に誇るといっていい、壮大なスペースオペラ。
まさに、ある意味これを超える作品は小説としては現れないのではないかと思えるほどに、壮大で重厚でそして、心のここからワクワクするストーリー。
そして女の子が喜ぶ、素敵なイケメンがたくさん。
アニメ、漫画、宝塚、様々な場所で親しまれている、SF超大作です。

24|天狗風 霊験お初捕物控(著者:宮部みゆき/講談社)


これがSF? と思う人もいるかもしれない、ミステリー作家の描いた時代小説。
しかし、登場人物のお初は、異能を持った超能力者。じつはミステリの名手であり時代小説でも評価の高い宮部みゆきは、初期のころこういった超能力小説もまた得意としていました。
その点で、まさにこれは江戸SF.
当代きってのストーリテラーが贈る、ここでしか味わえない、異色中の異色のSFです。

25|ランク外の殿堂 星新一作品(著者:星新一)


どれか一冊を選べ、というのもこれがSF縛りでなければできましたが。
日本のSF、作家であれその文壇であれ評論界であれ、そして当然そのファンであれ、出版社も含めて、日本のSFを取り巻くすべての人間にとって偉大な父である、星新一。
オススメのSFの最後に紹介するのは、そんな星新一が残した膨大なショートショート、そのすべてです。
理由は一つ。
そのすべてが、日本のSFの源流だからです。
そして星新一という人物こそが、日本のSFそのものだからです。

星からやってきた日本のSF

星新一を元祖に、あまた生まれてきた日本のSF。
まさに、星からやってきたというSFにふさわしい生い立ちを持つ日本のSFは、今やラノベ、漫画、アニメという媒体を通じて世界を震撼させるにまで成長しました。
ぜひ、そんな日本のSFを、心ゆくまで楽しんでくださいね。

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